第117話 ミチは今は朝が忙しいようですよ? (28)
だから僕は更に加藤の顔を殴りつけ──殴り回してやった。
「おい! 小山田! 辞めろ!」
「辞めるんだ!」
「──加藤も以前のことも含めて、小山田に謝罪をしているのだ! だからもう許してやれよ!」と。
僕に加藤のことを許してやれよと、この騒ぎに集ってきた者達は、この後も次から次へと僕に加藤の今までの悪態行為を許してやれ──。だからもう加藤のことを殴り回す荒々しい行為を辞めるように諫めてくるけれど。
僕の堪忍袋と言われるものは、もう既に破れ破損状態だから。僕の情や理性の方も、もう既に飛んでいるから。
いくらクラスメイトたちに辞めろと言われても、安易に止まる訳はなく。
「クソ!」、「クソ、クソ!」、「クソがぁ!」と。
僕の口から荒々しい言葉の捨て台詞と、拳が繰り出されるだけだから。とうとうクラスメイトの男子達が、加藤への荒々しい所業を一向に辞める気配がないから、僕の背後から羽交い絞めで、取り押さえ始めだしたのだ。
僕が虐められていた時は、ミチ以外の奴等はみんな無視……。素知らぬ振りや関わらないようにしていた癖に……。
加藤の時は、みんなが声をかけ合い助けにくるんだ……。なんか矛盾しているな? と思えば。
「小山田、小山田……。もう辞めて……。ランは大丈夫……。大丈夫だから……。これ以上小山田が加藤を殴れば警察沙汰になってしまうから……。小山田辞めて……。辞めて、おねがいだから……」と。
「辞めろ!」、「離せ!」、「僕のことを解放しろ!」と。
その他にも色々な怒声を吐きつつ、加藤のことが殴り足りないから離せと抗う、僕のことを羽交い絞め、している輩の後ろで佇んでいるランが泣きながら。僕に加藤のことを許してやれと嘆願をしてきた。
それも警察沙汰になれば大変なことになるから辞めてくれと泣きながら嘆願……。ランは心から願うから。
「(小山田……。もう辞めるんだ……。辞めにしよう……。ランも泣いているようだから、もう終わりにしよう……。小山田分かったな……?)」と。
ミチのお化けまででてきて僕に加藤との喧嘩を終焉にしようと告げてきたから。
僕も「うん」と頷き、「わかったよ、ミチ……」と。
この場にいる者たちが僕の言葉を聞き、首を傾げることを独り言のように呟いて幕を閉じた事件が以前遭った。




