プレゼント。
おとうさんとおかあさんをいきかえらせてください。
当時、小一だった私は大事に取ってあった金色のおりがみの裏に、
これまた大事に使っていた金の色鉛筆で、サンタに宛ててそう書いた。
今考えると、金に金って、ギャグ漫画に出てくる金持ちみたいだけど、
当時の私はそんなことを考える余地がないぐらいに純真だったのだ。
当時の私ぺろぺろ。
クリスマスの朝。
目が覚めると私の枕元には、お父さんでもお母さんでもなく、クリスマス包装の箱を抱えたお姉ちゃんが座っていた。
「その……プレゼントなんだけど、サンタさんちょっと用意できなかったみたいでね、その代わりお姉ちゃんによろしくって。お姉ちゃんがお父さんとお母さんの代わりよろしくって頼まれたの。で、これね、こないだセリカが欲しがってたマジプリの白雪ちゃんのペンダントだって」
そう言って、お姉ちゃんは持っていた箱を私に差し出した。
一瞬茫然としたけど、私は小一ながらにお姉ちゃんの困ったような、
今にも泣いてしまいそうな顔を見て、
それ以上困らせてはいけないことだけはわかって、
とりあえず「うん。わかった」といい子の返事をした。
お姉ちゃんは心底ホッとした表情をして、そのまま私を抱きしめると結局泣いてしまった。
わざわざ訊いたことはないけど、お姉ちゃんはおそらく随分と前からあのプレゼントを買って用意していたのだと思う。
当時私はそれぐらい『マジカルプリンセス白雪ちゃん』というアニメにドハマりしていたし、段ボールと折り紙とアルミホイルを駆使して作るくらいに白雪ちゃんの変身ペンダントを欲していた。
ただ私はそれでも、それ以上に叶えて欲しい願いがあったので、
今年の冬はこの段ボールのやつで我慢しようと思っていたのだ。
お父さんとお母さんが生き返ったら誕生日に買ってもらえばいいやと本気で思っていたのだから、当時の私は純真を通り越してかなりバカだったんだと思う。
お兄ちゃんですら、それは叶えられないと理解していたのだから。
その証拠にお兄ちゃんは白雪ちゃんの一期前の、
『ホーリープリンセスかぐやちゃん』のホーリーバンブーソードをお願いしていた。
ホーリーバンブーソードは握り手の先に星が付いただけの竹刀で全然かわいくなかったのだが、どういうわけかお兄ちゃんはこのかぐやちゃんの長い黒髪がいたくお気に入りで、ホーリー十二単も前の誕生日のときに揃えていた。
ただ金髪のお兄ちゃんにそれらはあまり似合っていなかった。
その姿を見た当時の私は「台無しだ」と思った。
そのころからだと思う。
私が自分のお兄ちゃんは、もしかしたら天使なんじゃないだろうかと疑い始めたのは。
同時にそのクリスマスからだと思う。
テレビやチラシなんかの、
『お子様のクリスマスプレゼントに』の意味を、私がなんとなく理解するようになったのは。




