成長記録保存専用写真機。
クリスマス当日。
朝起きて、まずは枕元のプレゼントを確認する。
包みを開けると、中からリクエスト通りのデジカメが出てくる。
これでお兄ちゃんの成長記録を形として残せる。
さすがにお姉ちゃんの仕事用のデジカメは使えなかったからなぁ。
ちなみに仲の良い双子の兄妹に限っては盗撮は罪にならない。
私はデジカメを手にお兄ちゃんの部屋へと向かう。
ドアの前で一度屈伸すると、おしっ、と気合いを入れてノックしてイン。
「お兄ちゃん、今年もプレゼント届いたよー!」
っと無邪気にはしゃいでみせる。
だって、お兄ちゃんが喜んでるのに、
私だけ「サンタ乙」みたいなテンションは不自然だから。
しかし、今年は違った。
そんな私を見たお兄ちゃんは、
「よかったねぇ、セリカちゃん」と笑顔でうんうんと頷く。
あれ? なにその上から目線。
「お兄ちゃんはなにもらったの?」
「ボクは今年はもらってないんだよぉ」
「もらってないって……どういうこと?」
「うん。今年はいらないってお願いしたんだよぉ」
そこにドタドタと階段をかけあがってくる音が響く。
「わぁーい! 二人とも見てー! お姉ちゃんにもサンタが来たよー!」
そう言って部屋に入ってきたお姉ちゃんの手には、
ラッピングされた小さな箱が握られていた。
お姉ちゃんは、なにかなーなにかなーと言いながら、
包装紙を破って箱を開けていく。
なんだろ、この茶番臭……。




