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黒の英雄譚 ~漆黒の女帝~  作者: 涙目 ホクロ
始まりの街 アスラ
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第17話 つかの間の癒し

寒くなってきました。

作者は学生ですので朝の授業は非常に眠たいです。あ、季節関係ないか……。

目を覚ますと自分の部屋という夢落ちはなく、自分の泊まっていた修羅の宿だった。

まだ早朝らしく、隣で寝ているツバサはまだ起きていない。

「今日か」俺はポツリ一人で呟いた。

ファージに残された時間は今日を合わせて十日間。その内、二日間は移動に費やすとしたら実際には八日間しかない。

その八日間でファージの問題を解決。

中々のハードスケジュールだ。もちろん俺がファージに行かなくてファージを見捨てるという考えもあった。

だがそれだと、後味が悪い。俺のせいで街一つ滅ぶ、まったくいい迷惑だ。

まだ出発まで時間はある。移動中は風呂には入れないだろう。そのことを思うと風呂が急に恋しくなった。

「よく考えたら、ここのお風呂にちゃんと入れたのは一回しかない。昨日は入れなかったし、朝風呂はあるかな?」俺はそんな事を言いつつ着替えを準備し最上階に向かった。




チャプン――。

「うはー。良い湯」オヤジみたいだが、昨日はヒョウとの戦いの後そのまま寝たため筋肉が硬直していたみたいだ。筋肉がほぐされていく。とても気持ちいい。

まだ明け方らしく、あたりは暗く最上階の露天風呂には誰もいない。

「この世界に来て最初の街か」たった数日しかこの街で過ごしただけなのだが、体験したことが濃ぎて中々思い出深い場所になった。冒険者になり、ヒュドラを絶滅させてヤマタノオロチを相手にしたりってあれ?よく考えたらろくに観光すらできていない。というかヤマタノオロチのせいで街は今観光どころじゃないか。

「はぁー」俺が大きなため息をついていると風呂の戸が開いた。

「あれ、雪もう起きて大丈夫なの?」その声の持ち主は長い金髪をゆさゆさと揺らしながら入ってきた。

「大丈夫。心配掛けたね修羅姫」俺は入ってきた修羅姫にそう言う。

「そっか、良かったね」修羅姫はそう言って風呂に入ってきた。

修羅姫はスタイルがよくて、顔も中々の美形だ。この世界に来る前の俺だったら惚れてしまうかもしれない。今は女となったためそこまで女子に興味は持てない。これはツバサやキツナとの共同生活で分かった。

さてそんな彼女だがどうにも顔が優れていない、どうかしたのだろうか?


「なんか考え事。顔が浮かばないようだけど?」

「あはは。顔に出ちゃってた?一応気をつけてたつもりなんだけどな」修羅姫は苦笑いをしながら言った。

「なにか悩みごと?前も言ったけど俺達でよかったら相談に乗るけど」

「うん。今回の件で分かった事なんだけど僕は弱い。だから強くなりたいんだ」

「俺が思うに修羅姫は強いと思うけどな」

事実、修羅姫のレベルは300を超えている。もし、この世界をドラキラのモチーフにするとしたら中々の腕の持ち主になる。

「嘘はよしてよ。ヤマタノオロチの件だって僕一人でどうにかしようとした挙句に完敗し、雪が来てくれなかったら僕は死んでいた。それに第一軍隊長になれるのはアスラの街で一番強くないといけない」

「今回は相手が強かったから仕方ない」

炎を操る修羅姫に、大地を操るヤマタノオロチとの相性は悪い。

「いいや雪、仕方ないじゃない!!僕は弱い、第一軍隊長だからって少し慢心していたみたいなんだ。だから、しばらく己の強さとは何か自分を見つめなおすことにしたんだ。軍にはしばらく戻らないということは言っておいた」

「己の強さを見つめなおすって具体的には何をしようと思っているんだ?」

「武者修行かな」

「山にこもるのか?」

「まだ考えてないよ。でもここら辺の武者修行で有名な場所はヒュドラの霊峰しかないからなー」

この人また考えずに行動しちゃってるよ

「ちなみに休みってどれくらい休むつもりなんだ?」

「僕が納得いくまで」

よく軍のお偉いさんは許可してくれましたね。

「具体策もなく、休みも自分が納得するまでか。軍の方は大丈夫なのか?」

「それなら心配ないよ。蔵鬼さんがつくから」

「く、蔵鬼さんが!?」

「言ってなかったけ?蔵鬼さんはアスラの街の領主様でアスラの街最強の強さを誇る人なんだよ」

今納得したヒョウを捕まえるにはそれぐらいの強さが必要だ。ヒョウ相手には魔法は使えないし。

ん、魔法?

「なら軍の方は問題ないな。ふと思ったんだが修羅姫。炎魔法はどのくらい使える?」

「炎の魔人化イフリートモードしか使えないけど」

「それじゃあ、炎の魔人化イフリートモードはどれくらい使える?」

「もって30分ってところかな」

レベルに対して魔法が使えていない……種族の差か?

いや、魔力が足りていないだけか?

俺は修羅姫を鑑定してみる。

魔力は足りている。じゃあ何だ?

「修羅姫、どうやって炎の魔人化イフリートモードを使えるようになったの?」

「え、使えるようにって教わったんだよ。前の第一軍隊長に――今はどこで何をしているか分からないけど」

師と弟子の関係か。

つまり、炎魔法を修羅姫は前の軍隊長に教わったと。

炎魔法か。昔の状態なら使えたが首輪をしてから使えなくなってしまった。

おそらく、この首輪はドラキラでゆう制限アイテムなのだろう。

その為、今は水魔法しか使えない。だが使用する時は姿が変わり威力が跳ね上がる。

まぁ中々の魔力を消費するから滅多に使うことはないと思うが。

それにしても炎魔法か。俺の身近に使える奴なんて――いた。

しかも、炎に関しては奴より強い奴は知らない。

「修羅姫。どうしたいかは君次第だけど、俺達と一緒に来るか?俺は君を強くできる奴を知っている」

「雪、それってどういう意味?」

「まぁ着いてきたら分かるさ」俺はそう言って風呂場から立ち去った。

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