オームの法則
「サッちん、次は何処へ行きたい?・・・」
「うーんそうね、ディズニーランドなんか良いかしら」
(うっ、ディズニーランド。入場料がかなり掛かるな・・・)
「ちょっとここで待っててね」
僕は急いでATMへ行ってお金を下ろし行く。
「お待たせーっ」
「それから高瀬君、そのサッちんて言うの、人前でやめてくれる。私は奥村幸子、できれば奥村さんって呼んでほしいわ」
「ああ・・・」
(何だよサッちん、僕の気持ちも知らないで・・・)
「やっぱりディズニーランドって楽しいわあ、ねえ、高瀬君!」
「そうだね、奥村さん・・・」
(やっぱり笑顔の彼女は可愛いな・・・)
「ねえ高瀬君、私あれ食べたいな」
見るとそこには、ポップコーンの屋台が。キャラメル味のそれである。
「どうせなら、BB-8のポップコーンバケットが良いなあ~」
(えっ、それって倍の値段もするんだよ・・・)
僕は心の中で泣きつつも、笑顔でそれを彼女の首に掛けてやる。
「高瀬君、ありがとう・・・」
(君が喜ぶなら、それで良いんだ)
僕は白雪姫城を見つめている彼女の手を、そっと握ろうと手を伸ばした。僕の指が彼女の指差に触れる。
「ちょっと高瀬君、あたし達って、まだそう言う関係じゃないでしょ!・・・」
「ご、ごめん・・・」
(まだそう言う関係じゃないって?・・・)
「奥村君、お土産買いに行こ!」
「う、うん・・・」
(まさか・・・)
彼女はぬいぐるみバッジの前を通り過ぎると、迷わず「ダッフィー」のぬいぐるみの前へと向かう。
そのひとつを手に取ると、すでに自分の物のようにと抱きかかえているのだ。
「これ、前から欲しかったのよね~」
「へえ、可愛いね・・・」
言いながら、僕は商品の値札を裏返す。
(げっ、こんなにするの?・・・)
ディズニーランドを出るときに、そのぬいぐるみを胸に抱えた彼女が一言僕に呟やく。
「高瀬君、本当に今日は楽しかったわ。次回は富士急ハイランドに行きましょ!」
僕はそれには答えず、彼女の目を見つめる。お誂え向きに、辺りはすっかり日も暮れている。それにここは、ランドの中に比べると人も疎らである。
僕は真剣な顔を向けると、彼女に告白をした。
「奥村さん、僕は君のことが好きな・・・」
「ちょっと高瀬君、やめてよね。あたしそういうのタイプじゃないんだ、もっと楽しく行きましょ、パーッと楽しくね!」
(どうすれば、僕の気持ちが分かってもらえるんだろうか?・・・)
僕は笑顔ではしゃぐ君の横顔を、うらめしく見つめていた・・・
【オームの法則】
(電気)回路を流れる電流(A)の大きさは、電圧(V)の比例し、電気抵抗(Ω)に反比例するという法則。 電圧(V)=電流(A)×電気抵抗(Ω) という式が成り立つ。
彼女の気持ちは、お金に比例するようにと大きくなるが、男の子の気持ちとは反比例するかのように伝わらないと言うこと。




