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『皇国再興:宇宙からの訪問者編』

 深夜のコンビニでメシエと出会って二週間あまりが過ぎた。

 俺が死んでからも、十日あまりが過ぎている。

 そして今朝もまた俺は――

「おはようございます、銀河さん!」

 満面の笑みのメシエと。

「おはよー、銀兄」

 今ひとつ冴えない顔の鈴に起こされる。

 まぶたを開いて最初に目にするのが、顔の上に浮かぶ白いリングだ。世間一般ではひねりも何もなく『宇宙人ネロスリング』と呼ばれているものだ。

 俺が立ち上がると、リングはふよっ、と頭の上の定位置へ移動する。

「なんだ鈴、せっかく念願かなってアパートを建て直すことができたのに、うれしそうじゃないな」

 しかも、無料で。宇宙人の超技術を使って。

「そりゃそうよ。建て直す時に、あれこれ手直しする気だったのに、間取りとか全部一緒じゃない! これは私が望んでいた新築アパートじゃないわ」

「しょうがないだろ。時間が最優先だったんだから」

「アパートの残骸から死体で発見された銀兄は黙ってて」

 ぷりぷりと鈴が怒る。

 そう――

 十日前、鈴のアパートは、墜落したジョージ――UFOによって全壊した。

 奇跡的に、死者はひとりだけ。

 それが、一星銀河ひとつぼしぎんが(会社員、二十八才)である。

 同時に全地球規模で行われていた、地球とネロスとの数多の出会いのなかに起きた、一件だけの不幸な事故だった。

 合掌。黙祷。

 ささやき――えいしょう――いのり――ねんじろ!

 一星銀河の名前を持つ者は蘇った。

 ただし、ネロスが持つ宇宙技術でも、死者の完全な蘇生は不可能だった。ここにいるのは、顔と名前、そして記憶の一部だけを継承したドロイドである。その証拠に、俺の頭の上には天使の輪っかのようなリングがふよふよと浮かんでいる。ちなみに、メシエの上にも浮かんでいる。

 そういう筋書きで、そういう設定である。

「ていうか、ぜ~~~~ったい、バレるって」

「だろうなー」

 手は打ったが、それでも一星銀河が生きていることは、それなりの諜報機関なら、調べれば分かるだろう。

「とはいえ、今は世界中が大騒ぎだからな」

 テレビをつける。

 朝のこの時間なら、ほぼ五割近い確率で、宇宙人のニュースだ。チャンネルをカチカチと切り替える。

『国連総会で演説をした大マゼランさんは、地球とネロスの相互理解こそが、双方の発展へとつながると――』

 十人の大マゼランのホログラフが、十のそれぞれ異なる言語を使って語りかける。

 テレビの解説者は大マゼランが宇宙船のコンピュータだと説明していた。船の中で乗員は眠りについているので、彼女が代表者だと語る。一般市民への理解という意味では、それほど間違いではない。

『Gライブラリかへの閲覧申請は、七万件を越え、今も増え続けています。特に空間操作系技術へつながると見られる、クライン空間学へは――』

 ある番組では、科学技術へのけっこうマニアックな内容を扱っていた。

 Gライブラリには地球にとって何万年も未来の科学技術の蓄積があるが、無用な混乱を生じさせないため、始祖の宇宙船が許可したものだけが一般公開される。コメンテーターのひとりが「科学者は仕事なくなりますね」と言ったら、解説役に呼ばれていた科学系のライターが真面目な顔で「むしろ一生かかっても足りない仕事が押し寄せました」と返していた。

『皇居を訪問したミーム君とジーンちゃんは、天皇陛下と親しく言葉を交わされ――』

 世界中の人にとって何よりの興味の対象は、異星からの訪問者だ。可愛らしい少年と少女のドロイドであるミームとジーンは、ここ数日ですっかり人気者となっている。ふたりの頭上に浮かぶリングについては、宇宙船と通信回線で結んでいるのだと解説されていた。コメンテーターが「まるで天使の輪っかですよねー。私も欲しいなあ」と、世界中で言われていることを言っていた。

『テニスの全米オープンは――』

 あ、二回戦突破した。めでたい。

 テレビを消す。

 七割五分だった。

「どうすんのよ、銀兄、この騒ぎ。世界中に、空飛ぶ円盤やネロスのロボットがウロウロしてて、しっちゃかめっちゃかだよ。メシエさんに当分は現状維持とか言ってたんじゃないの」

「現状維持だぞ?」

 俺は頭上の輪っかをちょんちょん、と指でつついた。少し動くがすぐに戻る。

 俺が世界中に送り込んだのは、始祖の船にいるロボットだ。ロボットといっても、機械の体を持つものだけではない。ドロイドと呼ばれる、生体部品を持ったロボットもいて、こちらは人間とほとんど変わらない。ミームとジーンがその代表だ。世界各国にこのタイプだけで千体を送り込んでいる。俺とメシエも、ドロイドという設定だ。

「どーこーがーよー! ほら、ニュースじゃあんまりやらないけど、紛争地帯に送り込んだドロイドが武装勢力に捕まってバラバラにされたグロ画像とか、ネットにアップされてるんだからね」

 鈴がスマホを振りかざす。

「ああ、それ。ロシア人のしわざだから」

「へ? なんか宗教原理主義のテロリストとか言ってたよ?」

「違う。ロシア人が金出して荒っぽいの専門の業者に頼んで、中東にいるドロイドを捕まえようとした。大マゼランが自爆させた」

「自爆って……その、犯人はどうなったの?」

「無事だよ。怪我ひとつしていない。現状維持って言ったろ? その代わり、ロシアにいるドロイドは全員、引き上げた。技術的な不具合とかなんとか明らかに嘘っぽい理由つけて」

 ジョージの兄弟UFOや、ミームやジーンらドロイドたちは世界中をうろついて、情報を集めている。

 地上にドロイドを派遣したのは、彼らなら危害を加えられてもかまわないからだ。彼らの情報核は始祖の船にあり、頭のリングでつながっている。地上にあるボディが破壊されても、情報核は無事で再生が可能だ。

 そして地球人の側も近くにUFOがいれば頼んで乗ることができるし、ドロイドと会話をすることもできる。

 だが、UFOもドロイドも、地球人が喉から手が出るほどに欲しい、ネロスが持つ高度な宇宙技術についての情報は知らない。彼らが知るのは、宇宙連邦やネロス皇国に関するあたりさわりのない情報であり、ちょっとした天文学などの科学知識であり、そして宇宙技術で何ができるかの実演だけだ。

 もっとも、宇宙技術で何ができるか、というのを実演するだけでも人類にとっては大いなる福音になる。先端研究というのは、成功も失敗も保証されぬままトライ&エラーの繰り返しだ。『空間操作系技術というのがあって、これを使えば慣性駆動や超光速航法が実現できる』とゴールが見えただけでも、まるで違ってくる。これまで、この方向はトンデモ科学の分野だったからだ。

 また、地球人とネロス人が、遺伝子的には同一の存在と呼んでいいくらいに似通っているという事実は、多方面を震撼させている。分子生物学は、地球人は地球以外のどこかで進化した存在ではないことを明らかにしている。それはネロス人も同様だ。地球で進化した地球人が、何千光年も離れたネロスで進化したネロス人と同じ、というのを偶然だと考えるのは無理がある。ネットでは、神様か空飛ぶスパゲッティモンスターかそういうのがそれぞれの星の進化に介入しているに違いないと欣喜雀躍するインテリジェントデザイン論者と、そんなはずがあるかボケ、なんか別の理由があるに違いないと集団でGライブラリへの申請書を書きまくっている懐疑派がいて、たいへん賑やかなことになっている。

「……あまり現状維持にはなってないかもな」

「そうだよ!」

「でも、これが銀河さんの狙いなのでしょう?」

「うん」

 最初に俺が考えていたのは、江戸時代の長崎の出島のようなものだった。

 日本のどこかにネロスと地球の両方の人が暮らせるような場所は作れないかと考え、そして諦めた。

 公的機関や住人を含めた同意形成が難しすぎる。

 無人の地に作るしかないし、それはメシエが望んでいるものとは違う。

 それに一カ所の土地に世界中の注目を集めるのは、安全面で優れているように見えて、この場合は危険だった。

 大小マゼランも指摘したように、こちらの価値が高すぎる。

 ガードが堅ければ堅いほどに、情報を得たい側が無茶苦茶なことに手を染める危険性があった。

「ん? 何よ銀兄? 私の顔をじっと見て」

「このアパートに宇宙人住まわせることになったが、町内でトラブルになってないか?」

「まあ、そりゃ、うるさい人はいるわよ」

 昨日も誰かに何か言われたのだろう。鈴が顔をしかめた。

「でもまあ、バボンさんに部屋を貸した時と比べれば、ずいぶんマシだよ。あの時はバボンさんが犯罪者みたいな言い方されて、私も頭きたけど」

 ぷりぷりと鈴が怒る。

「今回はほら、ホワイトハウスで大統領と暮らしているキングみたいに、世界中で賓客扱いだもの。隣の市役所の人が誰かひとりくらいこっちで暮らしてくれませんか、って内緒で相談にきたくらいで、歓迎されてるよ」

「ひとまずは良し、だな」

 俺たちは世界中にドロイドをばらまいたが、その中には『特別』な存在がいくつかあった。宇宙からのメッセージを発信するために地球に降りたドロイドだ。

 皇居を訪問したミームとジーンのように、彼らは有名人と会い、観光地を訪れ、子供たちと遊び、そして頻繁に宇宙技術を使う。遊んでいた転んだ子供が膝をすりむいたところに、ミームが手をかざしてナノマシン治癒をした時には、その場面を映した映像が世界中を駆け巡った。

 ホワイトハウスにいるライオンに似た動物型ドロイドのキングは、それなりの頭脳を持つが、会話はできない。だが、こいつは空間操作技術によってゲートを開き、瞬間転移で移動することができる。キングに乗れば、一緒にゲートで移動することも可能だ。昨日も、ふらっとゲートを開いて、テキサスで迷子になって遭難しかけていた子供を助けてホワイトハウスに連れ帰り、大統領に褒めてもらっている。

 あざとい? その通り。

 ドロイドを使う理由は、『無理なくあざとくできる』からだ。

 コミュニケーションにこちらから制限を加え、常に頭のリングを通して監視が可能。

 外見は可愛らしかったり、親しみやすかったり。

 性格設定も健気で温和にでき、敵意を向けにくい。

 もし危害をくわえられ、ドロイドが破壊されてもこちらから反撃はしない。

 そして、彼らが使う宇宙技術は本物だ。

 地球が欲しいのは、宇宙人との友好ではない。世界中がそれなりに歓迎ムードなのは、ドロイドたちが当たり前のように見せる、進んだ科学技術が地球の、つまり自分の利益につながると期待してのことである。

 なら、その期待を高めてもらう。ついでに警戒心も下げてもらう。

 そしてそれが一朝一夕でできないからこそ、世界中にドロイドをばらまいたのだ。

「まあ、俺やメシエはミームやジーンのように情報を発信する側でなく、地球について学ぶ受信側のドロイドという設定で、地球にも日本政府にもそう伝えてあるからな。やることも人間と変わらない」

「その中で、嘘をついてるのはドロイドってとこだけよね。実際にそういう役目で世界中にドロイドを留学とかホームステイさせてるし」

「はい。地球について学びたいのは本当ですから。日本以外の文化も知りたいですし」

「嘘をつくなら、一カ所だけだ。これならバレにくいし、バレても目こぼししてもらえる。黙っていてくれれば、その恩は他のところでイロつけて返すって、それなりのルートで噂の形で伝えてあるしな」

 ギブ&テイク。

 恩を与えてくれれば、見返りは宇宙技術だ。

 それなりの組織ともなれば、取引ができる相手に無理はしないものだ。

 たとえば――そう。

 俺やメシエが暮らすアパートの高校生大家を、誘拐したり脅迫したりとかはしなくなるのである。

 無論、破滅主義的なテロリストなら、あえてやろうとするかもしれない。

 だが、そうなると今度は俺たちの正体に気付いて「恩を売りたい」連中が、俺たちの代わりにそういう動きに注意してくれるようになる。

「ようは、宇宙への窓口が俺とメシエだけ、っていうのがまずいんだ」

 俺とメシエがこっそり正体を隠して暮らしていて、世界のどこにも他に宇宙への窓口がなければ、世界中の国家や組織の注意が、俺とメシエに集中する。いっそ、拉致して知りたい情報を聞きだそう、なんて動きもでる。

 これはまずい。

 地球人だってバカではない。星の海を旅できる相手を怒らせたい奴は――いないわけではないが、そんなにいない。

 しかし、欲望が満たされぬまま放置されては、不満が抑えきれない。大きな国家や強力な組織ほど、その手の身内の不満に弱い。不満をほどほどに抑制するには、忙しくさせて、それによって適度に欲望が満足できるようにしてやればいい。

「でも銀兄。それって、全部チョーさんの受け売りでしょ?」

「まあね」

「で、大マゼランさんが死ぬほど働かされている、と」

「大丈夫、アレは頭脳体なので忙しくても死なない」

「聞いたよー。大マゼランさん、一番多い時で、一度に二百万人と通信回線で同時におしゃべりしたって。理性的なのとか、詐欺師みたいなのとか、ひたすら自分の言いたいことだけ言って、会話にも何にもなってなかったのとか、大変だったって」

「二百万人もいれば、そうなるよな」

 国連を通して窓口となったのが、大マゼランだ。大マゼランには、誰が、何を言ってもいい。それこそ宇宙とは関係ない人生相談をしてもいい。宗教論争を挑む奴は毎日千人はいるそうだ。大マゼランは、全部聞くし、ちゃんと相づちも打つし、反応もする。正しくは、大量に複製されて並列処理している大マゼランのインタフェースモジュールが。本人は「気が狂うから聞かない。報告だけまとめて上げさせる」とのたまっていた。

「大マゼランから聞きました。昨日も、百人くらいの『訓練を受けたその筋』の人たちが、始祖の船の場所や、なぜ太陽系に来たのかについての情報を、手分けして聞きだそうとしていた、と」

「そのねちっこさは、イギリス人っぽいなー。中国人かもしれないけど」

 質問は、質問に答えない、というだけでもある程度の情報を与える。訓練された質問者が、あらかじめ用意した問いを少しずつ変化させて繰り返すだけで、それなりの情報が得られるものだ。

「彼らにはがんばって仕事をしてもらおう。たぶん、こっちが公開する一週間から一ヶ月前には『真実』にたどり着くはずだ。彼らはそれで満足する。彼らを動かしているどっかの政府も、面目がたつ」

 情報機関が一番嫌うのが、仕事をしても何も情報が得られないことだ。

 それは、彼らが無能であるということを意味する。そして、情報機関にいるような連中は、己の能力に自信がある人間だ。

 自分が無能でないことを証明するため、彼らはより過激な方法で情報を集めようとする。誘拐したり、拷問したり。

 それではまずいのだ。

 彼らと争って、こちらに有益なことは何もない。勝っても負けてもだ。

 なら、争わないですむ範囲で、負けてやる。

 ネロス皇国でクーデターがあり、生き残りの難民が始祖の船でやってきたこと。

 ソル星系と名付けられた太陽系に、植民地を築こうとしていること。

 最初の植民地が月の裏に建設される予定であること。

 これらの情報は、今は秘匿しているが、いずれ公開する予定だ。

 その公開予定の情報を、世界各国の情報機関にはがんばって自力で集めてもらう。

 世界中の人々が月の裏側に宇宙人の植民地ができると聞いて驚愕している時に、彼らと彼らの親玉には、葉巻をくゆらせたり、シャム猫を撫でながらオフィスで「やはりな」とか言ってもらうのだ。

 情報機関は、自分たちの能力を証明できて満足。

 その上にいる権力者は、他人より早く秘密の情報を手に入れて満足。

 そして俺たちは、自分たちの日常を守れて満足。

 三方一満足である。

 満足をのぞけば、関係する全員に目立った利益はない。そういうのが一番維持しやすいのだ。

「チョーさん曰く、権力者の面子を潰していいのは、そいつから権力を奪う時だけだ、とさ」

「どういう意味?」

「権力者の面子を潰せば、そいつは必ず報復するか挽回しようとする。そこを狙って足下をすくい、権力を奪うのなら、それは真っ当な戦いになる」

「あまり真っ当でない気がするんだけど」

「でも、そいつの権力を奪わないなら、恨みが残り、いずれ仕返しされる。それはただ損をしているだけだ、とね」

「気に入らない権力者の顔に泥を塗ってやれば、気分がいいとか?」

「いい気分になっても、仕返しされたらダメだろう」

「あー、そりゃそうか。うん、わかる」

「わかるのか?」

 スポーツ少女で脳筋な鈴に言われて俺は驚いた。

「わかるよー。体育会系の活動って、先生とか先輩とか、その取り巻きとかが権力握ってるもの。んで、気に入らないのもけっこういるしさ」

「なるほど」

「で、そういうのにちょこっと反撃してへこませると気分いいから、みんなよくやる」

「よくやるのか。恐ろしい」

 女子高生の部活動という、麗しの花園には茨の棘が生えているというのか。

「恐ろしくないよ、普通だよ。で、反撃して部の雰囲気とかがよくなるかというと――これがまあ、さっぱりなのよ。攻撃されたってんで、向こうもいきり立つから。延々と泥試合が続くってわけ」

「どこも同じってわけか」

「で、私が尊敬している先輩が、部長になってびしっと変えたんだけど。そういえば部長って、先生とか引退したいっこ上の先輩とか、きちんと礼儀正しく接してたなあ、って。媚びるんじゃなくて、敬意を持って接してたの。そのうち、先生も、引退した先輩も、なんだか物わかりがよくなってね。あろうことか、この前、外で会った時に『ときどき覗いてるけど、部の空気よくなったね。がんばってね』ってさわやかな顔で言われてさ。いや、空気が悪かったの、あんたらのせい――って言おうとして気が付いたんだ。その頃って、私たちもずいぶんトゲトゲしい空気だしてたよなぁ、って」

「負の連鎖ですね。最初にどっちが悪かったかは別として、手段と目的が入れ違ってしまっている。手段であるはずの相手を不快にさせること、というのが目的になってしまう」

 メシエが鈴に言う。

「うん。相手を軽蔑すれば、軽蔑で返される。どんなくだらない奴でも、軽蔑だけはできるからね。それじゃ、わざわざ相手に武器を与えてるようなもんじゃん」

「勉強になったな、鈴」

 俺は右手を出して、ぽんぽん、と鈴の頭を撫でた。

「もー、銀兄。その手で撫でるのやめてよ。なんか妙な感じでぞわっとするから」

「ああ、すまん。メシエ、解除してもらえるか?」

「はい」

 メシエが俺の右手に触れ、コマンドワードを唱える。

 俺の右手を包んでいた力場が消える。分厚い手袋に覆われているようだった右手が、自由に動くようになる。

「よし」

 俺は右手を握ったり開いたりする。

「なんか大変だよね、夜寝る前にフィールドかけて、朝起きたらはずして」

「五日連続で寝ぼけたままメシエのおっぱいを揉んじゃったからな」

「いろいろ試したんですけど、この防御フィールドが一番だったんですよね」

 右手にかけられているのは、大砲の弾すら弾き返す防御フィールドだ。もっとも、寝る前にかけるのは右手だけなので実際に大砲が当たると右手以外が消し飛ぶが。

「……じゃあ私、下で朝ご飯の準備してくるから。メシエさん、銀兄、また後でね」

 パタパタと、鈴が一階に降りていく。

 階段を降りるつっかけの音が聞こえなくなるまで待って、俺はカードキーを取り出して部屋をロックする。

 建て直すついでに、アパートにはいろいろと仕掛けが施してある。

「大マゼラン、報告をお願いします」

 メシエの声に合わせて部屋の中央にホログラフで大マゼランが姿を現す。

「おはようございます、メシエ様。今のところ、大きな変化は起きていません」

「国連総会で脅したのがきいているのかな」

 俺が言うと、大マゼランはふん、と鼻を鳴らした。

「脅すだなど、とんでもない。私が提供したのは、Gライブラリにあって誰でもアクセス可能な情報をまとめたものです――宇宙連邦と接触した未開種族が、どうなったかを示したものを、ね」

 宇宙連邦では、先進種族に発見された未開種族は、たいていが文字を持つか持たないかの段階で連邦の審査を受けて知性生物と認定され、以後は先進種族の保護下で宇宙連邦に参加することになる。

 それはつまり独自の文化や歴史を手に入れることなく、はるかに進んだ星間文明の文化の中に呑み込まれる、ということを意味する。

 しかし、その方が長い目で見ると幸せだった、という事例がGライブラリにはある。

 今の地球のように、自力で文化と歴史を発展させた未開種族が星間文明に接触すると、簡単に呑み込まれることはないが、ほぼ確実に内紛が始まるからだ。

 未開種族は、星間文明から文化的、科学的、経済的な圧力を受ける。そして、この勝負には勝てない。あまりに相手の歴史と規模の蓄積が大きすぎて勝負にならない。そして行き場を失った不平不満が、身内に向かう。

 「星間文明に迎合する裏切り者」「未来の見えない愚か者」「理屈はわかっても納得できない」「同じ惑星で争う醜い連中と一緒にされたくない」――傷ついたプライドや怒りは、理性的であった人さえも感情で動く獣に変えてしまう。

 攘夷運動が内ゲバになるのは、日本の明治維新に限らぬらしい。

 だから俺は、現状維持を選んだ。

「地球人には、ひたすら学んでもらい、考えてもらう。地球をどうするかの意見がまとまるまで、十年でも二十年でも、地球人を自由に宇宙に行かせることはしない」

 ネロス皇国が持つ宇宙技術は、地球人が千年かけても届かないチート技術だ。

 そのチート技術を使えば、軍事的には地球を征服することだって可能だろう。けれど、征服と統治は一緒じゃない。

 七十億の人間を統治するのに必要な人材も組織も、俺にはない。始祖の船を使ってSFに出てくるロボット官僚みたいなものを量産して、無人化した統治機構を作り上げる手もあるが、コストを考えると現実的ではない。

「たとえ未開惑星であろうと、地球を統治できるのは地球人だけ。その覚悟を決めてこそ、地球とネロスが手を組む価値がある」

「一星銀河はそう言いますが、私は懐疑的ですね。私はこの十日あまりで二億人の地球人と会話をしましたが、その内容のまとまりのなさに呆れかえる思いです。息子の嫁が肉の硬いスジを自分の皿に出すので宇宙人の力で何とかしろと言われても、『奥さん、それは一度、息子さんも交えて三人でよく話あってはいかがでしょう』と言うしかありません」

 そんな相談にも、ちゃんとアドバイスしているあたりに、大マゼランの隠しきれない世話焼きなところが見えて、微笑ましい。

「Gライブラリの他の星の記録からみても、地球人が統一するのに、百年はかかりますね。ひょっとしたら二百年かもしれません」

「銀河さんはどう思われます?」

「ネロス三億の民が全員凍結解除されるまでが十年だったか。それと同じくらいだと俺は思っている」

「十年? 一星銀河は、同じ地球人だからといって、他の地球人を高く評価しすぎです」

「うん。俺は地球人を高く評価している。地球人は、高いハードルを与えられれば、飛ぼうとする。飛ぶために自分を変えることができる」

「はい。私もそう思います」

 メシエが俺の右手に触れた。

「メシエ様まで! 根拠をお聞かせください!」

「根拠は、俺だ。俺は、二週間前まではどちらかというと同世代の中でもぱっとしない、平凡な男だった。今も、基本的には二週間前と同じ人間だ。二週間前と違うところがあるとすれば、それはメシエを伴侶にしよう、と決めたことだ」

 俺はメシエの手を握った。互いに視線を合わせ、うなずく。

「メシエは星のお姫様だ。重い運命を背負い、辛い体験をしている。この子にふさわしい男になろう、この子の隣に立てる力を得よう、そう思ったからこそ、俺は自分を変えることができた。まだ不十分かもしれないが、これからも頑張ろうと思える」

「私も――その、私も、そうです」

 メシエが俺の手を握り返す。互いの指を絡めあう。

「銀河さんが、私のために怒ってくれたから。私を幸せにしたいと願ってくれたから。私は、私であり続けることができます。惑星ネロスが落ちたあの日まで、私は子供でした。もっと子供でいたかった。今でも子供でいたい――でも、銀河さんがいるから、私は銀河さんの妻だから――子供では、いられないんです」

「これが根拠だ、大マゼラン。地球人は愚かなことをする。けれど、それはより良き道を探して迷走するからだと俺は思う」

 Gライブラリの宇宙連邦の歴史を見て、文明を自分たちで築く前に宇宙連邦に加盟した種族と、文明を築いた後に宇宙連邦に加盟した種族とを比較して、気付いたことがある。

 文明を築いた後で宇宙連邦に加盟した種族は、その後の歴史をみると、おしなべて自主性が高く、勤勉だ。加盟時には混乱し、内戦も起こすが、その後は一気に伸びる。なぜなら、彼らの歴史は試行錯誤と競争の連続だったからだ。同じ場所で安逸に暮らしていた文明は、たちまち他の文明に滅ぼされてしまう。自力で原始社会から這い上がった種族は、怠惰で居続けることができない。そういう風に方向付けられている。

 対して、原始的な生活から一気に星間文明へ引き上げられた種族は、そういう方向性を持たない。文化も、技術も、先進種族が、すでに完成したものを与えてくれるからだ。自分たちが何かしなくても、優れた他の種族に任せればいい――そう考えてしまう。

 地球人は互いに憎み合い、殺し合う。

 しかしそれは、地球人の持つ無限のバイタリティと表裏一体なのだ。

「地球人の愚かさは、地球人の伸びしろだと俺は信じている」

「まったく……あなたも姫様も、考えが甘すぎです。そんな薄弱な根拠、私がGライブラリを検索して反論の証拠を集めれば、たちまち崩れてしまいますよ」

 やれやれ、という風に大マゼランは首を振ってみせる。

「ですがまあ、私も忙しい身ですので、お二人をやりこめるためだけにGライブラリをうろつく暇はないのです。何かありましたら連絡しますので、失礼します」

 ふっ、とホログラフが消えた。

「……気をつかってもらったのかな?」

「たぶん、そうですね。素直じゃない人ですから」

 メシエは握っていた俺の右手を放して、一歩下がる。それから髪の毛の乱れを気にするように、頭上に浮かんだリングをいじった。

 俺とメシエの上に浮かぶリングは、他のドロイドと同じく、始祖の船と常時接続の状態だ。俺たちの肉体、精神の状態を常にモニタして、記録している。もちろん、会話や周囲の光景もモニタしてある。寝ていても、風呂やトイレに入っていてもだ。

 つまり、これからの行為も、完全に記録に残る。

 記録を閲覧できるのは大マゼランだけで、その場合でも、緊急時に限っている。

 それでも、やはり記録に残るということそのものが、どうにも気恥ずかしい。

「気がのらないんだったら、今朝はなしでも――」

「いえ! 始祖の腕輪が消耗しているのですから、これは必要なことです。こ、皇家の義務と言っていいでしょう!」

 メシエが俺と視線を合わせないまま、早口で言う。

 ――あ、そうか。

 メシエがためらっている理由がわかった。

 ――気がのらないからじゃなくて、のり気なのが記録に残るのが恥ずかしいのか。

 複雑な乙女心というやつであろう。

「では銀河さん。目隠しをしますね」

「うん」

 俺の異能は、相手が見えないことが発動条件。

 メシエの異能は、相手に見られていないことが発動条件。

 よって、俺が目隠しをすれば、双方の発動条件が満たされる。後は互いの異能と異能のぶつかり合いである。

「今日は負けませんから」

 メシエが目隠しを手に、畳に座った俺の後ろに回って宣言する。

「ふ、返り討ちだ」

 俺は右手をわきわきさせ、受けて立つ。

 その後のことは――

 夫婦(予定)の秘密というやつである。


*** Secret ***  *** Secret ***  *** Secret ***

「今日は危なかった……アレは禁じ手にしよう」

「はい……あの、銀河さん。それで、あの、ご病気とか、体の異常では――」

「違います。健康だからです」

「あんなに熱くなるんですね……はう」

*** Secret ***  *** Secret ***  *** Secret ***


 衣服を整え、お互いに相手の後ろを見てチェックした後、一階におりる。

「遅い! もう時間ないよ! ちゃっちゃと食べて食べて!」

 なぜか不機嫌な鈴に、俺までせかされての朝ご飯。

 朝食の後、鈴はメシエを連れて、一階の大家の隣にあるメシエの部屋に入る。

 俺が流しで洗い物をした後、今日の予定をチョー先輩とメールでやり取りしていると、鈴とメシエが戻ってきた。

「じゃーん!」

 鈴が着替えたメシエを俺の側に押し出す。

「メシエさんの制服姿だよ! さあ、とくとおがめ!」

「おお」

 メシエが着ているのは鈴と同じ高校の制服だ。素材は宇宙モノだがデザインは同じだ。

「よく似合ってるよ、メシエ」

「ありがとうございます、銀河さん」

 はにかむメシエ。

 日常的に見慣れている制服でも、こうして見ると――うむ、なんだ。

 そこはかとなく、犯罪のような匂いが。

「銀兄、顔がにやてけてるよ。オヤジみたい」

「鈴相手だと、にやけないから、大丈夫」

「何よそれ!」

 俺と鈴のやり取りに、メシエがクスクスと笑う。

 一ヶ月ほどであるが、短期留学としてメシエは鈴の高校に通うことになった。メシエと同じように、日本各地の学校や職場に百人ほどの人型のドロイドが入って地球の生活や文化を学ぶことになる。俺もまた、その中に紛れている。

 世界の他の国には、これほどの集中投入はない。一人から十人だ。大マゼランに「社会のドロイドへの親和性の高さ」とか適当な理由をつけてもらったが、単純にメシエや俺が目立たないようにするためだ。

「顔見知りがいた方がいいだろう、ということで鈴さんと同じ学校、同じクラスに編入させてもらいました」

「ウチの学校、この辺だと、そんなにいい学校じゃないから、メシエさんには申し訳ないんだけどねー。スポーツは強いんだけど」

「いえ、うれしいです。私もネロスでは学校でスポーツ活動をしていましたから」

「そっか。メシエさんも学校ではスポーツ系の部活だったんだよね。それもガチ格闘系」

「へえ」

鎧装ガーラだっけ? パワードスーツを着て戦うスポーツ」

 よく鈴の部屋にお泊まりしておしゃべりしているため、メシエのプライベートに関しては鈴の方が俺より詳しい。

「はい。皇家では、代々、婦女子のたしなみとして女の子は鎧装格闘技ガーラアーツを学んでるんです」

「なんと」

 そういえば、超越体と情報空間内の闘技場で戦った時にも、鎧装の脚部ブースターをつかった強烈な回し蹴りを決めていたっけか。

 俺は自分の右腕で眠りについている始祖の腕輪を見た。

「こんな物騒なものでスポーツして大丈夫なのか?」

 地球サイズの惑星を原子分解する武器を個人で搭載しているのだ。

「安心してください。スポーツ用の鎧装は、戦闘用とは違って搭載武装も出力も制限があります」

「武装もあるのか!」

 むしろ、安心できない。

「武装といっても、一対一なら近接武器限定で、火砲を使うのはチーム戦の時だけです」

「チーム戦?」

「はい! 三対三と五対五の二種類があって、かなり自由度の高い組み合わせでバトルできるんですよ。私のチームは、私ともうひとりが近接役アタッカーで、三人目は支援役バッファなんです。相手の懐まで支援役バッファの子に守ってもらって飛び込むことができれば、火力の差は補えます。もちろん、この型が万全というわけではありません。地区予選で対戦したライバルチームは三人全員が火砲役シューターで、それもひとりは機雷敷設マインレイヤータイプの移動妨害武装だったので、支援バフが息切れを起こして危なかったです」

「どうしたんだ?」

「マグネ――もうひとりの近接役アタッカーの子が機雷を全部受けて、その間に私が斬り込みました。チャージさえ成功すれば、近接役アタッカーのラッシュは止められません。手数が違います」

 ぐっ、と拳を握り、目を輝かせて語るメシエ。

 なんという銃剣突撃なお姫様。

 しかし、語るなぁ。よほど好きなのだろう。

 すでに同じ話をメシエから聞いているのか、鈴が「カバン取ってくるね」と自分の部屋に入っていった。

 ――こっちの学校ではできないのが残念だな。いや、ネロスのスポーツを通して地球と交流を深めるのもいい手かもしれないぞ。

 などと俺が頭の片隅で考えていると、メシエはポシェットからカードを取り出した。空中にホログラフ映像が投影される。

「これ、今年の中学大会で私のチームが優勝した時の写真です。左がパルさんで支援役。右がマグネで私と同じ近接役の子です」

 満面の笑みを浮かべたメシエが、右手でトロフィーを掲げ、右の子の首に左手を回している。左にいるおっとりした感じの糸目の子がパルで、メシエに抱きつかれて赤くなっている、細身でやんちゃな少年のような子がマグネか。

 まあ、中学生くらいなら、二次性徴に個人差もあるし――

「え?」

「どうしました、銀河さん?」

「いや、自動翻訳の調子がよくないようだ。いつの写真だって?」

「今年です。……あ、このふたりのことを心配されてるのですか? 大丈夫です、まだ時間凍結していますけど、首都に重力爆弾が落ちた時に私と一緒に転送されていて、始祖の船に収容されていたんです」

「うん、それは良かった。で、どういう大会だっけ?」

「? 鎧装格闘技ガーラアーツの全星中学大会ですよ。私は来年卒業だったので、優勝できたのは本当にいい思い出になりました」

 おおう。

 いや、他の可能性もある。中学という言葉に囚われてはいけない。

「……」

「銀河さん?」

 俺は自分の頭に浮かぶリングを経由してGライブラリに緊急検索をかけた。

 ほら、中学校といっても、昔の日本では旧制中学で五年制だったりするし。

『ネロス皇国では、小学校と中学校が一体になった基礎学校があり、メシエ・N・ジェネラルが通っていたのはこの基礎学校。卒業時の年令は十五才』

 おおう。

 いや、まだ可能性はある。地球の枠で考えてはいけない。

「……」

「銀河さん?」

 俺は再びGライブラリを緊急検索。

 ほら、一年とは惑星が恒星の周囲を一周する期間のことだから。たとえば火星だと一年は地球の一・八八倍になる。俺は地球年では二十八才だが、火星年でいえば十五才になる。メシエの場合もそんな感じで、地球年だと十八才以上とか。

『惑星ネロスの公転周期は三百四十八日。一日の長さは二十三・七時間。地球と比べると五パーセントほど短い〇・九四年。メシエ皇女は地球年では満年齢で十四才になる』

 あかん。

 よりによって、一才下がった。

 他にもSF名物、特殊相対性理論のウラシマ効果もあるのだが、今回はどうも関係がなさそうなのでGライブラリへの検索は諦める。

「どうしました? 顔色が悪いですよ、銀河さん?」

「大丈夫。メシエと将来夫婦喧嘩する時には注意が必要だな、と」

 はっはっはっ、と乾いた笑い。

 ぷぅっ、とメシエが膨れてみせた。

「やだ銀河さん。私は母上とは違いますよ。鎧装を着て夫婦喧嘩なんかしません。瓦礫とか出て、後片付けが大変ですから」

 やったのか、お母上は。

 父上殿は、よく無事だったな。

「お待たせーっ! さ、行くよメシエさん」

 そこにカバンを手にした鈴が戻ってきた。

「はい、鈴さん」

「じゃね、銀兄。鍵かけといてね」

「いってきます」

 メシエと鈴は玄関で靴を手に取ると、縁側から裏庭に出る。

 メシエがリモコンを空に上げると、ふよーん、という音がしてUFOのジョージが降りてきた。

 空に舞い上がるアダムスキー型UFOに、ぼんやりと手を振りながら俺は考える。

 ――結婚の約束、三年後にしといてよかった。

 がんばれ、俺の理性と良識。

「それにしても……十四才で、あのおっぱいか」

 石川啄木のような顔をして、じっと手を見る。

 もみゅ。

 かぷっ。

 理性が負けると、すぐに反撃がきた。


次回『皇国再興番外編:鎌倉の老人』

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