第111話 ミチは今は朝が忙しいようですよ? (22)
「おはよう、ラン!」
「小山田、おはよう」、「うふっ」と。
今日も朝から御機嫌がよろしい僕と、朝からいつもの如き様子で。とても高校生には見えない、年齢よりも大人の女性に見えるランが妖艶な笑みを御日様が高くなりつつある朝から思春期の僕へとくれるから。
僕は『ドキッ!』として、自分の頬が桜色に代わる……。でッ、その後は自分の顔をいやらしく緩ませ、目尻、口の端もダラリと下がり、鼻の下も伸ばして、「でっ、へへへ」といやらしく、気持ち悪く、薄ら笑いを浮かべるから。
「小山田! 笑顔が気持ち悪い!」と。
僕は朝から彼女のランに罵られるから。
「──だって~、ランのことが好きだから致し方ないじゃん! ──それに朝からランが可愛い笑みを浮かべてくるから。僕も朝からランの微笑みを見て幸せになるのだから致し方がないじゃ、んか!」と。
僕の方もいつもの如く様子でね、逆切れだよ。
僕自身がランのことが好きで仕方がないから、ついついとランの顔を見詰めると変顔へと変わってしまうのだと、昔の虐められっ子だった頃の自分とは違い、大人になっている僕は荒々しく、男らしくランへと勇ましく、胸を張り、エッヘン! と告げれば。
「……本当に、本当……? 小山田はランのことが好きで仕方がないか?」と。
今日もランは、自分の顔色を変えつつ僕に慌てて尋ねてくるから。
「うん」と僕は頷いて、「本当だよ」と今度は気持ちの悪い微笑みではなく、爽やか。カッコ好い少年の笑みを浮かべつつ答えると。
「そうか、それは良かった」と。
ランからも安堵した言葉が漏れ。
「──小山田、大学卒業したら直ぐに、ランと結婚をしてくれるよね?」
ランは今日もまた僕に責任をとってくれるよね? と尋ねてくるから。




