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加護持ち達との遭遇
それから二ヶ月が経過したが、目当てのパニマ様の加護持ち転生者には今の所遭遇出来て居ない。
どうやら相手が転々と移動をする冒険者の旅人な様で、幾度かタイミングが合わずにすれ違っている。
まぁ私と違い、相手も冒険者として顔が割れているらしく。
転移したりして、人族史上主義者の追っ手から逃亡中。
お陰で、待ち合わせポイントにて合流が叶わなかった。
因みに待ち合わせポイントの指定は、加護持ち特有の祈りの後に神託が夢で降りるので時間がかかるのだ。
とても気の長い伝言ゲームの気分になる。
「こういう時、スマホとか携帯電話みたいなアイテム欲しいよなぁ。」
と、マサムネさんはぼやいて居た。
「スマホとか携帯電話って何でしょう?
え?遠距離でも会話が出来るアイテムですか…魔導具みたいな物でしょうか?
錬金術の魔導具に、似たような物が有りますよ。
ただとても高額なので、庶民には手の届かないレアアイテムですから。
王侯貴族あたりか、お金持ちの人しか持って居ませんが。」
と言ったら。
「うはっ、あげておとす!
まぁ、地道に行くか。」
ガックリした後に私の頭をわしわし撫でて来ます。
髪の毛ボサボサになるし、子供扱いやめて欲しいのですが。
何度抗議してもやめて下さいません。
マサムネさんは意地悪です。
マサムネさんとは身長差が有るので、見上げる様に抗議すると。
何故か顔を反らせます。
たまに小声で。
「上目遣いからの拗ねておねだりとか、破壊力有るな。
さすロリ。
俺がロリだったら、危険が危ない所だったぜ。」
とか何とかごにょごにょ言ってます。
良く分かりません。
そんなこんなで、合流予定のポイントに転移しました。
転移は面白いです。
一瞬でまるで違う場所へと至るのですから。
特に時計塔や故郷以外外に出た事の無い私にとって。
華やかなお城も、堅牢な城壁も。
森も平野も砂漠も海も山も。
何もかも、見る物全てが新鮮で面白かった。
簡単な短距離転移なら私でも出来る様になるだろうと言われて居るので、それを楽しみに修行頑張ろう、えいえいおー!
そんな私の思考を、転移先で止められた。
「ふぎぁぁぁきゃぁ!ちょ、どいて!」
それは一瞬の出来事で。
声は真上。
見上げれば、翼を背中に生やした有翼人か天使か神族っぽい出で立ちの美少女が、空から急降下して来て居た。
翼が機能して居ないのか、
「え?きゃ!」
ドシーン!
とぶつかって私はその美少女に乗っかられていた。
視界が真っ黒だ。
てか、呼吸出来ない。
なので顔を動かすと。
「ひゃっ!?動かないで。」
「いや、そのお嬢ちゃんからどかねえと、窒息するぞ。
パルーニャ、お前の尻圧で。」
男のツッコミでパルーニャと呼ばれた美少女がどいてくれた。
どうやら私の顔は、パルーニャさんの尻に敷かれたらしい。
「これ男だったら不可抗力でもはたかれて、ハーレムフラグ待った無しな。
クレアちゃんラブコメ体質過ぎだろ。
面白いけど。」
後ろでマサムネさんが苦笑した何か呟いていたが、私はそれどこころではなかったので聞こえなかった。
フワフワの金髪を肩口で揃え。リボンカチューシャで纏めている。
クレアより小柄だが、人と言うよりもまるで天使の様に愛らしい。
白と赤のキュロットスカートタイプのワンピースを着ている。
まぁ、冒険者で普通のスカートは女性にはめくれたりする危険が有るのでオススメ出来ないが。
スカートの中にズボンをはいたら野暮ったくなる。
ズボンの様に二つに別れてはいても。
ふんわり末広がりなので、ちょっと活発な女子といった雰囲気になるから、女冒険者人気が高い服装だ。
その服の上に胸当てと肩当てを付けて居た。
まあ、全身鎧なんてくそ重い。
屈強な脳筋でなければ、普通は着れないだろう。
どうやら、洋服も胸当てなども魔防具の一種らしい。
とても高額だが、普通の鎧より魔防具は軽いのだ。
腰に短剣を携え。
背中に綺麗な杖を携えて居た。
彼女をどかしてくれた男は、多分銀狼族だろうか?
耳と尻尾がフサフサだ。
あーちょっともふりたい。
怖そうなお兄さんだから、多分無理かな。
その後ろから来た猫族の女の子もどうやらパルーニャさんの仲間みたいだ。
「ちょっとパルーニャちゃん、合流ポイントに突っ込むとかアホなの?」
「…ジン君、セレナちゃん、あとそちらのお嬢さん、マジすんません。」
天使が土下座して、私に回復術を掛けてくれた。
「あはは、パルーニャちゃん達とやっと合流出来たね。
この三人が地球からの転生者。
パニマ様の加護持ち仲間だよ。」
「パルーニャだよ、私達地球ではジン君が夫でセレナちゃんが娘だったの。
んでこちらでは二度目の転生になるんだけとも、今度は全員お友達なんだ。」
複数の転生記憶を憶えて居る事に驚く。
と言うか、親子で異世界とか凄いね。
やはり私は特殊な例なのだろうか?
少しだけしょんぼりです。
「あー、その。
私は前世の記憶全然無くて、説明しづらいのですが。
パニマ様とヤファ様のダブル加護持ちです。」
そう言うと、三人は息を飲んだ。
「ダブル加護かぁ、すげえな。」
ジン君がニヤリとワイルドに笑う。
記憶の事には三人とも触れなかった。
優しい方達である。
その後、和やかにお互い自己紹介しあってから皆と一緒に港へと向かった。
念の為、姿替えの効力がある腕輪と、加護持ち特有の気配を隠匿する指輪を五人は身に付けた。
何とかばれずに、夜陰に紛れ。
パニマ様の極秘に所有する魔導船にのりこんで、見事に故国、水上共和国ウォタリスの有ったこのリクディア大陸ともお別れです。
これから向かうのは、ヤマトリア諸島連合国です。
どんな国なのでしょうか?
ワクワクします。
パニマ様の加護持ち出てきました。
彼女らは俺の娘シリーズの最後のあいつらです。
アレクさんTS転生し過ぎですな。
性格はそんなには変わりません。
そうやって別作品キャラとリンクさせるのは昔から好きだったりします。
それではまた。