翠陰より
蠍座の黒猫 さんの主催する「詩のサークル」第二回、テーマ「音楽」での作品です。
翠陰を
きらめく葉露
波となり
綾波を
ものの塞ぐる
影はなし
何処より
命は此処へ
止まずして
彼岸より
水は此方へ
満ち満ちて
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後書き
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「3 HOURS Relaxing Music with Water Nature Sounds Meditation」
の三十四分六秒から三十六分六秒までが
一番のお気に入りの箇所です。
ただマイナーすぎるのでURLを載せておきます。
https://www.youtube.com/watch?v=TkFm1jmJemU
幽かに聞こえてくる波の音に
普通は海辺に打寄せる白波、
たとえば平家物語を思い出すかもしれませんが
僕にとって馴染みがあるのは
このような翠陰より漏れた陽に煌めく川や池であり
僕自身の興味が「命とは何処から来て
何処へ向かっていくのだろうか」という
「神秘」のほうへ向いているので、
自然、詩もそうなったように思われます。
また、僕はどのような命も
生まれ落ちた以上、何かしらの
影響を、波紋を遺さずに
生きてはゆけぬと思うのです。
作中における木は、
日常にある情景であり
世界そのものでもあり、
葉露はやはり命であります。
形式を五七五に整えたのは、やはりそれが美しいからです。
注)
「塞ぐる」は「ガ行下二段活用動詞」であり、
口語訳すると「妨げる」です。