表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノロトキ!  作者: 汐多硫黄
第十二戒 「追憶。怪物少女の日記帳」
80/107

12-1

第十二戒「追憶。怪物少女の日記帳」




 DATE:Q はれ。

 「ぼうし」から《日記》をかくようにメーレーされた。ジョーソーキョーイクのイッカンだそうだ。

 そもそもジョーソーキョーイクってなんだろう。ボクには、ムツカシイしいことはよくわからない。 

 なにをかけばいいのかもわからない。


      ◇


 DATE:W はれ。

 「ぼうし」がいうには、まいにちのことやおもったことをかけばいいらしい。

 まいにちのこと?

 きのうも、そのまえも、そのまえも、そのまえも、そのまえも、そのまえも、そのまえも。

 そのまえも。そのまえも。そのまえも。そのまえも。そのまえも。そのまえも。そのまえも。そのまえも。

 きょうも。きっとあしたも。ボクは、シンサツダイの上にねかされる。

 目がさめると、ボクのからだにキズアトが一つふえるんだ。


      ◇

 

 DATE:1 あめ。

 いたい。いたい。つらい。いたい。いやだ。いたい。かなしい。つらい。

 いたい。いたい。いやだ。いたい。いたい。つらい。いたい。かなしい。

 きょうのジッケンは、とてもいたかった。ボクは、とてもにげたくなった。

 でも、ボクのいるばしょはここしかない。きっと、うまれたときからここにいる。

 ずっとずっと、おなじことをくりかえしている。

 きょうは、キズアトがたくさんたくさんふえた。


      ◇


 DATE:E くもり。

 「ぼうし」におこられた。ジッケンがうまくいかないらしい。

 それってボクのせいなの? キズアトがたくさんたくさんたくさんふえた。 


      ◇


 DATE:R あめ。

 チュートハンパなシッパイサク。まわりのオトナたちが、がっかりした目でそういう。

 どうぶつをみるのとおんなじ目だ。みんなおんなじ目をしている。

 ボクはもうヨーズミだそうだ。どういういみだろう。

 ボクには、なにもわからない。

  

      ◇


 DATE:T はれ。

 シンサツダイの上でねるかずが少なくなった。かわりに、一日さむいおへやでじっとしてばかり。

 つまらない。でも、キズアトがふえないのは、すこしだけうれしい。


      ◇


 DATE:Y くもり。

 「ぼうし」がオトナたちとけんかしたそうだ。

 ゲンインはわからないけれど、くらいかおでとつぜんボクに「すまない」とあやまってきた。

 ボクは、ムツカシイことがわからない。でも、なんだか少しだけかなしいきがした。


      ◇


 DATE:U あめ。

 ボクのハイキがきまったらしい。

 オトナたちから、こんなもの、もうかくひつようがないといわれた。 

 べつにボクは、もともとかきたくてかいていたわけじゃない。

 ハイキということばのいみはよくわからないけれど。たぶん、よくないことばなんだろうな。

 だから、もう、いいんだ。


 あめのおとが、やけにおおきくきこえた。



END

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ