表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死の檻  作者: コト
2/11

死の檻2

死を意識して考えた。

今は心が亡くなっている。


なら、身体は?今は大丈夫そうだ。

でも、この身体も万全じゃない。


胸は押されるように痛みを訴える。

視界は揺れて、常に船に乗っているような気持ち悪さがある。

自分の身体なのに肋が浮き、骨が尖って、薄い。

また、恐怖を覚える。


あぁ、これでは生きていけない。


やはり、私は死を迎え入れることはできないようだ。


身体が治れば、心も治るだろうか?

でも、一度、死を知った心は怯えている。

もう一度、身体がおかしくなれば、また心も亡くなる。


もう二度と耐えられない。

何故、私が!神に願った。

少しでいい。生きる希望を!


人が死を受け入れる段階があるらしい。

1.否認と孤立 2.怒り 3.取引 4.抑うつ 5.受容


私は今、怒りと取引の状態なのだろう。でも、心は既に亡くなっている。抑うつも重なっているのか。


でも、受容までは程遠い。

恐怖と不安が更に心を殺していく。


心は何も感じない。

楽しい事があったはずだ。嬉しい事があったはずだ。怒りを覚えることがあったはずだ。


ダメだ。何も感じない。恐怖と不安、悲しみだけだ。


身体も泣く以外の機能を拒否している。

食欲などない。眠ることもできない。性欲など考えられない。

人の3大欲求だと聞いたが、そのどれも感じない。

人は生物としては欠陥品なのだろう。


そんな心でも一つだけ、叫んでいる。

「1人で死にたくない」と。

誰でもいい、手を握って、抱きしめて、頭を撫でて欲しい。一緒に泣いて欲しい。


それだけで救われるのに。


おかしな話だ。誰でもいいなんて、嘘だ。

私は臆病で、他人の目を気にする人間だ。

弱い部分を他人に見せることに躊躇してしまう。


家族に会いたいと思った。家族に死を看取って欲しい。

あぁ、でも、此処に家族は居ない。会いにきてはくれない。


家に帰りたい。でも、臆病者は脱走もできない。

やはり、此処は死の檻だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ