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22トイとリイの宝探し

 ▽カザマたちが深い深い眠りについていた頃、トイは一人何故か目が覚めた。


 ▽トイレに行きたいわけでもお腹がすいたわけでもない。でも明日の宝探しに胸を躍らせすぎていたわけでもない。


「リイ……?」


 ▽隣で寝ているリイの方に顔を向ける。しかしそのいつもの姿がない。


「リイ?」


 ▽トイは起き上がりリイがいるはずの布団をどかせる。


 ▽しかしどこにもリイの姿はない。


「……まさか」


 ▽トイの顔は青ざめ急いで部屋を出て行った。



「カザマ兄ちゃん!!」


「グフオエェ!!」


 ▽カザマたちの部屋に勢いよく入ってきたトイはドアの真正面で寝ていたカザマにダイブする。


「助けて、リイが、リイが!」


「お、おり、て……」


「トイくん、どかないと助ける前にカザマが死んじゃうよ」


 ▽起きたてのカザマが部屋に電気をつけながら冷静にツッコミを入れる。


「……っ」


「「!?」」


 ▽電気をつけトイの顔を見るとカザマたちはギョッとした。


 ▽なぜならトイの目には涙が溜まっていたからだ。


「お、おい、一体どうしたんだよ」


「さっきリイがっていってたけど……リイちゃんがどうかしたの?」


「実は……さっき兄ちゃんたちが話してたことおれたち聞いてたんだ」


「あ? なんか話してたっけ?」


 ▽カザマが首をかしげる。


「もしかしてあのグダグダした推理会モドキのこと?」


 ▽ナナギの言葉にトイはうなずくがカザマはまだ釈然としなそうな顔をしている。


「前回の話見直してこい。で、その話をトイくんとリイちゃんは聞いていたんだね」


「うん。正直何グダグダ言ってるんだろうって思ってさ」


「うん……」


「おれはそこまで兄ちゃんたちの話を信じてなかったんだ。でもリイは違うかったみたいで……。さっき起きたら、リイの姿がなくって……」


「「え!?」」


「ナナギ兄ちゃん言っただろ? 今日が満月だって、きっとリイ、森の奥に行ったんだよ!」


「ま、まさか」


「あーあー、ナナギのせいだぁ。やっちまったなぁ」


「む、あのなぁカザマ、今はふざけてる場合じゃないだろう!?」


「へーいへい」


 ▽てきとうに返事をしながらカザマは一人部屋を出ようとする。


「おい、どこに行くんだよ」


「どこってこの状況から普通に考えたら森に決まってんだろ? 今からイサノさんたち起こすのも悪いし」


「カザマ……」


「まぁ、このままじゃ胸糞悪いしな。おら、とっとと行くぞ」


「あ、あぁ。あ、そうだルチアは……」


 ▽ナナギがルチアの方を見るとルチアは絶賛爆睡中だった。


「(ま、まぁいいや……あいつレベ0だし)」


「おーい、どうしたんだよ」


「いや、ルチア寝てるっぽいからおれたちだけで行こうぜ」


「なーんだ。あいつがこん中で一番レベルたけぇから何かあったら守ってもらおうと思ってたのに」


「おい勇者。まぁいいや、とりあえずルチアが見たっていう……待って、おれらじゃ場所わかんないじゃん」


「あ」



 ▽というわけで。


「結局フルメンバーでリイちゃんを探すことになりました~~ドンドンパフパフ!!」


「妙なハイテンションやめて、疲れるから。……とにかくその抜け道があったっていってたところまでは来たけど……」


 ▽もちろん今は夜、明かりといえるのは空にかかっている満月のみ、村の中でも足元はよく見えない。


 ▽しかも森の中となればさらに暗闇が支配している。


「本当にこんな中を女の子一人が入ってったのかよ」


「だからこそ早く見つけなきゃ危険だな、夜の森じゃ何が出てくるのかもわかったもんじゃないし」


「でもなぁ、さすがにこんな暗さじゃおれたちまであぶねぇぞ?」


「なぁなぁ」


 ▽トイがカザマの裾をぐいとひっぱる。


「あ?」


「あんまし変わんないかもだけど、おれこれ持ってるよ」


 ▽そういってトイがポケットから取り出したのは手のひらサイズのランタンだった。


「ちっさ!!」


「村の特産物の一つでさ、中にはホリルルの光を閉じ込めてるんだって」


「ホリルル?」


 ▽聞き覚えのない名前にカザマは首をかしげる。


「虫科のモンスターの一種だよ。小さいやつで、夜の川辺によくいるんだ。まぁ一番の特徴はホリルルはお尻の部分が光るってことなんだけど、ホリルルたちがいる川の風景はそりゃロマンチックでホリルルがいる川は大体カップルの恋愛スポットとして有名なんだ」


「まとめるとリア充モンスターってことか、チッ」


「僻むなよ。とりあえずトイくんそのランタン点けてみてくれない?」


「うん」


 ▽トイがランタンのてっぺんにあるスイッチを押すとランタンは黄色く暖かな光を灯した。


「すごい、小さいのにこんなに明るくなるんだ」


 ▽ナナギは関心しながらあたりを見回す。


 ▽先ほどまでは目を細めなければ見えにくかった人の顔も今なら簡単に見ることができる。


「この中にはホリルル何匹分の明かりが入ってるんだって。もっと大きなランタンならもっと明るいよ」


「へぇ」


「じゃあ明かりも手に入ったしさっそくリイ探しに行こうぜ」


 ▽カザマがそう切り出し、四人は森の中へと入っていった。


 セーブ:22 カザマ・ナナギ・ルチア&トイ 村はずれの森

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