1登校
RPGと言ったものの、実はRPGをあまりやったことないんです。
ごめんなさい。(でも好きなんですよ、RPG)
もうこの時点であまりRPG臭がしないんですけど、楽しんでいただけたら幸いです(汗
「く~! よ~し、行ってきまーす!!」
▽そう言いながら少年は元気よく家を飛び出す。
「カザマ、気をつけて行ってくるんだよ~!」
▽カザマと呼ばれたこの少年が本作の主人公である。
▽天気は晴れ。
▽木々の間からは小鳥たちが気持ちよさそうに空を飛んでいる姿が見える。
▽まるで自分のことを早くも祝してくれているようだとカザマは思った。
▽カザマが通う魔道学校には卒業試験というのがある。
▽チームを組んで、今日から一年間の間に一つのミッションをクリアするというものだ。
▽チームとミッションは学校側で強制的にきめられる。
▽カザマは決してお世辞にも成績優秀とは言えなかったが、今ならなんでもできそうな気がしていた。
▽なぜなら学校も学校側でカザマの様な生徒のことも考えてくれているからだ。
▽ミッションにはF~Sランクのミッションがあり、一番低いミッションなら1日もかからずクリアできる。
▽でもカザマ自身、実はFランクのミッションじゃなくてもいいと思っている。
▽うわさだがSランクより一つ下のAランクとSランクでは天と地の差があるらしい。
▽つまりSランクのミッションさえでなければあとの二人に任せて、自分は何もしなくてもなんとかなるというのがカザマの考えだった。
▽だからカザマは何もやる気はないのだが、それでもあることを理由に今までにないぐらい張り切っていた。
▽どれぐらい張り切っていたかというといつも寝坊して遅刻してしまうカザマが今日はいつもより30分も早く学校に向かい、いつもめんどくさがってちゃんとフル装備で着ない、片ぐるしくてなんかいろいろとごちゃごちゃしている制服をめんどくさがりなカザマが母さんに頼まず自分でキレイにアイロンにかけてバッチルンルン気分で着てしまうぐらい張り切っている。
「おーいっカザマー!」
▽後ろからカザマを呼ぶ声にカザマは振り返る。
「おっナナギ!」
▽カザマもカザマを呼んだ少年、ナナギに手を振る。
「珍しいじゃん、こんな時間に起きているカザマに会えるなんて」
「何気に張り切っているからなっ」
▽ナナギはカザマと同じ魔導学校に通う、カザマの家の隣に住んでいる幼なじみだ。
▽赤いバンダナがトレードマークのナナギはカザマとは違い、VネックTシャツにダボっとしたズボンとブーツというとてもラフな格好をしている。
「いいよなー、猛獣コースの制服は動きやすそうで」
「そうか? やっぱりこういうときはお前んとこの勇者コースの制服が一番さまになるだろ」
▽カザマたちが通う学校にはいくつかのコースがあり、カザマが通っている勇者コースやナナギが通う猛獣コース、戦士コースに魔道士コース、格闘コースなど様々なものに別れている。
▽コースによって授業内容が違うのはもちろん、制服もそれぞれ違うのだ。
「それにしてもお前はずいぶん張り切ってるよなぁ。おれなんか気が重くて仕方ないのに……」
「だって今日決まるミッションにクリアさえすれば残りの期間は全部、全部、ぜーんぶっ、フリーなんだぜ!?」
「あぁ。『合格者の休み』 、な」
▽合格者の休み、とはその名の通り合格した者から得られる休みだ。
▽例えば今日ミッションを出されて今日クリアしてしまえば次の今日――桜の1日までの1年間が休みになる。
▽もちろん期間の1日前、柊の63日にクリアした場合は桜の1日までの数時間が休みとなる。
▽つまり、グループによって休みの長さが違うのだ。
▽休みは長いことに越したことはないがそんな欲を持ちまくるとろくな目に合わないことはカザマでもわかっていた。
「(そうさ、おれは誠実な男余計な欲には気を取られないゼ!)」
「お前、何一人で笑ってんだよ、気持ち悪い」
▽ナナギがカザマを冷たい目で見る。
「でも、お前合格者の休みが楽しみだって言うけど、どれくらいの長さ狙ってるんだよ」
「う~ん、だいたい1年を10とするなら10分の9ぐらいはほしいかな」
「欲丸出しだな。」
「え!? 何それビックリ☆」
「おれはお前がびっくりしてることにびっくりだわ」
「てか逆になんでナナギはそんなテンション低いんだよ、うれしくねぇの?」
「そりゃ休みはうれしいけど……やっぱりちょっと不安だな。一応卒業試験なわけだし」
「まったくお前は何歳だよ。もう14だぜ? 人生の中で1番輝いていたと言われてもおかしくない時期なんだぜ? もっと羽を広げて自由にダイナミックかつアバウトに行こうゼ☆」
「落ちこぼれ組のくせにどうやったらそんな自信がわいてくんだよ。あと語尾の『ぜ』ウザイ」
▽そう言ってナナギはため息をついた。
セーブ:1 カザマ・ナナギ 学校への通学路
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