表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/48

プレゼント。


 おとうさんとおかあさんをいきかえらせてください。


 当時、小一だった私は大事に取ってあった金色のおりがみの裏に、

 これまた大事に使っていた金の色鉛筆で、サンタに宛ててそう書いた。


 今考えると、金に金って、ギャグ漫画に出てくる金持ちみたいだけど、

 当時の私はそんなことを考える余地がないぐらいに純真だったのだ。

 当時の私ぺろぺろ。


 クリスマスの朝。

 目が覚めると私の枕元には、お父さんでもお母さんでもなく、クリスマス包装の箱を抱えたお姉ちゃんが座っていた。


「その……プレゼントなんだけど、サンタさんちょっと用意できなかったみたいでね、その代わりお姉ちゃんによろしくって。お姉ちゃんがお父さんとお母さんの代わりよろしくって頼まれたの。で、これね、こないだセリカが欲しがってたマジプリの白雪ちゃんのペンダントだって」


 そう言って、お姉ちゃんは持っていた箱を私に差し出した。


 一瞬茫然としたけど、私は小一ながらにお姉ちゃんの困ったような、

 今にも泣いてしまいそうな顔を見て、

 それ以上困らせてはいけないことだけはわかって、

 とりあえず「うん。わかった」といい子の返事をした。

 お姉ちゃんは心底ホッとした表情をして、そのまま私を抱きしめると結局泣いてしまった。


 わざわざ訊いたことはないけど、お姉ちゃんはおそらく随分と前からあのプレゼントを買って用意していたのだと思う。


 当時私はそれぐらい『マジカルプリンセス白雪ちゃん』というアニメにドハマりしていたし、段ボールと折り紙とアルミホイルを駆使して作るくらいに白雪ちゃんの変身ペンダントを欲していた。


 ただ私はそれでも、それ以上に叶えて欲しい願いがあったので、

 今年の冬はこの段ボールのやつで我慢しようと思っていたのだ。

 お父さんとお母さんが生き返ったら誕生日に買ってもらえばいいやと本気で思っていたのだから、当時の私は純真を通り越してかなりバカだったんだと思う。

 お兄ちゃんですら、それは叶えられないと理解していたのだから。


 その証拠にお兄ちゃんは白雪ちゃんの一期前の、

 『ホーリープリンセスかぐやちゃん』のホーリーバンブーソードをお願いしていた。

 ホーリーバンブーソードは握り手の先に星が付いただけの竹刀で全然かわいくなかったのだが、どういうわけかお兄ちゃんはこのかぐやちゃんの長い黒髪がいたくお気に入りで、ホーリー十二単(じゅうにひとえ)も前の誕生日のときに揃えていた。


 ただ金髪のお兄ちゃんにそれらはあまり似合っていなかった。

 その姿を見た当時の私は「台無しだ」と思った。

 そのころからだと思う。

 私が自分のお兄ちゃんは、もしかしたら天使なんじゃないだろうかと疑い始めたのは。


 同時にそのクリスマスからだと思う。

 テレビやチラシなんかの、

 『お子様のクリスマスプレゼントに』の意味を、私がなんとなく理解するようになったのは。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ