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ノロトキ!  作者: 汐多硫黄
第十二戒 「追憶。怪物少女の日記帳」
83/107

12-4

 


 DATE:Z 曇り。

 最近は、「しはん」とのせんとうくんれんの時間が増えた気がする。

 命をうばうっていう事は、どういう事なんだろう。

 「しはん」は「なにも考えるな」って言う。「ただ奪えば良い」って言う。

 きちんと勉強しているはずなのに、やっぱりボクには意味がわからなかった。


          ◇


 DATE:X 曇り。

 「分からないのなら、試してみれば良い」

 「しはん」がそう言ってボクに仕事をくれた。思えば、これがボクの初仕事かもしれない。

 仕事のないようは、ボクたちの組織に敵対するとあるニンゲンをやっつけること。

 ボクは、「しはん」から借りた剣をかついで、指定された場所に向ってそのニンゲンと一対一でたたかった。

 相手のニンゲンの動きがあんまりノロマだったから、最初ボクはふざけているのかと思っていて。

 ボクもふざけて、相手の体をちょっとなでるように切ったら、相手はまっぷたつになってしまった。

 すごく柔らかい。ボクのからだもオモチャみたいだけど、相手のニンゲンも大概だと思うんだ。

 どうしようかなって、しばらく考えてみたけど。何より「しはん」になぐられるのが怖かったから。

 ボクは、ちゃんとたたかったっていうショーコをもって帰ろうと思いついた。

 どうせなら分かりやすいところが良いかなって思ったボクは、相手の首をちょんぎって持って帰った。

 その時、血だまりができてしまったらしく、ボクのくつは真っ赤に染まってしまった。失敗だ。

 次はもっと血の出ない部分を持って帰ろうと思った。


          ◇

 

 DATE:C 雨。

 あの日以来、オトナたちがボクを見る目がまた変わった気がする。

 まるで、バケモノでも見てるみたいな表情。動物を見下すよりずっと酷い顔。

 「アラヤ」は相変らず忙しいらしく、めったに姿をみせない。

 「しはん」は何も変わらずずっと怖いしすごく強い。やっぱり、ツギハギは増えるばかりだ。


          ◇


 DATE:V 雨。

 ラボには、色々なジッケン動物達がいる。冷たいオリに入れられ、ぼーっとどこかをみつめてる。

 なんだか少し前のボクをみているようで、ちょっとだけ気になる。

 でも、気になってボクがオリに近づくと動物達はみんなおびえたようにふるえだす。ボクの顔をまともに見てくれさえしない。

 オトナたちとおんなじだ。すごくつまらない。

 そういえば。オトナたちの噂話で、「おとこおんな」と「はいいろ」がこの組織を抜けたって聞いた。

 最近会ってなかったけど、「はいいろ」をもう抱きしめられないのかと思うと、少しだけ残念な気がした。

 おかげで、読み書きもずっとましになったと思う。また、どこかで会えるかな?



END

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