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16トイとリイの宝探し

「えーと」

 ▽ナナギはトイとリイの前で例の紙を持ちながら言う。

「本日はカザマの貧弱な体が筋肉痛で根を上げているため、宝探しをしようと思いマース」

「おれが筋肉痛なの関係ねぇだろ」

 ▽カザマはリビングのイスに座りながら言った。

「でも動けないんだろ、役立たず」

「うるせぇな、はねてる髪全部引きちぎるぞ」

 ▽殴りかかろうとするナナギをルチアがなんとか止める。

「どー、どー……」

「おれ動物かよっ。しかもそんなゆったりとしたので誰が落ち着くか!」

「えっとじゃあ……ヒーヒーフー?」

「違うわ! てか使い古されたネタだなおい!!」

 ▽ルチアはスっと自分の耳をふさぐ。

「……何やってんの?」

「……」

「……おーい、ルチア?」

「え、ごめん。何言ってるのか聞こえなかった」

「だろうな! 耳ふさいでんだから!!」

「いや、声大きくてちょっと……」

「誰が大きくさせてんだよ!」

「え、誰?」

 ▽ルチアがポカンと口を開け首をかしげる。

「もうやだこいつら……。早く家に帰りたい……」

「え、もしかしてホームシックってやつ? クソワロwww」

「ちげぇ!」

「ナナギ、もしかしてボクと一緒……」

「ああ、もうほんとこの人たち会話成り立たない!! ナニコレ、俺が悪いの!?」

「お兄ちゃん、お兄ちゃん」

 ▽リイがナナギの服のすそをひっぱる。

「え?」

「さっきの宝について詳しく教えて?」

 ▽ニコリと笑うリイ。しかしその目は獲物を上空から狙う鷹の目だった。

「あ、は、はい……」

▽気を取り直して再びナナギが説明をする体制に入る。

「えーと、せっかくだから今回はおれとトイ、ルチアとリイのチーム対抗戦式にしようと思います。ルールは先にこの紙に書かれた宝を見つけた方が勝ち。今日の鐘が鳴るまで、いい?」

「もしどっちも見つけれなかったら宝はどうするの?」

 ▽リイがかわいらしく首をかしげる。

「そんんときゃ引き分け、宝とはサヨナラだ」

 ▽カザマが手をひらひらと振る。

「というか、正解の場所はおれたちも知らないから答え合わせも何もできないんだよなー」

「ま、その方がズルとかもできねぇし、おもしろいんじゃねぇの?」

「カザマは宝探しに参加しないけどな」

「うっ、いちいちうっせーなぁ。んじゃとっとと始めんぞ、よーい、ドンッ」


 ナナギ&トイチーム

「さて、これからどうしよっか」

 ▽ナナギが尋ねるとトイは元気よく答えた。

「わかんない!」

「わかんないって……じゃとりあえず何か思いつくまで村の中ブラブラする?」

「ううん」

 ▽トイが勢いよく首を横に振る。

「リイたちのあとをつけよう」

「え?」

「リイは金や宝に目がないからきっと屍踏みつけてジャンプ台にしてでも見つけるよ、それで見つけたところをおれたちがぶんどっちまうんだ!」

 ▽トイはいたって普通に笑って答える。

「アハハ……」

 ▽ナナギはただ苦笑いをした。

「(どういう育ち方したんだ、この兄妹……)」


 ルチア&リイチーム

「……」

「……」

「……えーと」

 ▽子どもの相手は苦手だと言っていたルチアが先に口を開く。

「どうしよう……?」

 ▽はたから見れば暗いわ前髪長いわ元気ないわと不気味要素が揃っているルチアにリイは変わらない笑顔で答える。

「ルチアお兄ちゃん、私もう一回あのメモ用紙見たいな」

 ▽そう言われルチアは古ぼけた髪に書かれた文をメモした紙をリイに渡す。

 ▽本物の紙は不公平が出ないようにカザマが持っているのだ。

「満月ってそのままお月さまのことなのかな? ただまん丸のものってことかな?」

「……たぶん」

「あと音ってことはやっぱり楽器がヒントなのかな?」

「……たぶん」

「『あの家』っていうのがキーワードなのかな?」

「……たぶん」

「もー!」

 ▽リイが大声で叫ぶ。

「お兄ちゃんたぶんばっかりじゃない!」

「だってわからないし……」

「それでも同じことばっかり言わなくてもいいじゃない! いい? これには宝物がかかってるのよ! つまり金がかかってるってことなんだよ!!?」

「じゃあ……とにかく怒ってないでそれっぽいの探した方がいいんじゃないかな……」

「お兄ちゃんよく、マイペースって言われない?」


 セーブ:16 ルチア&リイ 村

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