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落ちこぼれ営業マン異世界戦記 ~俺は最強騎士となり12歳のロリ女帝や脳筋女騎士や酒乱巨乳奴隷や食いしん坊幼女奴隷に懐かれながら乱世を生き抜くようです~  作者: 羽黒楓
第一部 第五章

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68 入浴

 まじすか、これ。

 入浴用の天幕の中に、俺はいた。

 裸で。

 一応タオルだけは着用してるけど。

 もうもうと立ち込める湯気。

 すえつけられた、広めの湯船。木製のものだ。

 ラータは風呂をもってきた、といっていたが、むしろここに風呂場を作った、といった方が近いかもしれない。

 訊いてみると、お風呂組み立てセットみたいなのがあるみたいだ。

 この国の入浴の習慣は日本とそうかわらないらしく、湯船と、身体を洗うための洗い場にと分かれている。

 蒸し風呂とかじゃない。

 日本の江戸時代とかだと蒸し風呂も普通だったみたいだけどな。

 さて。

 俺はその風呂場に裸で立っているわけだ。

 なんてことだ、これは。

 いや、風呂で裸っていうのは別に普通のことなんだけど。

 普通じゃないのは。

 ヴェル、エステル、ラータ、キッサにシュシュと夜伽三十五番までが一緒に裸でそこにいるからなのだ。

 俺たちは並んで洗い場に立っている。

 そして湯船の中には一人、ミーシアが気持ちよさそうに湯につかっている。

 『湯伽』という風習が、この国にはあるらしい。

 身分が下のものが、身分の上のものの身体を洗うこと。

 武器もなにももってない裸同士の付き合いで、親しく話をし、お互いの意思疎通を図る、というものらしい。

 問題は数十年のあいだこの世界には男が存在せず、そのうちに「そうはいっても男女は別々だよさすがに」といったふうの常識が消え失せてしまっているらしいことだ。


「ぷゎー生き返るわー」


 おっさんみたいなことをいいながら、ミーシアが湯船の中で目を閉じている。

 この国の絶対権力者にして専制君主なのであるから、一番風呂は当然だ。

その姿を俺たちは並んで見守っている。

 ――タオル巻いただけの裸でな!

 一人の女の子がお風呂に入ってるかたわらで、七人がならんでそれを見守っているのだ。

 なにこの羞恥プレイ!

 言うまでもないが、男は俺一人だけ。

 ちなみにこの国の風習では、浴室内で胸をタオルで隠すってことがないらしい。

 あとでキッサに聞いた話だが、子供に乳を与える乳房は神聖なもので、少なくとも女同士では、浴室内で胸を隠すのは逆に失礼にあたるらしい。

 そうはいっても俺は男なんだが。


『男には見せないほうがいい、という風習もあったはずなんですが、なにしろ男がいませんから、みんなそれは忘れちゃってたみたいですねえ』とは、のちのキッサの言葉だ。


 さて今現在の浴室の話に戻ろう。

 なんつーかこう、女子の香りが浴室全体にむわーっと漂っていて、湯気を吸うだけで酔っ払ってしまいそうだ。

 はっきり言うよ、俺だってチェリーな若い男なわけでさ、ちょっと横を見ると、ヴェルのCカップな乳房があってさ、その向こうにはさらにこぶりなエステルのBカップ乳房があってさ、さらに向こうには、ああ、着痩せするタイプなんだな、とんでもなくでかいおっぱいのラータがいるのだ。

 アダルト動画マスターの俺の推定だとHカップくらいだと思われる。

 ラータなんて、背も高いしスラリとしていて、しかも胸がでかい完璧なモデル体型。

 それが、一応下半身にだけはタオルを巻いてるけど、おっぱいまるだしで俺のわずか百二十㌢となりに立っているわけだ。

 んで、反対側には推定Iカップの奴隷が二人、擬音で表すならばドン! ッて感じだ、いや二人分四つのIカップ乳房だから、ドン! ドン! ドン! ドン! だな。

 ……俺はいったいなにをいってるのだろうか、あまりの状況に頭がおかしくなってるにちがいない。

 さらにその向こうには……まあうん、九歳の幼女、だけどそれはまあいいか、俺には九歳にどうこう思う趣味はないし。

 しかしまあ、美少女のおっぱいがこれだけ並んでるところ、生でみたことありますか、みなさん?

 ……身体の一部分があれですよ、あれになりますよ、僕だって。

 僕ってなんだよ、と自分でつっこみつつ。

 ので、俺は腰にタオルを三枚重ねで巻いている。

 これなら多少あれがこうなってもあれじゃん。

 ああくそ、物覚えが悪くなったおっさんみたいな話し方しかできねえよ!

 できねえけどわかるだろ?

『日本ではタオル三枚重ねが常識!』と言い張った俺、頑張った。

 じゃなかったら非常にみっともないのを見せちゃうとこだったわ。

 皇帝陛下の湯伽をさせていただけるのは大変な名誉で、皇帝陛下の寵愛を受けている証拠とみなされるらしいけど、そんなことはどうでもよさそうに、九歳のシュシュが、


「ちぃねえちゃんばっかりずるいなあ。気持ちよさそう……」


 などと言っている。

 と、それが聞こえたのか、


「あ、もういいよ、ごめん、みんなも入ってきてよ、みんなではいろ」


 ミーシアが言う。


「えーと、いいの……かな?」


 ドギマギしながら俺が聞くと、ヴェルが、


「皇帝陛下がいいといったものはいいの。皇帝陛下が雪は黒いといったら黒くなるのよ。さ、ご一緒させていただきましょ」


 といって、湯船に俺をひっぱっていく。

 ああ、ヴェルの推定Cカップのお胸がプリンプリンに揺れているよ……。

 Cカップでもちゃんとゆれるもんなんですねえ。


「み、見ないでよ……あんたにだけは見られると、こう、変なことなんだけど、……すっごく嫌な気分のような、そうでもないような、むしろ……いや、とにかく変になるから見るんじゃないわよ」


 変じゃないです。

 この世界、男が生まれなくなって久しい。

 ヴェルにしたって成人男子を見たのは俺が初めてで、男に裸を見られるってことがどういうことなのかわかってないのだ。

 頭ではわかってなくても本能がわかっているんだと思う。

 変な気分になるのは変じゃない。


「あらー、やっぱり陛下と同じお湯に入るのは緊張するのかな? 顔がこわばっているよ」


 ラータがツインテールとHカップのおっぱいを揺らして俺の顔を覗き込む。


「い、いえ……」


 とは答えたものの、あのねー、チェリーがこんなに間近に美人美少女のおっぱいを見放題の状況に陥って緊張しないわけがねーだろー! 生まれてよかった。


「でもいいのか、キッサたちまで……」


 俺たち貴族階級だけならいざ知らず、いくらなんでも奴隷まで皇帝と一緒の湯船に入るとか、どうなんだろう。

 ヴェルが答える。


「うん、ミーシア、このきつい数日間、あの子たちともずぅっと一緒だったじゃない? ミーシアってば奴隷といってもかなり親しみを覚えているみたいのよね」


 それはわからんでもない。生命の危機に何度も遭遇したが、俺たちはずっと一緒にそれを乗り越えてきたのだ。


「かなり破格よ、っていうか臣下の奴隷に入浴をともにするのを許すなんて聞いたことないわ。ミーシアらしい……おっと、陛下らしいといえば陛下らしいけどさ。ま、奴隷たちがミーシアの身体に触れないようにすれば大丈夫でしょ」


 そんなもんか。

 さて、急ごしらえにしては結構大きい湯船だ。

 といっても四畳半くらいの大きさか。

 八人が一気に入ると、さすがに狭い。


「狭いねー」


 ミーシアもそういって、


「でも、それがいいよね。みんな一緒って感じで。えへへへ」


 とかわいらしく笑う。

 ああ、女帝陛下はかわいいなあ。

 そしてなんつーか、うん、浮かぶんだなあ。

 大きいと、お湯に浮かぶんですね。

 キッサと夜伽三十五番とラータのお胸が、ぷかーぷかーって幸せそうに湯船で泳いでいるのを、俺は実に幸せな気持ちとともに眺める。

 ほどよい湯加減、ずっと入っていたい。


「陛下、リラックスできてますか?」


 ラータが訊くと、ミーシアは満面の笑みで、


「うん! 私、お風呂好きなんだー」

「帝都にもっと豪華なのを作らせましょう。陛下専用のお風呂を」

「私専用? みんなで入るから、楽しいんじゃない。ふふ、いいよね、こういうの」


 はい、とてもいいです。

 こうなるともはや、お湯というより少女たちの()()だ。

 飲みたいレベル。

 シュシュを抱いたキッサが俺の右隣、夜伽三十五番が左隣にいて、肩が触れ合う距離。

 俺の左右で、マシュマロみたいなメロンがぷかーぷかーと浮いているわけで、ふと向かいを見るとミーシアのとなりにはラータがいて、やっぱりぷかーぷかーと浮いていて、大変なんですよほんともう。


「……ヴェル卿にさっきちょっといわれたけど、……ほんとだね」


 ラータがお湯の中で呟く。


「ん、なにが?」


 ヴェルが問い返す。


「いや、ほら、エージの前で裸になると……恥ずかしいのはそりゃ誰相手でも同じだけど、なんというか恥ずかしさの質が違うというか……すごく、変な気分になる」

「でしょ? 変なのよね、あたしも……」

「成人男子って私も初めて見たけど、……私の身体、大人の男に初めて見られたけど……モゾモゾするね、なんか」

「うん」


 ヒソヒソ話しているつもりみたいだが、ばっちり聞こえてますよ、ちなみに俺の場合はモゾモゾというよりも……いややめておこう。


「早く帝都を再建して、陛下にもっといいお風呂に入れてあげたいです」


 とラータが言った。

 すかさず俺も口を出した。

 というよりも、ひとりごとのふりをして呟いた。


「帝都の人たち、無事かなあ……あの門をあけてくれた衛兵さんとか、街のひとたちとか……」


 とたんに、浴室の中が静まり返った。

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