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落ちこぼれ営業マン異世界戦記 ~俺は最強騎士となり12歳のロリ女帝や脳筋女騎士や酒乱巨乳奴隷や食いしん坊幼女奴隷に懐かれながら乱世を生き抜くようです~  作者: 羽黒楓
第一部 第四章

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58/122

58 ギャロップ

 生乳を()んでいいっていわれて、揉まない男など男じゃねえ。

 そんなわけで、俺はキッサの胸元に手を突っ込みながら、というアホな体勢で馬にのっていた。

 なるほどなるほど。

 キッサと()(とぎ)三十五番のおっぱいの大きさは、だいたい同じくらいだということがわかった。

 ちなみにキッサの方が若干弾力があり、三十五番の方が柔らかい。


「だからお前の乳の方がもみごたえって点ではいいよなー!!」


 キッサの生乳を後ろから揉みながら、俺は彼女の耳元で叫ぶ。


「え、ほんとですか? やった! ざまあみろっ、ですっ!」


 いやいや、ざまあみろって何だよ。

 馬に騎乗したのはこれが生まれて初めてだったが、これ、なかなか怖いな。

 視点が思ったよりも高くて、高所恐怖症だったら絶対に無理な気がする。

 幸い、俺は高所恐怖症ではないが、それでも怖いのだ。

 さらに、俺とキッサとシュシュ、三人も乗せているのに、案外スピードが早い。

 とにかく視点が高く思ったよりスピードが出て、当然のことながら揺れまくるので、ジェットコースターに乗っているようなもんだ。

 昔、競馬のゲームにはまったことがあり、少しだけ本物の競馬もかじったことがあるので、多少の知識はある。

 なんとなくの比較だけど、俺たちが乗っているこの馬は、サラブレッドみたいな軽種ほど足が細いわけではなく、ばんえい競馬の重種みたいに馬鹿でかいわけでもない。

 いわゆる中間種の中でも重種に近い感じの馬だ。スターク種とかいったか。

 馬車をひいているときはずっとトロット、つまり早足でひかせていたが、今はキャンター、つまり駆け足で走っている。

 ちなみにミーシアを乗せた馬は、俺たちのより一回り小さいがスピードはでるようで、襲歩(ギャロップ)であっというまに前方に消え去った。その周りを護衛する山賊たちも同様だ。

 そして、俺たちを追いかけてくる、騎士を中心とした騎兵たち、それに第二軍の騎兵旅団も、当然全速力のギャロップだろう。

 ギャロップでは長距離を走れないが、なにしろ俺たちとそんなに離れていないのだ。

 で、当然、俺たちは追いつかれる。

 そこで出来る限りの応戦をして、少女帝(みかど)ミーシアが逃げる時間を稼ぐのだ。

 ところで街道といっても当然、日本みたいに街頭があるわけじゃない。

 月も星も雲にかくれてしまった夜の草原。

 もう、道なのかそうじゃないのかすら俺にはわからない。

 ただ、キッサには暗視の法力があるので、それでなんとか道を外さずに進んでいる。

 しかし、暗視の能力を持たないヴェルは、よくもまああんなスピード出せたな。

 さすが帝国一の騎士様だ。


「おい、キッサ、追っ手は今どの辺だ?」


 俺は手をキッサの胸から引っこ抜きながら聞いた。

 いくらなんでもいつまでも胸を揉んでいるわけにもいかない。

 そうしたいのは山々だが、正直今はそれどころじゃないのだ。


「騎兵旅団の先頭が……あと……四〇〇マルトってとこですね、ほかの騎士たちは道のないところを走っているので、少しだけ遅れてるみたいです」


 なるほど、街道を走って追いかけてくる旅団の方が早い、というのは道理だ。

 っていうか。


「あと四〇〇マルトしかないのか!」

「……はい、もう、追いつかれます」

「…………よし、キッサ、このあたりで止まってくれ、ここで迎え撃つ! 三十五番! 止まれ!」


 俺は隣を走る夜伽三十五番にも怒鳴る。

 キッサと三十五番が手綱を引き、馬が(いなな)きとともにゆっくりとスピードを落とす。

 俺たちはすぐに下馬し、敵が来る方向を向いた。


「いくぞ、キッサ、シュシュ、三十五番! 絶対生き残るぞ!」

「はい!」


 俺の愛する奴隷三人の返事がいい。

 俺のことを信頼しきっているのだろう。

 よっしゃ、やってやるぜ!

 もうすでに、追手たちの(ひづめ)の音が地面に響いてきている。


「俺から離れるなよ! キッサ、こっちの方向か?」

「はい! そうです!」

「いくぞっ……」


 この世界に転生してきてから、いろいろなことがあった。

 キッサとの対戦、ドM少女皇帝のはしたない(っていうかアホな)姿、飛竜、リューシア、ニカリュウの聖石、ヴェル・ア・レイラの危篤、粘膜直接接触法、山賊たちにリンダ、そして姿の見えない緑髪。

 まだこっちにきて数日しか立ってないのに、俺の今までの人生以上の密度だ。

 この戦いで俺の人生はさらに密度を増すだろう。

 右手に、巾着袋に入った九百八十二円と十銭を握りこむ。

 馬の嘶き、胸の奥に重低音で響く()(てい)の音、そして――


「来ました!」

「よっしゃいっくぜおるぁぁぁぁぁ!!」


 俺の絶叫とともに、ライムグリーンの巨大な扇が出現し、騎兵たちを()()んだ。

 

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