12-2
DATE:I はれ。
めがさめたら、めのまえに「ぼうし」がいた。すごくかっこわるいなきそうなかおで「よかったね」といった。
なにがよかったのか、ボクにはさっぱりわからなかった。
「ぼうし」がコーフンぎみにいろいろとはなしてくれたけど、ボクにはやっぱりよくわからない。
ボクにムツカシイはなしをするのはやめてほしい。けど、ひとつだけわかったことがある。
ボクのからだじゅうが、いちどばらばらにしてから、むりやりくっつけたような《ツギハギ》のあとだらけになったこと。
「これでもう、きみは、かんたんにはしねないぞ」
そんなことより、ボクはてあしがとれてしまうんじゃないかと、きがきじゃなかった。
◇
DATE:O はれ。
オトナたちがもともとおもっていたけっかとは、ちがうけっか。
グーゼンノサンブツだって、これからまたいそがしくなるよって「ぼうし」がいっていた。
たいくつじゃないのはうれしいけど、またシンサツダイの上でいたいおもいをするのかな?
もうなれたけど、いたいのはやっぱりきらいなのです。
◇
DATE:P くもり。
ボクだけのおへやをもらった。
いままでのつめたいおへやからくらべたら、すごくかいてきだ。つくえもある。いすもある。
なんと、ベッドまである。すごい!
「ぼうし」にありがとうといったら、すごくかっこわるいかおでなんどもうなずいていた。へんなの。
ケンキューブショってやつがかわるらしく、これからあたらしいおとなたちのところでジッケンする。
◇
DATE:A はれ。
「ぼうし」がなまえをつけてくれた。
これまで、おとなたちはボクのことを「#f19072」ってよんでいた。
ボクは、それをボクのなまえだとおもっていたけど、ほんとうはちがうらしい。
「きみはうまれかわったんだ」って「ぼうし」はいう。「ぼうし」のいうことはいつもよくわからない。
でも、なまえをつけてもらえるのはなんだかワクワクした。
きょうからボクは《シノノメ》だ。
◇
DATE:S くもり。
「ぼうし」はボクになまえをくれたから、ぼくも「ぼうし」をなまえでよぼうとおもう。
ほかのオトナはみんなおなじにみえるけど、「ぼうし」はすこしだけちがってみえるから。
ためしになまえで「アラヤ」ってよんだら、すごくかっこわるいかおでかたまったあと、ぷるぷるふるえてどこかにいってしまった。
きっとおなかでもいたかったのだろう。「アラヤ」はいつもかっこわるい。
END