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七福神観察日記 ~作家志望の僕が実際に出逢ったあまりにも個性的過ぎる七福神の生態を綴ったノンフィクション小説~  作者: 葉月 陽華琉
第七柱 恵比寿観察日記 ~作家志望の僕があまりにも天然過ぎる恵比寿に呆れと疲れを覚えた話~
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脅威

次の週の土曜日。

恵比寿は僅か十数分で約二十人という、暴挙とも云える過去最大のロケットスタートを見せた。


「さっきの彼は、ちっちゃい頃に親御さんが離婚して、それからずっと母子家庭で、お姉さんは家出同然で家を出てって音信不通の消息不明だそうで、あと家が大火事になった事もあるみたいで。若いのにキショウケンケツな人生を送ってる方みたいです」

起承転結の間違いなのだろうが、だとしても使い方を間違えている。

恐らく波乱万丈的な事を云いたかったのだろう。

共通点は四字熟語という所だけじゃないか。


「あと、極めつけに彼は今までに二回程、九死に一生を得てるみたいですよ。事故に遭った時と、肺炎やった時。二回って事は、〝十死に一生〟ですね」

何でそっちの数が増えるんだよ。

増えるとしたら〝一生〟の方じゃないのか。


 それから、イチジルサンサイ、シンラマンゾウ、ニチジョウチャハンジなど、読み間違いのオンパレードが始まった。

それから恵比寿は「あっ、あった」と、銀行を指差した。


 恵比寿は何やら受付で行員に質問をしては説明を聞くのを何度も繰り返している。ソファーでその様を眺めたりスマホを弄っていると、まだ彼の特殊能力を訊いていなかった事を思い出した。

後で訊かなくては。


 恵比寿はもう、数十分行員とのラリーを繰り返している。

行員が不憫に思えてきた。

その時、カーキ色のジャンパーを纏った姿が恵比寿の躰を背後から強引に腕で払い、黒い大きな鞄を受付のカウンターに置いた。

集まった数人の行員が何やらあたふたしている。


「いいから入れろっつってんだよっ!」

突然大声を出した男は、行員に拳銃を向けている。


 客がざわついている。

恵比寿は口を開けたまま男と拳銃を何度もきょろきょろと見ている。



「お前等全員、此処に集まれっ!」

銃口を床のタイルに向けた男に行員達が従い、僕と恵比寿を含む客はそれに倣った。


「おいっ! 何してんだてめぇっ!」

カウンターの下に手を入れた男の行員が、撃たれた。

叫び声が飛び交う。


「あぁっ! んがぁっ……! だぁっ! んぐわっ……! うっ! ううぅ……!」

行員は血にまみれていく右腕を押さえ、悶えながら倒れた。


 あの拳銃は、本物らしい。

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