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鯊太郎の世界の法則短編集  作者: 鯊太郎
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ボイルの法則

 「ねぇあなた、まだ係長にもなれないの?・・・」

 妻の言葉に、夕食を食べる手を止め箸を置く夫である私。

 電子レンジでチンされただけの、レトルトハンバーグを半分以上残す。


 「お隣さん家のご主人、今度課長に昇進されたんですってよ。あなた、確か同じ歳だったわよねえ?・・・」

 「はあ・・・」

 缶ビールを持つ手からも力が抜けていく。もちろんビールといっても、「第三のビール」と呼ばれる類のそれである。

 

 まったく会社の社宅は家賃が安いからと、喜んで入居したのはもう20年前。以来、事あるごとにと周りに住んでいるご主人達と比較されているのだ。

 やれ、どこどこの家では海外旅行へ連れていったくれただの、迎えの奥様、毛皮のコートをご主人からプレゼントされとか・・・ 

 そうかと思えば、あそこの家のご主人の趣味はゴルフなんですってよと、碁盤にひとり石を打っているだけが唯一趣味の私に、これ見よがしにと妻のチクリチクリ攻撃が始まるのである。


 最近では食欲減退だけではない、妻に隠れて胃薬まで服用しているのだ。

 それでもそんな鈍感な妻に、その事を言い返せない夫である私。

 (まあ、仕方ないか・・・)

 


 「あなた、この頃少し痩せてきたんじゃない?・・・」

 「そうかなあ?・・・」

 「そんなんだと、昇進して係長になっても貫禄ってものが無いわよ、貫禄ってものがね・・・」

 「はあ・・・」


 妻の言葉に、自分のやつれた顔を鏡に映して見る私・・・



【ボイルの法則】

一定温度の条件下では、気体の体積は(V)は圧力(P)に反比例するとい法則。

P×V=一定 (温度一定)という式が成り立つ。

つまりは、周りからの圧力が大きければ大きいほど、その物体の体積は小さくなるということ。

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