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寝耳で鼻に水。 *施術の描写があります。苦手な方はご注意下さい*



お目に留めて頂きましてありがとうございます。


後半、大高がちょっとした施術を受ける描写がございます。あまり生々しく書いたつもりはありませんが、苦手な方や、行間を想像しちゃう方は、どうぞご用心下さいませ。





 ご機嫌うるわしゅう。

 術後五日め、朝から激混みの眼科外来にて最初の術後検診を受けて来ました大高です。


 お陰様で経過は順調らしく、じゃんじゃんチューブに水を入れて形成中の涙道の流れをチェックしただけで済み、大丈夫そうだから次は12月で良いですよーとのことで、抗菌目薬を少し多めに出して貰って終了でした。


 いやあ、ちゃんと鼻に水が抜けてくるってスバラシイですね。

 絵面は非常に間抜けですけども。


 そして本日の面相ですが、未だ半魚人。しかも変な迷彩柄。


 細部までご説明致しますと、左半面は八割がた腫れが引いたような気はするんですが、瞼を含めて眼窩全体がまだ薄っすらと膨らんでおりまして、処々に鮮やかな赤紫のアクセントカラーを散らした薄ら黄色い中華饅頭様、とでも申しましょうか。そして、目頭の際キワから鼻筋に沿って小鼻の辺りまで、同じ色味が散りばめられていて賑やかです。


 右半面に関しましては、まだ普段の四割増しは腫れてるよなあという感じで、眼窩はもとより目頭側の瞼が顕著にぽんぽこりん。色で言うならグレーっぽい赤紫と綺麗じゃない黄色のグラデーションで、そんな色味のぶよんとした瞼が眼球に歪に被さっている辺りがより一層の魚類感、もしくは爬虫類感を醸し出しておりまして、オバチャン、目と目の間はそんなに開いてないと思うんだけどさ、元々目がギョロっとしてるもんだから、どう見てもサカナだわコレ。

 

 加えまして、当初は涙袋あたりで留まってくれていた薄い内出血、仄かに黄色くびよーんと横に広がっていたんですが、こいつがとうとう頬骨を越えて豊齢線の辺りまで伸びてきまして、そのお陰で顔全体が得も言われない微妙な迷彩柄になっております。……何だろうなあ、我ながら遅れて来た浮かれハロウィン婆か、と突っ込みたくなるような仕上がりなんですが、目の近くを触るとまだ痛いもんで、先生の許可は出てるんだけども恐ろしくてファンデーションもコンシーラーも塗れないんですよ。せめてもの誤魔化しにと手持ちで一番デカいサングラスを掛けて外出してるんですが、嗚呼、早くニンゲンになりたい……。


 しかしながら、当初覚悟していたよりは回復スピードが早く、心の底から執刀医の御業を、東日本五指に入る名医たるG先生を崇め奉りたい大高ですが、ではどうやってそんな良い先生に巡り合うことが叶ったのか、という辺りを、本日は振り返りたいと思います。


 *


 かかりつけの大学病院で主治医に相談したは良いものの、ビビリの大高が治療から逃げた処までを、前回書きました。


 で。


 この期に及んで更なる言い訳をするつもりも無いんですが、大学病院時代の主治医は実はお二人いらっしゃいまして、最初の一年間をY先生、次の一年間をN先生のお世話になりましたんですが、えーとね、このお二方で涙道閉塞の捉え方が違った、と言うのも、逃げることを決めたひとつの要因ではあったんです。


 どう違ったのかと言いますと。


 最初に病態と治療法を教えてくれたY先生は、『洗浄した方が楽になれるのは間違いないけれども怖がる気持ちも判るし、現状の不快感に耐えられるなら今すぐ処置しなくても大丈夫ですよ。でもいつかはやったほうが良いと思いますけどね』というスタンス。


 翻りまして後任のN先生は、『うーんアレやってもまた塞がるんだよねえ、だから僕はあんまりオススメしないんだ。合併症が出ちゃったら話は別だけど、そうじゃないなら別にやらなくても良いと思うよー』と仰る方だったんですね。


 そう言われちゃったら、そらあビビリが『じゃあやんない』になるのは自明の理。そしてこのN先生はそう仰っただけの事はあって、毎回ちゃんと涙道閉塞の状態をも確認してくれまして、『うん大丈夫、炎症も起こしてないし。ドライアイ用の目薬、どのくらい出しとく?』みたいなケアをして下さっていたので、大高、すっかり油断しきった状態で、この大学病院を仮卒業したんです(本来、此処で診て貰っていたのは黄斑浮腫という全く別の病気であり、それが一旦の寛解を見たので仮卒業となりました。この辺の経緯は『たかが翳み目~』として別に投稿済でございまして、よろしかったらそちらも是非)


 しかして黄斑浮腫というのは隙を突いて再発する傾向にある病なので、経過観察は続けねばならない。なので、一番最初に異常を見つけてくれた地元の開業医O先生の元に出戻りまして、二、三ケ月に一回ペースで通い始めました。当然、舞い戻った際に涙道閉塞の話もしましたが、このO先生も『あー、涙点無いね確かに』くらいの反応だったもんですから、何だやっぱ放置で良いんだ、と思い込みまして、そのまま油断を継続。


 ところがどっこい。


 忘れもしない、今年の九月にO先生の処に行った時ですよ。助手さんによる視力検査時に、毎度お馴染みだーだー涙が溢れて来まして、『いやーもうここ暫くアザラシ並みに涙が止まんないんですよう。もう駄目だちょっと拭かせてください』っつって検眼グラスを外そうとしたら、離れた処に居た筈のO先生が突然振り返り、『は? アンタちょっと来なさい』と言うなり大高を検査台に連行しましてね。


 何だいきなりと不審がりつつ、先生の質問に答えながら診察を受けましたらば。


『こんな状態を放置してはダメでしょうが! 何でもっと早く言わないの。紹介状をあげるから、すぐ涙道に強い医師に診て貰いなさい』と。


 話が違うやんけ! あんた前回までは『ふーん』で済ましてたやんけ!! とは思いましたが、語調の強さに少々凹まされまして、しおしおとその紹介先って何処なんスかと聞いた処が、地元駅の反対側の開業医か、電車三本乗り継がねばならない余裕で一時間以上離れてる街の開業医か、地図上では遠くないんだけど公共交通が不便な場所にあるもんだから行くとなったら電車とバスを乗り継いで小一時間という大病院か、そのどれかだ、と。


 そんなもの地元の開業医一択ですので、その場で紹介状を出して貰いまして。


 までは良かったんですが、その後、受付で所在地を詳しく教えて貰った時に聞いた文言が凄かった。


 曰く、『ものすごく混んでいる医院なので、紹介状があろうとも初診の受け入れは週に二日のみ。しかも先着十名までしか診て貰えませんので、朝イチで頑張って行ってください』


 ―――なんだそりゃ。え、じゃあ、もしその日の十一人目だったら門前払いってか? 何だオープン待ちしろってか??? 何時に行きゃ良いんだよそんなもの!!


 たいへん微妙な心持にはなりましたが、それでも自宅から歩いて行ける距離ではあるので胸を摩りまして、偶々その翌日が初診受付可の曜日だったものですから、行きましたよ、診療開始時間の一時間前以上前に。


 ―――連れ合いはもっと早く行かなくて大丈夫? と眉を下げてましたが、一分一秒を争う病状じゃないんだからこれでダメなら出直せば良いんじゃ! と言い張りまして出掛けた処が、その時点で既に驚愕の三人待ち。それどころか、みるみる大高の後ろに列が伸びてったには本気でびっくりしましたが、ともあれ診て貰えることは確定しましたので、漸く開けて貰えた待合室に腰を据えまして、『初診の方はご予約の患者さんの診察後になりますので、数時間お待ちいただくことになりますが宜しいですか』『覚悟の上です』で、長――――――い待ち時間を何とかやり過ごしまして。


 四時間半は待ったでしょうか、漸く診察してくれたのはYa先生と仰る割とお若めの先生で、徐ろに大高の瞼を左右とも引っくり返し取っ繰り返しさんざん矯めつ眇めつしたのち、こう仰いました。


「どの程度の閉塞か、今から涙道を洗浄して確認しましょう。奥にどうぞ」


 ―――は? 今からデスカ????


 まさか行ったその場でいきなり施術されるなんて予想だにしてませんでしたので、結構な挙動不審に陥ってたと思うんですが、問答無用で看護師さんの案内で奥の小部屋に連れこまれ、施術椅子に座らされまして。


 もう少ししたら先生が来ますのでリラックスしてお待ちくださいってあんた、聞いてないって、いきなり施術とか。えっ、マジで?? 今からやんの、開通工事を!?


 ―――流石は涙道に強い先生ですよね、今日は右だけやってみますねとか言うや、ウンもスンも反論できない勢いで処置内容を縷々説明し、流れるように点眼麻酔を点し、では深呼吸してーーちょっと痛いかも知れませんけど我慢できないときは遠慮なく言って下さいね、……んーちょっと手強いかなあ、あともう少し入れば…、……、…………、〜〜〜〜…よし今からチューブから水を入れます、鼻に抜けてきたら教えてくださいね、とサクサクサクサク進んでいきまして、もう大高は虫の息。


 一応、麻酔は効いているので、物凄く痛むとかは無いんですが、さりとて全く痛くない訳でもない。そして、何と言いましょうか、なんとも気色悪い感触がある。


 …………いやあの先生、気のせいでなければ今ちょっと目頭の縁を切りませんでした? そら穴が無い以上は物理で入り口を作らないと洗浄もクソも無いのは判りますけどね、うわちょっと何いまの痛っった! ……ねえさっきから何か妙な処がチクチクチクチクすんだけど、あッつまりいま攻めてきてるコレがチューブってか、ヤメロなんか気持ちわるーーーーーってうわ水がキタ! キモ!! 咽る!!!


 ―――とまあこんな感じに、正味で言ったら十分も無かったんでしょうが、大高の体感としては結構な長時間をYa先生は頑張って下さいまして、そこそこ苦戦はしたものの開通には成功。


 大高の右瞼の下側の涙道には、辛うじて隙間が出来たんだそうです。が。


 Ya先生、診察の最後にどういう状態かを説明して下さったんですが、これがまたなかなかに先行きが思いやられる内容でして。


「今回、どうにか水は通りましたけど、かなり強い閉塞なので、多分、すぐ塞がっちゃうと思うんですよね……。一応、次回また確認させて頂きますけど、うーん」


 …………マジか、あのキモいのに耐えたのに、と暗澹たる気分になりましたが、暫く涙の出方を見ててくださいねーでこの日はこれでフラフラと帰りまして、で、その翌週。


「…………先生、やっぱあの後すぐ塞がった気がします…………」


「うん、塞がってますねー」


 で、『涙道専門医のいる処を紹介します』という事で挙げられたのが、既にO先生から聞かされていた残りの二箇所、電車を三本乗り継いで一時間強の開業医と、地図上では近いけど実際に行くのはめんどくさい大病院を挙げられて、まだマシだろうよと後者にし。


 その大病院、St.M医科大学病院に件のG先生、東日本で五指に入るという涙道の名医がいらっしゃいまして、畏れ多くも診て頂ける運びとなったのでした。




 ということで、次回はG先生の事を書こうと思います。

 




ええーとですね、片目を洗って貰ったくらいで大高が虫の息になっちゃったのは、頑固な閉塞だったのもありますが、一番の原因は、突発事態についていけなくて全身に力が入った状態で施術を受けた、という事だと思われます。


ですので、もしも涙道閉塞で洗浄を受けるという方がいらっしゃいましたら、リラックスしていればそこまで痛くも辛くもないんじゃないかと推察しますので、是非、深呼吸をして、医師を信じてお受け下さい。


Ya先生のクリニックでの大高の如き疑心暗鬼の半パニック状態ですと、どんな簡単な処置であろうと要らぬダメージを食らうこと請け合いです(笑)




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