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ある人の日記より  作者: 秋水 蓮
第0章 彼女の世界は戻らない
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プロローグ 彼女の世界にて

「影」は前触れもなく、その世界を飲み込んだ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


201_年1月_日 22時30分

 今日は朝からとても寒かった。昨日はまだ暖かったからよけいに寒く感じた。今日は旅行の最終日だったが、最終日だからこそということでホテルがある市内を中心にのんびりと観光した。といってもこの街はこの国の中でもそこそこ大きく、昨日までに回った(といってもこの国は昨日と合わせて2日のみでこの街は少ししか観光していなかった)観光地以外をすべては流石に回りきれなかったが、有名所は回れたので満足だ。

 特に、メルヒェンから飛び出したかのような町並みや美しい装飾やステンドグラスのある教会、街のシンボルとも言えるような城は見ていてとても圧巻だった。いま、私がいるこのホテルも町並みに合ったいい感じの作りで充実した1日だった。

 明日は朝早くから帰国の飛行機が出るためこの日記を書いて寝ることにする。

                    ___ス___ク_メ_トの日記より


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 西のある国のとあるホテル。その1室に、彼女はいた。

 

 年齢は比較的若く見え、多く見積もって20代中盤といったところだった。背は170センチ前後、髪は黒、顔は中性的で男とも女とも見れる。彼にはこの国の血が入っているが、生まれも育ちもとある島国で過ごしたいわばハーフである。

 当然が如くこの西の国について―文化や歴史、言語など―知らなかった。そんな彼女はいまヨーロッパ旅行の最終日を迎えていた。

 

 彼の大学では年に2回、夏と冬に約2ヶ月ほどのほかより長い休暇があり今回は冬の長期休暇であった。ある者はクリスマスや年末を友人と共に愉快に過ごし、またある者は国内や海外へと旅行へ行くものもいた。彼女もその一人で、海外旅行を選択した。友人はいたものの1人行動を好む彼女は今回も1人で行った。

 

 西の主要国を3週間を使って回り、そして今日がその最終日であった。主要な観光地を巡り歩き、この国の名物料理も楽しんだ。お土産などはあまり買わなかったが、この経験こそが彼にとっての今回の旅行の最大のお土産だろう。強いて言えば言語の取得だろうか。この旅行の中で彼女は必然的に英語と母国語(つまりこの国の言語)を少なからずも学んだ。


                  ・

                  ・

                  ・


 その日の夜中。普段は月明かりで多少なりとも明るい夜空は、今日に限り、こちらへと引きずり込むようなどす黒い黒であった。地面に薄く覆いかぶさった雪すらも、旧市街の木組みの家の壁も、まるで影絵でも見ているかのような黒に包まれた。しかし、誰も気づかない。不思議と誰も気づかないのであった。

 ホテルの前の黒猫が鳴き続けた。




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201_年1月_日 9時3_分 飛行機内にて

ホテル前の猫の鳴き声で目が覚めた。そのときはまだ5時であったが、飛行機に乗り遅れないためにも早々にチェックアウトした。朝も相変わらずの寒さであった。ホテルの入口の前で黒猫が鳴いていた。

 黒といえば、昨日見た夢で、銃撃戦の乾いだ銃弾の音とエンジンが鳴り響く戦場のど真ん中にいる夢を見た。これだけだと単なる夢だがその世界はまるで、黒い半透明の仕切り越しに見るかのような不思議な感覚だった。まあ、ここまではっきり覚えてるような夢もそうそうない。あとで夢診断とかでもしてみることにする。

 結構余裕で空港についた私は、特に何事もなくこの国から去った。もう少し残りたい気持ちもあったが、もう明後日には大学が始まってしまうのでしかたない。

                    ___ス___ク_メ_トの日記より


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 この日のおよそ10時頃。

 西の国のホテルの外で見たような街全体を覆う、黒い影のようなものが彼の帰る島国でも発生していた。1時間ほどで黒い影は消滅し、特に被害が出るわけでもなかったが、そのあまりにも恐ろしい光景は、メディアで放送され、気象学などの専門家が出ることもあった。

 ---もっとも、テレビ越し、そしてカメラ越しには何も変わらない、ごく普通の風景が映され、ついには誰もその光景を残すことはできなかったのだが…

 彼女が帰国する頃にはすでに消滅していたが、帰国してからというもの、彼女は後ろに目線や気配を感じることがあった。振り向いてもなにもないのだが、確実に、彼女に付き従うように動いた。それはまさしく、西の国の夜中に発生し島国で昼間に発生した、どす黒い影。「それ」はまるで彼女に憑依していくかのように彼を覆った。

 彼女は気を失ってしまった。倒れてしまったが、不自然にも後ろ側に、まさしく「それ」に引っ張られているかのように倒れた。「それ」は彼女が完全に中に入ったのを確認したかのように、ちょうど閉じた。


                  ・

                  ・

                  ・


 新歴1535年第5の月16日

 

 大ゲルマニア帝国がゲルマニア帝国がプレタニア王国軍に壊滅的打撃を加えプレタニア王国は降伏。これをして第一次西欧戦争が終戦、プレタニア王国領ガリア国はゲルマニア領ベルギカ帝国となった。

 

 暗い森であった。白いきりに覆われ数十メートル先はぼやける、といった具合だった。ここはゲルマニア帝国とゲルマニア領ベルギカ帝国の国境付近にある、通称ディアーナの森。

 その森の中、ザッザッという足音で数人の集団が森の奥へと歩みを進める。頭には鉄の兜。やや緑がかったジャケットを着て、腰に巻いたベルトには水筒やポーチ、飯盒、ナイフもぶら下がっていた。両手には鉄と木で作られた重い機械、“銃"があった。周囲にも同じように兜を頭にのせ、両手には銃を持っている。

 顔を見ると、つくりや目つきがそれぞれ違った。出身国自体が違うように感じ、実際そのとおりで様々な国籍の人間が入り混じっていたが、兜に刻まれたマークは皆同じの黒と白のクロスであった。



「周囲になにか異常があったらすぐに教えろ」

 

 先頭に立つ男が発する。どうやらこの集団の指揮をしているらしく、装備が他の者たちと若干違った。

 

「「「了解」」」


 他の者たちも、その国籍が違うような指揮官に従う。信頼関係は、どうやら成り立っているようだった。

 彼らの正体はゲルマニア帝国陸軍の外人部隊。今回、このように森に来ているのは、ディアーナの森に人影を見た、という証言のもと、この森を偵察もとい調査しに来ていた。

 ここ、ディアーナの森は数十メートル先はぼやける、といったことから人はめったにいない。仮にいたとしてもその大体が、旧ガリア復興を目指す反乱分子やプレタニア王国のスパイであった。そんな奴らがいてはたまらん、ということでこの外人部隊が派遣されたのであった。

 

「誰かいるぞ!」


 隊員の一人が発する。その言葉に全員が反応し、周囲を警戒する。そして、発見された。いたというよりは、倒れていた。

 

 





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201_年1月2_日  日本国

 

 私の名前は______。日本の大学生だ。これが私の初めての日記となる。

 今日は冬期休暇が終わり、また大学に行くことになった。今日は私の友人が大学を休んでいた。珍しいことだったが、誰でも体調は悪くなるし、そこまで驚きはしなかった。でも、電話をかけても出ないのはおかしいと思い、友人の自宅へ行った。誰もいなかった。何処に行ったのだろうか。

 そういえば今日は空が灰色がかっている。雨でも降るのだろうか。

                        

                         ある女の日記より


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どうも作者です。読んでいただきありがとうございます。異世界系のテンプレートから外れて書きたいと思って書きました。表現とかまだまだ稚拙ですが生暖かい目で見てください。

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