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13トイとリイの母

「つまりあなたたちはアライド学園の試験生徒でミッションをクリアするために旅に出たのはいいけど道に迷い、そこでトイとリイに出会ったというわけですか?」

「まぁまとめるとそんな感じです」

 ▽ナナギが面目なさそうにイサノにうなずいた。

「でもすごいですね、アライド学園とその卒業試験のことはこの村でも有名ですが実際に生徒さんを見たのは初めてです」

「そうなんすか?」

 ▽さっきまでクッキーをルチアと共に食べていたカザマが反応する。

「てか完食かよ」

 ▽ナナギはクッキーが一枚も残っていない皿を見ながらツッこむ。

「えぇ、ここは普通の人が来ること自体が珍しいですから」

「へー」

「もしよければあなたたちのメダルを見せていただいてもいいですか?」

「え、これですか?」

 ▽そう言ってナナギはポケットから学園長に、いやミッションボックスから出てきた金のメダルをイサノに見せる。

「それはっ!」

 ▽イサノがそのメダルを見た瞬間驚きの表情を出した。

「それはSランクミッションを意味する、金のメダルじゃないですか……!」

 ▽相当驚いたのだろうイサノの声は少々高くなっている。

「すごいですね、Sランクのミッションが前に出されたのは20年前にいた天才生徒たちが最後だと聞いていたのに……」

『(何ソレ、初耳ー)』

 ▽カザマとナナギは心の中で声を合わせる。

「よっぽどすごい腕前なんですね」

 ▽イサノが本気で尊敬しているような目でカザマたちを見る。

 ▽そんなキラキラした目がナナギの良心に突き刺さる。

「(すみません違うんです、おれらほんとは合計レベル30にもいかないへっぽこグループなんです。でも何がどうしてそうなったのかSランクミッションやることになっただけであなたが思ってるほど強くないしすごくないんです。ああでもそんなこと今言っちゃったらがっかりされるかな、だってこんな大人がキラキラしてる目するって相当だぞ、でもそんなウソ付き続けても意味ないしていうかがっかりされるだけならまだしもそんな身に合わないミッションやるとか怪しいぞこいつらとか思われても大変だし、あああどうしたらここは平和的にイサノさんの誤解を限りなくそっと解くことができるんだろう)」

 ▽と毎度ながら考え込むナナギ。

 ▽その対象のようにカザマは意気揚々と答える。

「はい、そうです!」

「えぇ!?」

「まぁ、やっぱり!」

「すみません、ちょっとこいつに急用があるの思い出しました!」

 ▽そう言ってナナギは慌ててカザマの首根っこをつかみ家から飛び出す。

「何考えてんだよ!」

「はぁ?」

「はぁ? じゃない! なんでウソをつ、く、ん、だ、よ!!!」

 ▽ナナギがカザマの耳に向かって叫ぶ。

「えー、だってその方がお得かなって思って☆」

「お得ってなんだよ! 割引セールみたいに言うな!!」

「まぁいいじゃん、あんま深く考えることでもねーだろ」

 ▽そう言ってカザマは家の中に入ってしまう。

「まったく……」

 ▽相手がいなくなってしまったら文句の言いようもないのでナナギも再び家の中に戻る。

「あ、ナナギさん。もう用事は大丈夫なんですか?」

「あ、はい。まぁ」

 ▽ナナギが苦笑いしながら答える。

「実は私、正直に言わせてもらうと少しあなたたちがどんな方なのか心配してたんです。でもアライド学園の生徒とわかりましたしそれにSランクミッションを渡されるほどの人たちなんですもの、何の心配もなくなりました。どうぞこんな家でよければ何日でもいてください」

「え、本当ですか」

 ▽イサノは笑顔でナナギにうなずく。

 ▽ナナギがカザマの方を見るとカザマは胸をはり「な、お得だったろ?」という得意げな表情をした。

「えぇ、きっとこれからずいぶんと長い旅になるんでしょう? どうぞゆっくりしていってください。ただ……」

 ▽イサノは口を止める。

「ただ?」

 ▽イサノはすまなさそうに言った。

「一つだけ、お願いを聞いていただけますか?」

「何ですか?」

 ▽ナナギが尋ねる。

「できればここにいる間、あの子たちと一緒に遊んであげてほしいんです」

「……」

「あの子たちはおしゃべりだからもう聞いてるかもしれませんが、私は昔から体が弱いし夫も仕事でほとんど遠くへ行っているからなかなかあの子たちと満足に遊んでやることができません。だから私たちのかわりにあの子たちと遊んであげてほしいんです」

 ▽カザマたちは3人は少し顔を見合わす。

 ▽まさかこの人にまで頼まれるなんて。

 ▽そんなことを3人とも思っているのだ。

「まぁ最初っからそのつもりだったんだし?」

 ▽カザマが一人言のように言う。

「でも覚悟しといてくださいっスよ、おれがいるってことはなまはんかな遊びなんてしないっスからね」

「どんな遊びするつもりだよ」

「ふふ。きっとあの子たちも喜ぶわ。じゃあ2人を呼んでくるついでに部屋の用意もしてきますね」

 ▽イサノが席を立つ。

「あ、おれも手伝います」

 ▽それにつられるようにナナギも立ち上がる。

「いいんですよ、子供たちと遊んでいてあげてください」

「でも一人で準備するのは大変なんじゃ……」

「じゃあボクがいくよ……」

 ▽ルチアが手を上げる。

「え?」

「ボク遊ぶのも子供たちといるのもあんまり得意じゃないし……」

「ごめん。なんかフォローするべきなんだろうけど言葉浮かばないわ」

 ▽こうしてカザマ、ナナギはトイとリイと遊び、ルチアはイサノの手伝いをすることになった。


 セーブ:13 カザマ・ナナギ・ルチア トイとリイの家

ここまでご覧いただきありがとうございます。

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