case.1 残忍な事件
どうも、筆者の声無しです。
この小説では実際の状況に則した問題とそれに対して読者の方に推理していただくということを重視しています。よってストーリー性に関しては期待しないでください。それでは拙い文章ですが、思考をお楽しみください。
「ねえ、、昨日のニュース見た? あの殺人事件」
「見た見た。四十代の主婦がメッタ刺しだってね。首とか胸、腹を二十か所以上でしょ?」
「それってうちの大学の近所で起きたやつじゃん? お母さんが心配して電話かけてきてさ……」
どうやら最近の女子大生は殺人事件の話で盛り上がるらしい。全く、危機感があるのかないのかわからない。事件の内容よりもどうやって身を守るか気にした方がいいんじゃないだろうか。
「暫くは一人で出歩かない方がいいよ」
「それにさ、ニュースで強盗か怨恨じゃないかって言ってたじゃん? もしかしたら第二第三の被害者が出るかもしれないし、怖いよね」
「本当にそうよ。夜に男の人に会ったら近付かないようにしなきゃ」
『それはあんまり意味ないと思うぞ』
「「「ーーー一ッ!?」」」
会話していた三人の女子が一斉に振り返って、突然会話に入ってきた俺を不審そうに見てくる。その中でも一番理性的そうな奴が口を開いた。
「何でそんなこと言いきれるの? 犯人は未だ捕まってないんだよ?」
「そりゃお前、犯人は女性の可能性が高いからさ。警戒するなら四十歳以下の細身できれいな女性だ」
「あれ? 年齢とか犯人の特徴って報道されてたっけ?」
「そこもだけど……そもそも何で犯人が女性って言えるの? もしかして警察に知合いいる?」
「いるけど、捜査情報を漏らしたりはしない。ただニュースからそうじゃないかって思っただけだ」
「……さっぱりわかんない。本当にあってるの?」
「さあね、可能性が高いだけだ。あってるかなんて俺も知るもんか。ただ、今回の犯人を警戒したいらしいから助言しただけだ。まあもっとも、すぐ捕まるだろうけどな」
そう言って俺は次の授業に向かうために席を立った。
「……一体何だったの」
教室を出るときにそうつぶやく声が後ろから聞こえてきた。
事件概要
昨日未明、東京都〇〇区で四十代の主婦が自宅から二十メートルほどの路上で他殺体となって発見された。首、胸、腹を二十箇所以上刺されており、防御創ーー刃物を防ぐ時に腕につく傷ーーは無かった。鞄からは財布が抜き取られており、警視庁は強盗殺人事件として捜査している。
第一発見者は、通り掛かった近隣住民。凶器は見つかっておらず、事件に関連すると思われる目撃証言も今のところない。
問題
現時点でここから求められる犯人像として最もあり得そうなものは何か。また、その理由も述べよ。
※注意
この問題はミステリのように必要な材料を全て渡されてトリックを解き、犯人を特定するものではありません。実際の事件で何に重点を置くべきか。そこから犯人逮捕に繋がりそうな情報をどのくらい取り出せるかを問う問題です。
したがって、この問題の絶対解はなく、あくまで妥当性の有無が重要です。
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