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ノロトキ!  作者: 汐多硫黄
第十二戒 「追憶。怪物少女の日記帳」
85/107

12-6

 

 DATE:& 曇り。

 この前のどらごん捕獲をはじめとして、これまでの仕事が認められて、特別な任務とかなんとかをすることになった。

 このところ「アラヤ」が注目しているっていうとある解呪師を監視するっていう仕事だとか。ボクの役割は監視官と言うらしい。幻獣殺しなんて肩書きよりずっとカッコイイ響きだ。

 向う先は、ここより寒い場所だって。厚着の準備は、要らないよね。 


          ◇


 DATE:* 晴れ。

 別段ボクは、「アラヤ」みたいに解呪師も呪いも嫌いってわけじゃない。

 でも、今日、あの二人に会ってみて、「アラヤ」のその気持ちが初めてちょっとだけ分かった気がした。

 お節介解呪師とやたら馴れ馴れしい魔法使い。そう言えば、魔法使いを見たのは初めてかもしれない。

 解呪師や巫女とは違う、純粋な魔法使い。

 一昔前に比べるとその数は凄く減っていて、もはや希少な存在だって、ゼツメツキグシュだって、昔「はいいろ」が言っていたのを思い出した。


          ◇

 

 DATE:< 曇り。

 監視役の仕事はなかなか大変だ。これまでただ見ているだけなんて仕事は無かったから。ついつい手が出てしまう。

 その度に、二人は凄く怒った。ボクには、どうしてもそれがわからない。

 分からないのは、昔のボクの専売特許だったけど。今でも、やっぱり分からないものは分からない。

 この世界は、何でこんなにも分からないことだらけなんだろう。


          ◇


 DATE:> 晴れ。

 ボクはこんな体だから、残念ながら寒さにも鈍感だ。だから夜に焚き火に当たることもあまりない。

 けど、「ササキさん」はボクじゃない。ボクと同じじゃない。

 ボクは、焚き火に当たるべきだったんだ。これまでも。これからも。その本当の意味を考えるべきだったんだ。

 二人が言っていた事は、今でも全部理解できたわけじゃない。けど、自分で考えるってことはきっとこういう事。 

 もしも、ボクの前から「ササキさん」が居なくなってしまったら。そんな事を考えたら少し涙が出てきた。とても不思議だ。

 ボクは「ササキさん」が大切なの? それとも、一人になりたくないだけなの?

 ボクは、ボクはいつからこんなに弱くなってしまったんだ。


          ◇


 DATE:_ 晴れ。

 任務の結果をアラヤに報告した。

 それが成功だったのか失敗だったのかは良く分からないけれど。ボクの話を聞いて、アラヤはしきりに頷いていた。

 任務の結果からあの解呪師をどうするのか、今後どうなるのか、それを考えるのはボクの仕事じゃない。

 考える事は、やっぱりボクの管轄外だ。

 ただ、何となくだけど。もう一度会う事になるかもしれないなって気がした。

 根拠は無い、単なるカンだ。いつ再会するかも分からないし。けど、本当に不思議だけどそう感じた。

 自慢じゃないけど、ボクのカンは半分くらいは当たるんだ。



END

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