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―27―

それから本多先生はまた眠ってしまった。


様子を見に来た主治医の先生からも、もう朝まで目が覚めないだろうと言われ、


私達は帰宅する事にした。






「本多先生、後遺症も残らないみたいだし、頭も大丈夫そうでひとまず安心しましたね」


ずっと心配そうに黙ったままだった浅田先生もホッとしたように口を開いた。




本多先生は頭部を打ったと言っても咄嗟に受身を取ったのか、然程強くは打っていないらしく、


怪我も完治には時間はかかるものの、幸い腰や首を骨折していない所為か


後遺症も残らないだろうと言われた。




「ねぇ、ところで倖は誰から本多先生が病院に運ばれたって電話貰ったの?」


永沢先生達と病院を出た後、不思議そうな顔をしながら暎子が言った。




あ、そういえばそうだ。




「晴樹」


すると、倖はしれっとした顔で答えた。




「晴樹って……永沢先生?」


暎子は怪訝な顔をした。




「うん♪」




倖が永沢先生の事を“晴樹”と呼んでいるという事は……




(そういう事か……)




すると、みゆきさんと一緒に前を歩いていた永沢先生もちょっとだけ振り返り、


にやりと笑った。




「ちょっ……ほ、本多先生は?」


「倖、本多先生の事、好きだったんでしょ?」


私と暎子は小声で倖に聞いた。




「うん。でも、晴樹から告白されちゃったから♪」


倖は少しだけ顔を赤くしながら答えた。




(それで急に元気になったんだ……?)


相変わらず、立ち直りが早いというか……


乗換えが早いと言うか……?






     ◆  ◆  ◆






――翌日。


仕事帰りに倖は永沢先生と本多先生の病院へ行った。




すると警察の人も来ていたらしく、病室で事情聴取を受けていたとか。


そして、その話を聞いていた倖の話によると本多先生を襲った人達は


みゆきさんに言い寄っていた男性がお金で人を雇ったらしく、


数人で本多先生を取り囲んだらしい。


それでも本多先生は相手を完全に加害者にする為、何も抵抗せず、


ただ殴られ続けていたとか。


近所の人の通報で駆けつけた警察に暴行した相手は全員捕まり、


みゆきさんに付き纏っていた男性も捕まって事件は一件落着という事になった。




私はてっきり本多先生はみゆきさんとよりを戻したんだと思っていた。




それなのに……




(この間の事、本多先生にちゃんと謝らなくちゃ……)

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