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お前なんかに渡さない。


 その日の晩御飯はとんかつだった。


 よかった。これでセロリなんか出た日にゃ私の未来が闇に閉ざされるところだよ。


 しっかし、花咲超ムカつくんですけど。超感じ悪いんですけど。ちょっと男前だからって調子乗り過ぎじゃね?


「どうしたのセリカ? ずいぶんとご機嫌ななめじゃない」


「べっつに!」


「逆にセイラはやたらとご機嫌ね?」


 そうなのだ。

 お姉ちゃんの言う通り先ほどから私の隣では、

 お兄ちゃんがさえずるように鼻歌をうたいながらご飯をもぐもぐしているのだ。

 それがまた腹立つ。

 かわいいけど……。


「お兄ちゃん行儀悪い。隣で鼻歌うたいながらご飯食べんのやめてくんない?」


「ああ、うん。ごめんねぇ」


 私の注意に、鼻歌は止むもその笑顔までは崩せない。

 さすがに私も、笑うなと言うほどは幼くない。


 ったく。あんなの友達じゃないよ。

 エスカレートして、本当に靴とか舐めさせられたらどうすんのよ。

 想像するだけで――――


 「セイラ、靴なめろよ」

 「うん。舐めるねぇ花咲君」

 「ちょっと待て。今日は直接足を舐めさせてやる。サッカーして洗ってないから臭うぞ」

 「すごい……花崎君のにおい」

 「嫌なのかよ」

 「ううん。そんなことないよぉ。ぺろぺろ~」

 「くっ、くすぐったい」

 「ぺろぺろ~」

 「はぁはぁ」

 「ぴちゃぴちゃ~」

 「も、もういい。もういいから、服脱げよ」

 「え、でも、今日体育あったからボク汗臭いしぃ……」

 「バカ、それはお互い様だろうが。俺たち友達だろ」

 「で、でも恥ずかしいよぉ~!」

 「俺も脱ぐから。な?」

 「う、うん……」


 ……おかしい。

 悪くない展開になってしまった。

 

「セリカちゃん、さっきから息荒いけど大丈夫ぅ?」


 気がつくと、長い金髪を耳にかけながら私の顔を心配そうに覗き込むお兄ちゃんの顔があった。

 いかん。

 いかんいかん。

 こんなかわいいお兄ちゃんの大切な乳首を花咲なんかに渡さない!


「お兄ちゃん」


「んん~?」


「絆創膏貼ろっか?」


「どこにぃ?」 


 とんかつでテラテラのお兄ちゃんの唇ヤバス。


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