ぬいぐるみの持ち主~男性主人公~(各小説それぞれ別々にお読みいただけます)
クラス一の美少女、どうやら顔の好みが変わってて、クラス一のイケメンは眼鏡をかけた陰キャだと思ってるらしい。
クラス一の美少女と言われる彩音と、クールな委員長が話している。
別ベクトルの優等生の二人だ。ただし、二人ともぬいぐるみが好きという共通点があるので仲は良さそう。
「ねえ、委員長、クラスで一番イケメンなのって…」
「そんなの、当然あの人でしょ」
確かに、委員長の言う通り、うちのクラスには有名なイケメン歌手がいるから、まあ一択ではある。
「そっか。わかる。私、眼鏡かけてるのが好きなんだ」
「え?」
え?
俺は思わず、自分のかけている眼鏡を触った。
イケメン歌手は、眼鏡かけてないぞ…。
「あとは、髪が時々乱れてて寝癖あるのもいい」
「え?」
え?
俺はしっかりと意識して、少し寝癖が直ってない髪を触った。
「まあそれに、よく見たらクールで、知的な感じが最高潮で…」
「えーと…」
えーと、そう言えば俺、この前珍しく成績上振れして、学年上位だったぞ。ワンチャン知的な可能性がある。
「それに、優しい」
「や、優しい…それはイケメンの要素ではあるね。確かに」
優しい…うん、俺、一応優しい可能性はあるね、確かに。
「あのー」
委員長が言った。
そう。わかる。委員長の言いたいことは、要は好みが変わってるってことだよな。美少女な彩音の。
でも、それならそれで俺的にはいいんだよ。
今んところ俺の可能性かなり高いぞ…!
委員長は考え込んでいた。
委員長の頭の中に、俺が浮かんでたりして。
そしたら、委員長が彩音と俺が仲良くなるように、次の席替えで計らって…。
とかなってくる可能性もありますかね?
「ちょっと考えさせてほしいな」
おっ。委員長考えますか…。
俺は期待しまくろう。うん、ポジティブだとさらにイケメンになりそうだし。がはは。
そして考えた委員長は…クラス一の美少女に耳打ちをした!
顔が赤くなる美少女。
これは…美少女が好きな人を委員長が当てたんだな!
わくわくするぞ……。
しかしその後、俺は何事もなく日常を過ごしてしまった。
まあやっぱり、クラスの美少女の好きな人は俺ではなかったようだ。
そりゃそうだよね。
俺はのんびり廊下を歩いていた。
あれ…?
空き教室の扉の透明な部分から、鞄が二個見える。
あの鞄についてるぬいぐるみ…クラスの美少女と委員長のじゃないか? てことは中に二人がいる…?
まあいいや。
俺はのんびりと通りすぎた。
☆ ◯ ☆
委員長の私が勝手に、使っていない教室を待ち合わせ場所にしていいのかなと考えたが、あんまり真面目ぶっても仕方ない。
ということで、私は空き教室で待っていた。
そして、扉が開き…。
「来たよ…」
クラス一可愛い、彩音が来た。
「私、びっくりしちゃった」
「やっぱりそうだよね…」
「でも嬉しい。だってね、私も…女の子が好きで、しかも…あなたが好きだから」
「え、ほ、ほんと⁈」
「あなたは美人だからいいの。それより私が好かれている自信がない。私、眼鏡をかけてて…」
「眼鏡女子、私好きなんだ」
「髪はよく寝癖あるし、サラサラしてないし…」
「そこも、私好きなんだよ」
「で、でもね、私ガリ勉だし…わっ」
「私、知的な女子にハマるタイプなの。だからごめんね。もう抱きついちゃうから」
「あ、あわわ…」
「優しいから振り解かないのね。あれ、もっとしたいのかな?」
「…うん」
その日、この空き教室は夜まで鍵が閉まりっぱなしだったそうだ。
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