小春ちゃんへ
結婚おめでとう。
私たちが出会ったのは、中学1年生の時だったね。私は同じ小学校からの友達がいなくて、不安でいっぱいでした。さらに、入学式の翌日、私はマイコプラズマ肺炎にかかり、学校を1週間も休むことになりました。学校に復帰した時、もうクラスの女子は仲良しグループが出来上がっていました。あぁ、これからの6年間、私はひとりぼっちなんだ……と、心底絶望しました。そんな私と初めて仲良くなってくれたのが、小春ちゃんでした。小春ちゃんは私にとって、救世主のような存在です。
そして小春ちゃんは、仲の良い人にだけではなく、周りのみんなに対して分け隔てなく接していました。小春ちゃんの飾らない優しさは、日常の端々に表れていました。今でもよく覚えているのですが、小春ちゃんは、学期末のテストがあるたびに、全教科の提出物と試験範囲をまとめたものを、手書きで作っていました。そして、それを職員室のプリンターで印刷して、クラス全員に配ってくれました。このプリントはいつしか定番になっていき、クラスのみんながテストの度に、小春ちゃんのプリントを心待ちにするほどでした。私だったら、自分で時間をかけて作ったものを見返りなく配るなんて、できないと思います。だからこそ、こういうことをあっさりできてしまう小春ちゃんを、私は心から尊敬していました。
ところで、雅紀さんとは以前一度だけお会いしたことがあります。それは1年前、私と小春ちゃんが、2人でショッピングに行った時でした。たまたま雅紀さんも同じお店にいて、小春ちゃんを見つけた雅紀さんは、今日の帰りが遅くなる、と声をかけに来ました。短いやり取りでしたが、その時の柔らかな話し方で、雅紀さんは優しい人なんだろうな、という印象を受けました。そして、2人が会話する姿を見ていて、きっとこの2人なら、温かい家庭を築いて、幸せに過ごせるだろうなと、友達として安心しました。
最後になりますが、小春ちゃんは中学1年生の時、私に手紙を書いたことを覚えていますか?そこには「仲良くしてくれる子はたくさんいるけど、本当に心を許せる友達が少ない」という悩み、そして「あなたはずっと友達でいてね」という言葉がありました。
16年越しに、その返事をします。
小春ちゃん、ずっと私の友達でいてくれて、ありがとう。
この先何年、何十年経っても、ずっとずっと親友でいましょう。
小春ちゃんが、雅紀さんの隣でいつまでも笑っていられるように、心から祈っています。




