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ルーカスに浮気された挙句「つまらない女性とは結婚などしたくない」との理由から婚約破棄をされたので、セシリアに落ち度はない筈なのに両親からは怒られた。予想通りだが、不満だ。しかも両親はちゃっかりとフェリエール家から多額の違約金を受け取って帰って来たらしく、これではセシリアだけが馬鹿を見ただけだ。


更に追い討ちをかける様に、社交界ではセシリアとヴァルタルの噂が広まり、それを耳にした両親からはこれもまた予想通りに、それはもうこっ酷く怒られた。母からはビンタまで食らい、赤く腫れた頬から腫れが引くのに数日掛かってしまった……。あの夜から十日余り経つ。セシリアは未だ謹慎中だ。暫く屋敷はおろか部屋からも出ない様にと言い付けられているので、大人しく椅子に座り本を読んでいる。ただ全然進まない。延々と彼の事を考えてしまう。


忘れようと決めたのに、まさか噂になってしまうなんて予想外だった。あれからヴァルタルからは、一切の音沙汰もなく、彼にとってはやはり一夜限りの遊びだったのだと改めて思った。なのできっと今頃彼は、噂に迷惑しているに違いない。相手がもっと素敵な女性だったなら、寧ろ自慢話くらいにはなるのだろうが、何しろルーカス曰くつまらない娘なので、ヴァルタルにも恥ずかしいと思われていそうだ。そう考えると自分が情けないやら、惨めに思えてきた。



「ヴァルタル・シュワールも、噂と違って大した男じゃないな。遊びにしても、こんな女相手に選ぶんだからさ」


「ハンス……勝手に部屋に入らないでって、何時も言ってるでしょう」


「別に良いだろう?恋仲じゃない男と寝た癖に乙女ぶるなよ」


意地の悪い笑みを浮かべながら部屋に勝手に入って来たのは弟のハンスだ。両親からこれでもかと言うくらいに甘やかされて育った弟は、昔から何でも自分が一番で姉であるセシリアの事を見下している。


「本当だよな、こんな女のどこがいいんだか。俺なら絶対勃たない」


更にハンスに続いて躊躇いもなく部屋に入って来て悪態を吐いたのは、弟の悪友であるレナード・フォール。類は友を呼ぶとはよく言ったもので、まさにその通りだ。

実はレナードは母の姉の息子で、セシリアと従弟の関係だ。その為か、彼と弟は容姿も少し似ていて、性格などは双子かと思うくらいに似ている。昔からこの二人にセシリアは揶揄われたり悪態を吐かれている。


「……何か、用があるなら手短に言って」


「相変わらず。可愛くないな。そんなんだから婚約者に捨てられるんじゃないのか?誰だってお前とベアトリス嬢なら、彼女が良いに決まってるしな」


次から次に出てくる悪態に、ここまでくると感心さえしてしまう。そもそも、そんなにセシリアが気に食わないなら関わらないで欲しい。


「ま、まあ、俺なら?寛大だし?別に生娘とか拘りはないし?行き遅れになったら哀れだしさ、その、お、俺が貰ってやっても……」


レナードは急に小声になったかと思えば、珍しく口籠もりながら話し出す。その光景にセシリアは眉根を寄せる。何を言っているのか、所々しか聞き取れない。ベアトリスの方がいいとか、生娘が云々とか、行き遅れになるとか、言われなくても分かっている。怒る気力も失せる中、今度はライラが部屋にやって来た。


「失礼致します。お嬢様にお客様がお見えです」







自分に客が来ていると言われたセシリアは、謹慎中だが部屋を出てロビーに向かった。両親は今不在だとライラから聞いたので取り敢えずは安堵した。だがあの理不尽な両親等の事だ。知られれば十中八九怒られる……。だが弟達と話していたら莫迦莫迦しい気持ちになってきて、そんな事はどうでもよく思えた。


「どうしてついて来るの」


「別に~」


そして何故かハンスとレナードの二人も後ろからくっ付いて来た。どうせ後で両親に告げ口でもするつもりだろう。本当に性格が悪い。気が重い中、セシリアがロビーに着くと、そこには意外な人物が立っていた。



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