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17トイとリイの苦手な相手

「ん~、なんていうかさぁ」

 ▽ナナギが壁から顔をヒョコリと出した状態で自分の下にいる、自分と同じようなポーズのトイに話しかける。

「ルチアからにじみ出る『家に帰りたい』オーラがすごいんでだけど……」

 ▽宝探しが始まって早一時間。

 ▽ナナギとトイは作戦通りルチアとリイのあとをついて言っていたのだが、今のところなんの手がかりも見つかっていなかった。

「これでもう50人ぐらいに聞いてるよね」

「そんなに聞いてるわけないじゃんって言いたいけどマジだからリイちゃんすごいよね」

「宝がかかってるから」

「だよね」

「うん」

「うん?」

 ▽ナナギは首をかしげる。

「一応聞いときたいんだけどトイくんたちって本当に子どもだよね? 中におっさんが入ってるとかじゃないよね?」

 ▽ナナギの問いかけにトイは不思議そうに答える。

「おれもリイもまだ7歳だよ?」

「うん……そうだよね。いや、なんか……」

 ▽ナナギが一人悶々としてるとふと例の鐘に目が止まった。

「トイくん」

「え、何?」

「あそこにいるのって誰?」

 ▽そう言いながらナナギは少し離れた鐘の部分を指差す。

「鐘のところにいる人?」

「そうそう」

 ▽目を細めて尋ね返すトイに平然とした様子でうなずくナナギ。

「兄ちゃん、あそこ見えるの?」

「うん」

 ▽ここで個人情報を一つ、ナナギの視力は10.0である。

 ▽つまり世界で一番視力がいいと言われる種族並である。

 ▽そんなことをトイは知るはずもなくツッコミ役がそんなやつなのでツッコミなんて入る訳もなく話は進むのだった。

「多分そこにいるのって鐘鳴らしおじさんだよ」

「鐘鳴らしおじさん? もしかして鐘を鳴らす当番の人?」

「うん。おしさんだから鐘鳴らしおじさん」

「へー。てっきりおれ、機械仕掛けで鳴っているんだと思ってた」

「あそこができてからずっとおじさんが鳴らし続けてるんだってさ」

「ふーん、じゃああそこに上がろうと思えば上がれるんだ」

「え?」

「いや、あそこに登って村を上から見れば何か見つかるんじゃないかなって」

「えー、あそこに行くの?」

 ▽トイは明らかに嫌そうな声を出した。

「え、だめだった?」

「いや……ダメっていうかぁ」

 ▽トイは足で小石をいじりながら話す。

「おれと、リイって昔鐘鳴らしおじさんに怒られたことあるんだよ……」

「へ?」

「だ、だからぁ、昔、夜にこっそり家を抜け出して森でリイと肝試ししようとしたら鐘鳴らしおじさんがすごい顔でやってきて……」

 ▽ナナギの頭にピンとくる。

「ハッハーン、そんで怒られたからその人が怖いんだな」

「だってさ、この村の人って基本何やっても笑って許してくれるから、あんなに怒られたの初めてだったんだよ」

「(優しい人たちだな……)」

「だから、怖いっていうかちょっと、ちょっとだけ近寄りづらいっていうかさ……」

「わかったよ、じゃあまたルチアたちを追っかけでもする?」

「うん、あ、でも」

「ん?」

「おれたちが話してる間に二人ともどっかいっちゃっったよ」

「あ」


「はぁ~~~」

 ▽カザマは顎を机に乗せた状態で大きく息をはく。

「ひ~ま~だ~ぁ~!!」

 ▽足をぶらつかせるが筋肉痛に響くのですぐに止める。

「ったく、イサノさんは買い物で出かけちまうし、まじ留守番じゃねぇか。なんだよ、最近は主人公ほっとくパターンとかはやらねぇつうの」

 ▽なんて主人公とかわけわからないメタ発言をしてみるもツッコミもなく、帰ってくるのは家に自分の声が消えたあとの静けさ。

「……ふーん、別に平気だし? さみしいとかこの歳じゃさすがに思わねぇし????」

 ▽やはり誰の声も帰ってはこない。

「……」

 ▽こない。

「……」

 ▽こないんだってば。

「……」

 ▽聞こえたら逆に怖いでしょう?

「ねむ、寝よ」

 ▽そう言ってカザマ机にうつぶせになって寝る体勢に入る。

「………………スー」

 ▽またここでどうでもいい個人情報を一つ。

 ▽カザマは大体0.97秒で寝ることができる。

 ▽つまり日本で有名な青い猫型ロボアニメに出てくる丸めがねとほぼ同じスピードで夢の中へレッツらゴーするのであった。

 ▽もちろんここでもツッコミなしである。


 ▽30分後。

「あれ?」

 ▽ドアを開けたとたん自分の見慣れたリビングに見慣れない男子がいることで男は足を止めここが確かに自分の家であることを確認する。

「(じゃああの子は……?)」

 ▽男は家の中に入り、男子に近づく。

 ▽見た目はどう見ても10歳以上、自分の子どもという考えはできなかった。

 ▽男子はどうやら眠っているようで自分の存在には気づいていないようだった。

「ん……?」

 ▽と思っていると男子はうっすらと目を覚ます。

「え゛……」

 ▽男と男子はばっちりと目が合う。

「うわぁああああああああああ!!!!」

「うぉおおおおおおおおおおお!!??」

 ▽男と男子はほぼ同時に叫び声を上げる。

「ふ、ふ、不審者ーーーーーー!!」

「えっ、いや待ってそれこっちのセリフ!!!」

 ▽イスを掴んで投げ飛ばそうとする男子に男は必死に手をあげて自分は違うと叫ぶ。

「え」

 ▽男子はイスを持ち上げた状態で手を止める。

「……えーと、おじさん誰?」

「この家の主人って言ったらいいのかな……? 普段は家に帰って来れない職業してるんだけど……」

「あーーーーー!!」

 ▽男子はイスをがたんと落とす。

「えっ!?」

「おじさんもしかして……うっ!」

 ▽男子が何か言おうと男に近づこうとした瞬間男子は顔を歪ませその場にしゃがみこむ。

「え!? な、キミ大丈夫かい!?」

 ▽男は慌てて男子に駆け寄った。

「(まさかこの子何かの病気か怪我でもしてるんじゃ……!?)」

「へ、へへ……」

 ▽男子は額に汗を浮かべながら笑って男の顔を見る。

「だ、大丈夫なのか? すごい汗だけど……」

「心配ないっすよ、ただの……」

「ただの……?」

「ただの筋肉痛っすから」

「キミいつもそんな感じなの?」


 セーブ:17 カザマ トイとリイの家

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