死体とは生者に最も近い模造品だ
死体とは、
生者に最も近い模造品だ。
だが、最も遠い贋作でもある。
設計図をどんなに詳細に描いた所で、
その紙が飛行船になる事はないのだ。
あと一歩で命になったであろう
その複雑な命の模倣を、
土壌という
神の門の向こうに手放せ。
ああ、真作を想像するのは
常に主だけであり、
人間は物言わぬ虚しい贋作を作り続ける。
それは過去の栄光に焦がれ、
昔日を真似し続ける廃墟の様なもので、
その夕暮れの影となる残滓から
もう人の声は聞こえぬのだ。
悲しむ者よ。
硬直したその肉は、
青い沼地に沈めるしかない。
限りなく惜しい、
極限まで模倣した楽園の鍵で、
楽園に入る事は出来ぬ・・