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黒の英雄譚 ~漆黒の女帝~  作者: 涙目 ホクロ
始まりの街 アスラ
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第10話 呼ばれた理由(1)

ふぅ、ようやく再開です。

宿に戻った俺は修羅姫とキツナの着せ替え人形のように扱われていた。

何故、俺がこんな状況なのかって?

それは、一時間前ほどさかのぼる。


「ふぅ~、やっぱりいい湯だな。ここの風呂は」

「そうでしょ、ここの湯は美肌効果があるんだよ」


ヤマタノオロチを討伐した俺は修羅姫の実家の宿「修羅の宿」にてお世話になっていた。

それにしても美肌か、どうりでお湯が乳白色のわけだ。

まぁそれはともかく。


「修羅姫、なんであんなことをしたんだ?」

「あんなことって?」

「ヤマタノオロチに一人で立ち向かったことだよ」

「あ、あれはこの街の人たちを助けたいと思ったら自然と行動してたんだよ」


考えるより先に行動するタイプか。危ないな。


「よく聞いて欲しい修羅姫。今回は俺が間に合ったからなんとかできたけど、もし俺が間に合わなかったらどうなっていたと思う?」

「・・・僕は想像したくないけど死んでいた」

「そう、死んでいた。修羅姫が死んだら、親、隊の人、そして俺は絶対悲しんだよ。だからさ、あまり一人で抱え込まないで誰かに甘えてみることも大切だと思うぞ。俺やキツナ、ツバサはいつでも協力できるからさ」

「でも、雪。僕は軍人だよ。しかも、軍隊長クラスの。こんな、僕でも甘えることは許されるのかな?」

「許されるよ。少なくとも俺たちの前では軍人じゃなくて友達としてね」

「そうですよ。私たちはあなたのおかげで街には入れたも同然ですし、相談くらいにはのりますよ」

「そうだったのですか?雪様」

「あ、言ってなかったけ?まぁ、とりあえず俺たちは修羅姫の力にいつでもなれる。それだけは覚えておいて欲しい」

「・・・うん。ありがとう」

「さてと、上がるか」

「あっ、ちょっと待って」

「どうかしたんだ?」

「雪、言い忘れてたけど雪の鎧コーティング中でついでに服は洗濯中だよ」

「えっと、それはどうゆことですか?」

「なんかねあまりにも生臭かったからね。僕が出しといたよ」


海水を操ったからかな?


「つまり俺の服はないのか?」

「そうゆうことになるね」

「修羅姫、それって下着もか?」

「ああ、あの変な伸びるやつ?匂いがすごかったから処分しておいたよ。というか雪、女の子なんだからちゃんとした下着着なきゃ」


うわー下着どうしよう。



そして今の現状になる。(ついでに下着だけは修羅姫に貸してもらっている)


「雪、こっちの浴衣も着てみない?」


とミニスカの浴衣を俺に勧めてくる修羅姫。


「いえいえ雪様は、こちらの着物ほうがよろしいでしょう」


キツナが俺にどこかで見たことある蝶の模様がついた着物を勧めてきた。


「さっきから思っていたんだけど、この大量の着物や浴衣はどこから持ってきてるんだ?」

「あぁ、浴衣は全部僕のお古だよ」

「着物は、雪様の宝物庫にあったものですよ」


ああ、なるほど夏イベントで大量に手に入れた着物か。どうりで見たことあると思ったわけだ。

というか、俺はキツナを宝物庫の番人から解雇したはずだが・・・。


「さぁ、雪これにお着換えしようか?」

「えっ、まだ続くの?」

「そりゃあ、雪様ほど素材は中々いませんからね」


俺に拒否権はなくファッションショーは夕食まで続いた。

ここまでキラキラした笑顔の修羅姫とキツナを見たのは初めてだった気がする。

そして、夕食の時に俺はミニスカ浴衣を着ていたのは、ここだけの秘密にしておいてもらいたい。

なお、夕食はとてもおいしかったです。



その晩、宿で一人部屋をとっていた俺は久しぶりに一人の時間を楽しんでいた。

「それにしても、今日一日だけで色々なことがあったな」

修羅姫にいきなり決闘を申し込まれたり、冒険者になってお金を稼いだり、そしてヤマタノオロチを討伐したり・・・。大変だったけど、楽しかったかな。


「楽しんで頂けているなら私も召喚したかいがありましたよ」


窓から入る月明かりに照らされて20代前半くらいの女性が立っていた。

正直このみなタイプだ。


「・・・誰?」

「あぁ私ですか。ちゃんと話すのは初めてでしたね。私はあなたをこの世界に呼んだ神メフィスです」


メフィス?俺をこの世界に呼んだ神か?


「私はあなたと話がしたくてやってきました。」

「待って、あなたのことを疑っているわけではないんですけど本当にメフィスなんですか?」

「ええ、そうですよ。桜坂吹雪君」


あっちの世界の名前を知っている。本物か。


「それで、神様が俺に何の用ですか?」

「さっきも言った通り話をしたくて来ただけですよ。聞きたくないですか?あなたが呼ばれた理由」

「理由?」

「ええ、理由。あなたが呼ばれた理由」

「何故このタイミングなんですか?」

「それはですね、あなたがこちらの世界の環境に慣れるのを待っていたからですよ」

「慣れる?」

「はい。あなたが、こちらの世界に来て約1週間がたとうとしています」


1週間か、もうそんなになるのか。


「召喚されたときに理由を説明すると、頭がショートされる方が多いので・・・。こちらの世界に来ていただいて慣れてか理由を話させてもらっています」


なるほど、確かに転移した瞬間に説明されても混乱が増すだけだよね

それじゃ、本題を聞こう。


「何故、俺が呼ばれたんですか?」

「それはですね。龍神を殺して欲しいからです」


・・・はぁっ!?

神を殺して欲しい、何を言っているんだこの神は!?

まぁ、落ち着こう、クールダウンクールダウン。


「えっと、とりあえずなぜ殺して欲しいんですか?」

「少し話が長くなりますが聞いてもらえますか?」


まだ人間の世界が始まる前、この星には龍が自然界のトップでした。

しかし、現在に存在する龍と違い当時の龍は知能が低い存在でした。

当時の私はこの星に知的生命体を生み出そうとしていました。

そのため、まず私は龍に知識を与えました。

すると、龍は独自の進化を遂げリーダー、龍王を生み出し、集団で生活するようになりました。

その中に研究熱心な龍王が一匹いました。

その龍王はまず、自分の中にある血流とは別の流れを見つけました。

龍王はそれを研究し、見つけた流れを魔力回廊、流れているものを魔力と名付けました。

次に、龍王は魔力とは何のためにあるのか研究を始めました。

その龍の研究で魔力を物質に変えることができることが分かりました。

これが、今でいう魔法。

つまり、魔法は龍が作ったと言っても過言ではないでしょう。

ここまでは、よかったんです。何事も順調に進んでいました。

魔法は便利でした。龍は魔法を使い狩りをしたり、狩った獲物を調理したりと本当に便利でした。

だが、その魔法を戦いに活かそうとする龍が現れました。

黒龍ブラックディザスター。別名、黒の災い。龍神です。

そして、かの勇者達が戦った世界の危機の正体です。

ディザスターは魔法を使い当時群れを率いていたリーダー達を次々に倒しあっという間に龍王になりました。

この世界を治めていた主神は世界のバランスが崩れることを恐れ黒龍を討伐しに行きました。

当時の主神はこの世界に住むどの神よりも力がありました。

そのため、私たち神も安心してました。

しかし、主神が封印できたのはディザスターの魔力だけ。しかも、主神の命と引き換えに。

最強の主神さえも圧倒するディザスターの前に私たちはなす術も無く諦めていました。

私は龍に知識を与えてしまったことを後悔しながらこの状況を打破する方法を探しました。

そして、見つけたのは禁術中の禁術、勇者召喚だったんです。

もう当時の私はこれしかないと思い、勇者召喚を行いました。

そして、呼び出されたのが黒の英雄でした。

黒の英雄は状況を理解すると「分かった、俺に任せろ」と言い快く黒龍討伐に向かいました。

黒の英雄は当時ディザスターと対立していた龍王達と共に戦いました。


「・・・っとここから先は私からではなく彼に話してもらいましょう。どうせ聞いているんでしょう、水の龍王」


すると、俺がつけている首輪が青く光りだした。

そして一際まぶしく光るとそこに一人の青年が立っていた。


「まったく、相変わらずだな。人任せな女神様」

「人任せとはひどくないですかアトラス」

「そうか?女神様。と、まぁこうやって会うのは初めてだったな宿主よ。我が名はアトラス、水の龍王だ」

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