3学園内 チーム発表
いよいよ試験スタート!!
『皆さん、自分の手元に自分の番号札はいきましたかー?』
▽ミコトが生徒達の一番前に立ち、スピーカーで話す。
▽生徒達が多すぎてミコト先生の姿がまったく見えていないカザマとナナギは自分達の番号札を見ながら話した。
「なぁ、ナナギ」
「なんだよ」
「ミコト先生。『番号札』って言ってたよな」
「言ってたな」
▽二人の手の中にあるのは番号が見えないよう、二つ折りにされた紙切れである。
「これ、札じゃないよな」
「紙だな」
「おれ、今すっごい騙された気分なんだけど」
「大丈夫だ。それはお前だけじゃない」
「この気持ち、どうすればいい?」
「あきらめろ。」
▽二人のテンションがすごい勢いで盛り下がっている頃、周りは「もうすぐ始まる」というワクワク、ドキドキ感で大いに盛り上がっていた。
▽ちなみに番号札には魔法がかかっており開いてみることはできないので光にすかして見ようとしたりする者は少しからずいるのだか、もちろん無駄なことだった。
『チームがそろったところから学園長室へ行ってください』
▽そう言ってミコトは校舎についている時計に目をやる。
『みなさん準備はいいですか? では第20147回、アライド学園卒業試験スタート!』
▽『ワァアア!!』とみんなが盛り上がっている中、のんきにも
「(あぁ、そんな名前だったんだ学校)」
「(てか、ここそんな長い歴史あったんだ)」
▽と考えていたのはカザマとナナギだけである。
▽一方、番号札の方はミコトのスタートを合図に魔法が解け、簡単に開くようになっていた。
▽カサッ
▽2人はそれぞれ自分の番号札に書かれている番号を確認する。
「何番だった?」
「おれ214番。カザマは?」
「おれも214番だった。早く他のメンバーを探さなきゃな」
「おう、お互いがんばろうな」
「おぉ、じゃあまたな」
▽そう言って2人は別々の道を歩いた――。
▽と、思ったら2人とも3歩歩いてストップ、そのままバックしてお互いの顔をもう一度見合う。
「え、ナナギお前何番だって言ったっけ?」
「214番。おれも確認したいんだけどカザマ、お前214番って言った?」
「あぁ、ほら」
▽そう言ってカザマは自分の番号札をナナギに見せる。
▽ナナギもカザマに自分の番号札を見せた。
「……」
「……」
『ええぇえぇ――っ!??』
「ちょっ、マジかよっ、まさかの同じチーム!?」
「うそだろ!? おれ自分でカザマのライバルキャラだと思ってたんだけど!」
「いや、おれもそう思って試験中にお前とたまたま再開を果たして戦う(「お互いの成長を確かめ合おうゼ」的なノリの意味で)気満々だったんだけど!」
「お前結構痛い想像してるな!! ……ていうか配布ミスっていうのはないよな」
「多分この学校じゃありえねぇな」
「ていうことはカザマとミッションクリアしなきゃならねぇんだよな……。正直、頼りがいねぇ……」
「失敬だな。おれはやるときはやるゼ?」
「じゃあ、お前今勇者レベルいくつだよ?」
▽勇者レベルというのはその名の通り勇者のレベルのことである。
▽しかし、カザマは勇者コースだから『勇者レベル』なのであり、ナナギの場合は『猛獣レベル』と言われるようになる。
▽つまり、レベルの前にはそれぞれのコース名が入るのだ。
▽レベルはもちろん1が一番弱く10000が一番強い。
▽レベルアップに必要なスキルはコースによって違いがあり条件も様々である。
▽このレベルがアップしたときはレベルアップしたという報告を学校から魔法で教えてくれる。
▽ちなみに今年の卒業試験を受ける生徒の総合平均レベルは36である。
「な……7……」
▽カザマが小声で答える。
▽もう一度、今年の総合平均レベルは36である。
▽ナナギはあまりにもあまりすぎて何もコメントすることができず、ただただため息をついた。
「ちょ、なんとか言えよ!」
「だめだよお前……」
「なっ、しょうがないだろ! おれはやるときにはやる男なんだって!」
「お前は「やるときにはやる」んじゃなくて「やるときになっても気づかずそのままスルーしちゃう男」だよ、絶対……」
「じゃあ、じゃあ! お前はどうなんだよナナギ! そんな風に言うってことはおれよりはるかに強いんだろうな!!」
「……15」
「お前もそんなに変わんねぇじゃねぇか!」
「うっせぇ! 14年間生きといてまだ一桁レベルのやつなんかに言われたくねぇよ!」
「はぁ!? やんのかコラァ!」
「上等だ! かかってこいよ!!」
「……」
「……」
「……なぁ」
「なんだよ」
「おれら、何やってんだろ」
「わかんねぇよ」
「やめるか」
「そうだな」
▽2人は早くもスタート地点で深いダメージを負った。
「しかしこんな低レベルな奴2人を同じチームにするなんてアリか? 普通。こんなん普通のミッションでもクリア出来るかどうか……」
「いや、まだ諦めるのは早いぜ。このパターンはあれだ。残りの一人がめちゃくちゃ強いパターンだ」
「え?」
「大体こういうチームを作って何かをするっていう話ではどのチームも同じ暗いの強さになるように作られてるもんだ。っていうことはつまり、俺らみたいなダメ人間が2人いても他に劣らないチームになるほど残り1人が強いってことだ」
「おぉー。さすがどうでもいいことだけはよく知ってるな」
▽そうナナギに言われて「どうだ」と言わんばかりに胸をはるカザマ。
「でもそれってようするにおれらそいつからすれば単なるお荷物ってことになるよな」
「……」
「悲しくないか?」
「もう十分悲しんでるさ」
▽そう言いながら2人は必死に熱くなる目頭をおさえ、その液体が流れぬよう空を仰いでいると、1人の女性が近づいてきた。
「あなた達、もしかして214チームの子?」
「あっはい、そうです!」
『(女子キタ――(゜∀゜)――!!)』
▽と、2人はその女の方を見るとそこには、同学年ではないもっと年上、20歳くらいの見知らぬ綺麗な女性がいた。
「はじめまして、私は魔導師コースの教師のアリサです。あなたたちを探していたのよ」
「え、何でですか?」
▽こんな綺麗な先生がいるんだったら魔導師コースにしときゃよかった。
▽と2人は後悔しながらも表ではにこやかな顔で話し続けた。
「実はもう1人の214チームの子、今日休みなのよ。結構元々その子、学校を休むことが多い子なんだけど……。それでさすがにこの場にはいない見知らぬ子を探すのは無理があるじゃない? だからヒントを渡しに来たの」
「ヒント?」
▽ナナギが首をひねる。
「そう、これがその子が住んでるところだから、迎えに行ってあげて。ミッションはそのあと学園長室に来たら渡しえもらえるから」
セーブ:3 カザマ・ナナギ 学校の大広場
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