終章
僕が七福神と出逢った話は、これで以上となる。
恐らく、この小説を読んだ誰もが作り話だと思うだろう。
普通、こんな話など信じられる訳がない故、それでも構わない。
七福神達が普段人間に化けて生活する際に使用している仮名はこの小説を執筆するにあたって更に仮名に差し替えた、仮名の仮名である事を除いて、この小説は紛れもなく事実だが、SF小説と定義されるだろう。
どうせならいっそ、SF専門の賞に応募しようかと思ったが、インターネットで調べる内に、それは少し腑に落ちない気がした。
ジャンルを問わない賞に応募するか。
いや、待てよ。
小説投稿サイトという、今まで試していなかった手があった。
そっちの方が多くの人の目に触れていいかもしれない。
そうとなれば、やはり、住野よる氏の、〝君の膵臓を食べたい〟が世に出るきっかけになった事で知られる、小説投稿サイトの最大手、〝小説家になろう〟に投稿しよう。
原作は何周も読み返し、映画は主演の浜辺美波と北村匠海に因る圧巻の演技に涙した。
その成功例にあやかってやる。
ペンネームはどうしよう。
考えながらコーヒーを注いだ時、ふと、一つの案が浮かんだ。
はづきひかる。
音の響きが、何となく気に入った。
葉月光。葉月晃。葉月ヒカル。
予測変換をスクロールしていきながら考えていると、再び脳内に案が降りて来た。
思わず画面上に入力し、その文字を眺める。
葉月陽華琉。
これは、いいペンネームだ。
画面上の文章を、改めて眺める。
寿老人。
福禄寿。
毘沙門天。
弁財天。
布袋。
大黒天。
恵比寿。
僕にこの小説を書かせてくれた七福神達には、本当に感謝している。
事実は小説よりも奇なり。
改めて、それを実感した。
この小説を書けた事を、誇りに思う。
絶対に、この小説を世に出す。
その為には、pvとやらを集める必要があるらしい。
Twitterを立ち上げた僕は、小説をサイトに投稿している人のアカウントを片っ端からフォローしていき、頻繁にこの小説の告知をする事にした。
小説を投稿している人同士は割と高確率でフォローバックするらしく、次々とフォロワーが増え驚いた。
果たして、弁財天にキスをされた僕は、本当にこの夢が叶うのだろうか。
いや、叶えてやる。
七度目の正直。
絶対に、この小説で、ずっと立ちたかった作家のスタートラインに立ってやる。
絶対に、この小説で人生を変えてやる。
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