5館 玄関前
やっぱりこいつが3人目ですか……。
「うーわー、ついにまた来ちまった……」
▽カザマがげんなりしたように言う。
▽目の前にはやはり不気味すぎる館が立っていた。
「夢とか幻だと信じたかったんだけど……」
▽ナナギもほおをひきつらせて言う。
「あのー、誰かいませんかー?」
▽ナナギはドアを叩きながら行った。
▽2人はしばらく無言で待つが返事がない。
「やっぱりここじゃないんじゃねぇか?」
「そ、そうだな」
▽そう言って2人がまた来た道を戻ろうとしたとき――。
「はぁぁぁぁい……」
▽2人の後ろから地の底から響くような声と空に響き渡るような鉄がさびた音がした。
▽2人は恐る恐る振り返ると、ドアが開き、その間からは白い手が2人をつかもうとしていた。
『うわぁあああぁぁあ!!』
▽2人はバンッ! とドアを勢いよく閉める。
「いやいやいや、なんか出てきたんですけど、あれ人? 違うよね? 闇から来た使者的な感じだったよね?」
「ていうか、もしあれが闇の使者的なものだったとしてこれからおれらどうするの? 今思いっきし閉めちゃったよ? 『痛っ!』って中から聞こえたよ?」
「バカ、あれだ。闇の使者さんドジっ子だからきっとタンスの角で小指ぶつけたんだよ。決しておれらの閉めたドアのせいとかじゃなくてね?」
「そうだな。いつもならんなわけないだろって言うところだけど今回は信じる。そうだよな」
▽ドアの内側からドンドンと叩く音がした。
「うわわわわ、抑えろ、抑えろ!」
▽カザマとナナギのドアを抑える手に力が入る。
▽内側からの力もより強くなる。
▽少しすると諦めてのかスッとドアを開けようとする力が消えた。
▽ほっとするカザマとナナギ。
「はぁ~、びびったぁ……」
「早く戻ろう、そんでもう1人を迎えに行ってちゃっちゃか終わらせよう」
▽そう言って2人が来た道を戻ろうとするとまた『ギィィィィ』と音が響く。
▽2人は慌ててドアを見るが目の前のドアは閉じたままだった。
「あのー……」
▽2人はその声を聞き固まる。
「ボクに何か用……?」
▽2人がおそるおそる振り返るとそこには黒いフード付きのローブを来た少年がいた。
『(前髪めっさ長い!!)』
▽少年の前髪は顔の半分を占めており目はカザマとナナギから見ることができない。
▽それがまた少年を不気味に見せた。
「え、えーっとですね……。おれらこの場所に行きたいんですけど道に迷っちゃったみたいで」
▽そう言ってナナギは少年の顔をあえて見ずにアリサからもらったメモを渡す。
「……これ、ここで合ってます」
▽少年が言う。
「え? ぱーどぅん?」
▽カザマが無駄に笑顔で尋ね返す。
「だから、これに書いてある場所、ボクの家ですよ……」
「ちょっとナナギくん、こっちにいらっしゃい」
「その喋り方キモいからやめたほうがいいぞ」
▽そう言いながらナナギとカザマとナナギは少年に背を向け会議に入った。
「どう思う?」
「どう思うって……。おれが言わなくても答え見えてるだろ」
「バカヤロウ、それを否定して欲しいから聞いてんだろうが」
「カザマ、真実ってのはどうやっても変わらないものなんだぞ」
▽そう言ってナナギは会議を終了させ少年の方に顔を向ける。
「君ってアライド学園の生徒、だよね?」
▽ナナギの言葉に少年は首を傾ける。
「アライド……? 一応魔道学校の生徒だったような気もするけど……」
『(あぁ、やっぱりこいつも学校の名前知らないんだな……)』
▽カザマとナナギに一体どれだけの生徒が学校の名前を知っているのかという疑問がわく。
「とりあえず、ボクに用があるなら入って……」
▽少年に言われるままカザマとナナギは館の中へと入った。
セーブ:5 カザマ・ナナギ・少年 館入口
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