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―20―

「もぉ~っ、本多先生のアホォォォ~ッ!」


すっかり元気を失くした倖は、その後は自棄食いに自棄酒状態だった。




「忘れろ、忘れろ、蒼空の事なんか」


しかも、永沢先生までどんどん飲ませている。




これは連れて帰るのが大変そうだ……。




「永沢先生、そろそろそのくらいで……飲ませ過ぎると連れて帰るのが


 大変なんで……」


私と暎子が止めに入る。




しかし……、


「大丈夫、大丈夫、帰りは俺が送って帰るからー」


そう言ってケラケラ笑い飛ばされた。




(それが一番危ない気が……)






     ◆  ◆  ◆






――翌日。


倖は会社を休んだ。


昼休憩に電話をしてみたらやっぱり二日酔いだった。


ちなみに昨日は本当に永沢先生に送って帰ってもらった。


でも、何もなかったらしい。




そして倖に電話をした後、永沢先生と浅田先生にもメールをした。


昨日は結局、永沢先生と浅田先生に御馳走になってしまったから。




それにしても……




本多先生は本当にあの人とよりを戻しちゃったのかな――?






     ◆  ◆  ◆






――永沢先生達と飲みに行った日から一週間。




「倖、元気出して? まだ本多先生とみゆきさんがより戻したとは限らないんだし」


「そうよ、それに男は本多先生一人だけじゃないでしょ?」


昼休憩、社内にある食堂で私と暎子はもう一週間も同じ事を倖に言っていた。


本多先生とみゆきさんの事で倖はまだ落ち込んでいたのだ。




倖は元々一目惚れしやすい性格だ。


さらに落ち込みやすい性格でもある。




「ねぇ、いっその事、直接本多先生に電話して訊いちゃえば?」


暎子は倖とは対照的にご飯をパクパクと食べながら言った。




「えー、それでもし、ホントにより戻してたら立ち直れないよぉー」


倖はやや涙になった。


かと言って、このまま訊かずにいたとしても落ち込んだままには変わりはないと思うんだけど……。




……RR、RR、RR……RR、RR、RR――、




どうしたものかと考えていると倖の携帯が鳴った。




着信表示に少し驚いた顔をした倖。


そして、いそいそと席を立つと私と暎子から離れて行った。




「?」


(いつもはその場で電話に出るのに……聞かれたくない話なのかな?)






しばらくして席に戻ってきた倖は少しだけ元気なっていた。


さっきまで食欲もなかったのに、今は普通に食べている。




「「……?」」


私と暎子はなんとなく顔を見合わせながら首を捻った。






----------


今日、三人で飲みに行かない?


----------




定時の少し前、暎子からメールが来た。


おそらく、倖の元気がまだいまいちないからだろう。




----------


うん、行く行く。


----------




私は二つ返事でメールを返した。




しかし……




----------


ごめん、今日は約束があるの。


----------




倖から私と暎子に来た返事は意外にも“NO”だった。

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