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あの夜会の日の翌日、ルーカスが屋敷を訪ねて来た。無論セシリアは会わなかった。だが、彼はその数日後また訪ねて来て、会わないと使用人が伝えてもまた違う日にやって来た。婚約破棄した後、何の音沙汰もなかったのに今更何なんだろうと不思議に思った。もう彼に関わりたくないし、話もしたくない。正直、あの夜会の日、ルーカスとベアトリスを見かけた瞬間帰りたくなった。だが何を思ったかヴァルタルはセシリアを連れて態々二人に挨拶をしに行った。始めはヴァルタルの意図が分からず困惑したが、彼の気持ちが伝わり、彼の言葉に救われた。

ルーカスに既に未練はなかったが、モヤモヤだけは何故か消える事はなくずっと消化不良の様な状態だった。それが彼のお陰であの瞬間消えてなくなっていった。それなのに、今度はしつこいルーカスに頭を悩ませている。


「彼女に会わせてくれ。大事な話があるんだ」


何度目かにルーカスが訪ねて来た時、セシリアは運悪く出掛けようとしており、使用人に詰め寄るルーカスとロビーで出会してしまった。


「あぁ‼︎セシリア‼︎」


セシリアの姿を見つけた彼は歓喜の声を上げ、使用人を乱暴に押し退け近づいて来た。その勢いに思わず後退る。


「何度訪ねても取り次いで貰えなかったんだ。ようやく君に会えて良かった!」


「……ルーカス様。私に何か御用ですか」


「そんな冷たい言い方をしないでくれ。私はずっと君を想っていたんだ」


ルーカスの豹変振りに、セシリアは困惑を隠せない。一体どういった心境の変化なのだろうか。つまらない女と捨てたのは彼の方で、今更何をしたいのだろう。


「ベアトリス様は、どうなさったのですか」


「あんな浮気女の事は知らん。そんな事より聞いてくれ。私は気付いたんだ!やはり私には君の様な控えめで心の優しい女性が相応しいと。だからまたやり直そう」


浮気女って……まさかベアトリスはルーカスを裏切り、別の男性の元に行ってしまったのだろうか。それでルーカスは彼女に捨てられてしまい、仕方なくまたセシリアと寄りを戻そうという魂胆なのかと、呆れた。


「ルーカス様、申し訳ありませんが、お引き取り下さい。ご存知の通り私はヴァルタル・シュワール様と結婚の約束をしております。今更ルーカス様とお話しする事は何もありません」


少し強めの口調でハッキリと告げ、セシリアはルーカスの横を擦り抜ける。だが、彼に腕を掴まれてしまう。


「ルーカス様、お離し下さい」


「良いのか」


「何が、ですか」


「君の彼は、ベアトリスと浮気をしているんだぞ」


一瞬何を言われたのか理解出来なかった。セシリアは掴まれた手を振り解こうとしていたが、手から力が抜けた。


「以前からベアトリスは彼に惹かれていたらしく、先日の夜会の後、彼女は彼の元を訪ねて行った。それでそのまま君の時の様に一夜を過ごし、今も関係を続けている」


確かあの夜は何時もより早めに切り上げて、ヴァルタルに屋敷まで送って貰った。その後、彼はベアトリスと会っていたという事……?

そんな事、信じない、嘘だ。そう思いたいのに、背中に冷たい汗が伝い、無意識に身体が震えてくる。実はあの夜会以降、ヴァルタルが忙しいという理由から彼には会えていない。それまでは、頻繁にデートに行ったりお茶をしたりとしていた。寂しいと思いつつも、彼の立場からしても元々忙しい方だと理解していた為我慢していた。なのに、ヴァルタルが会えなかった理由は、本当はベアトリスに心変わりしたからなのか……分からない。


「嘘、です……ヴァルタル様は、そんな方じゃ、ありません……」


ハッキリと言いたいのに、声が震えた。ヴァルタルはルーカスとは違う。そう分かっているのに、もしかしたら……そんな風に思ってしまう。


「なら、自分の目で確かめるといい」





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