11トイとリイの村
「ついたよー!」
▽トイという名の男の子が元気よく言う。
「おー」
▽村の様子を見てナナギは驚きの声を出す。
▽村は3人が予想していたものを軽く飛び越えたレベルでにぎわっておりみんな忙しなさそうに動いていて、村の印象はとても活気にあふれた明るいものだった。
「この村はね、豊かな自然に囲まれているから農業作物はもちろん、伝統芸、獣の毛皮とか様々な産業がとても盛んで、みんな商売慣れしているからとても明るいし親切なの、だからバンダナのお兄ちゃんたちもすぐこの村の人たちと仲良くなれると思うわ」
▽もう一人の女の子、リイが子供とは思えないほどの真顔で説明する。
「ありがとう、リイちゃんってこんな説明キャラだっけ?」
「リイは金儲けとかそういう金につながる話が大好きなんだもんな!」
「うん!」
▽トイの質問に純粋としか言い表せない笑顔でうなずくリイ。
「そっ……か」
▽行く末恐ろしいと言わんばかりの顔をする3人。
「じゃあとっとと道聞いて行こうぜ」
「えー、金髪のお兄ちゃんたちすぐ行っちゃうの?」
「ゆっくりしてけばいいじゃん!」
▽そう言ってトイとリイはカザマの足元をぴょんぴょんと飛び跳ねる。
「え~、でもおれら一応試験中なんだよ」
「カザマのやつ、すっかり子供たちになつかれてるな」
「波長がおんなじだからじゃない……?」
「……」
▽ナナギとルチアはボーッとカザマを見ながら話す。
「あ、じゃあまた一緒にイタズラしようよ!」
▽トイの言葉にカザマがピタリと動きを止める。
「イタズラ?」
『……?』
▽ナナギとルチアは首をかしげる。
「よし、やろうイタズラ!」
「はぁ!?」
「いいかお前らやるとなったら本気でやるぞ、イタズラは真剣勝負だ。いいか、イタズラは相手ががっつり油断しているところを狙いどれだけ相手を屈辱的かつ後味を悪くさせないか、それが全てだ!」
▽熱くかたるカザマをそれを見てなぜかあこがれの眼差しを向ける子供たち。
「しかしこんなイタズラができるようになるにはもちろん練習が必要だ! だから練習するぞ、ナナギで!!」
「なんでだよ!!!」
▽ナナギは最大音量でツッコミを入れる。
「えぇ~? なんでナナギが怒鳴ってんのかぁ、カザマわかぁんなぁい」
▽カザマがニヤニヤしながら言う。
「お前もし変なこと企んでたら毎日朝フライパンで顔面殴って1年後には顔とは思えないような顔にしてやるからな」
「ごめん! やっぱイタズラ無理だわ!!」
▽カザマがトイとリイに謝る。
「じゃあ、やっぱりすぐに行っちゃうの……?」
▽リイがうるうると目に涙をためながらナナギを見上げる。
「うっ……!」
「なんだ……。せっかく一緒に遊んでくれる人見つかったと思ったのに」
▽トイがすねたように地面の石ころを蹴る。
「ううっ……!」
『あーあ、とっても残念だなぁー』
「わかった、わかったから! 今日は泊まっていくから! だからそんな目でおれを見るなぁぁあああぁ!!」
▽ナナギが子供2人の前で悲鳴をあげる。
「じゃあ決まりだな。そうとなったら泊まれるとこ探さねぇと、ここら辺は宿とかねぇの?」
「あるよ」
▽カザマの質問にトイが元気よく答える。
「あるけどお家に泊まってもらおうよ、そっちの方が楽しいよ!」
▽リイがトイに提案する。
「そうだな、お兄ちゃんたちそうしてよ」
「それでお金はちょうだいね」
『(目的はそれか……!)』
▽と思いつつも3人は2人の子供が放つ無邪気なオーラに負け大人しく付いていく。
▽村はリイの言う通り様々な店が所狭しと並んで人の活気もすごいものだった。
「それにしてもみんな忙しそうだなぁ」
▽カザマが村をキョロキョロと見ながら言う。
「そうだよ、大人はみぃんな忙しいんだ」
▽トイが答える。
「トイたちのオヤジさんは何してるんだ?」
「貿易業だよ~」
▽リイが答える。
「村の特産品とかを別の町や村に運んでるの」
「もっとすごいときなんかは遠ーい国まで行くんだぜ」
「だからお家にもなかなか帰ってこないんだ~」
「なー」
▽トイとリイが顔を見合わせる。
「……そっか、じゃあお母さんは?」
▽今度はナナギが尋ねる。
「お母さんはずっと家にいるよ。けどお母さん体が弱くて私たちと一緒に遊んでくれないの」
「友達も店手伝ってて遊べないことが多いから暇なんだよな」
▽トイが不満そうに言う。
「でもお兄ちゃんたち今日は泊まってくれるんでしょ? そしたらいっぱいいっぱい遊べるよね!?」
▽3人は互いの顔を見る。
「……そうだな」
▽ナナギがうなずく。
「まぁ最低でも1年間あるんだし。焦って行くこともないよな」
「そうそう、ここにいてゆっくりしてたっぷり遊ぼうぜ、たまには子供時代に戻ることも大切だもんな」
▽ナナギに続けてカザマもうなづく。
「ボクは早く家に帰りたいけど……」
『空気読めよボケ!!』
▽2人がルチアにツッこむ。
「じゃあ……!」
▽トイとリイが目を輝かせてカザマとナナギを見上げる。
「おう、しばらくはここにいるぜ」
「なんか問題があったらやめとくけど……」
「ううん! ないよっ、問題全然ない!」
▽トイがナナギの言葉にかぶせて首をふる。
「あ、あそこだよ!」
▽トイが小さな家を指差す。
「あそこがおれたちの家だよ!!」
セーブ:11 カザマ、ナナギ、ルチア トイとリイの家の前
ここまでご覧いただきありがとうございました。




