プロローグ
…少し、昔話をしようか。
1000年前、世界はウィザディアス帝国によって支配されていた。
街や村は帝国によって重労働な仕事に動員され、ほかの国は重税によって苦しみ、どんどん廃れていった。そんな中、帝国の王ガランダス・サイゼルスはこう言い放った。
「我以外の人間など家畜に過ぎない。」
その言葉に人々は怒り、一度は決起したもののガランダスが放った力の前に皆、倒れた。
ガランダスは魔神と契約し、その力を5つの武具の形にしていたのだ。
ガランダスはその武具を使い、自分に歯向かう者すべてを殺していった。誰一人、その力の前では無力だった。もうだめだとあきらめたとき、人々の前に5人の人間が現れた。
その者は言った、「あきらめるな、あきらめてしまえばそこで終わりなのだ」と。
5人はそれぞれある、武具を着けていた。
一人は、すべてを断ち切る剣。
一人は、邪悪な力からすべてを守る盾
一人は、味方を癒し、敵を滅ぼす杖
一人は、どんな攻撃を受けても傷がつかない鎧
一人は、どんなものでも貫いてしまう槍
5人は魔神と化した王ガランダスを倒すべく旅に出た。それは辛く、大変な日々だった。
王の刺客から狙われ、休めない日々。しかし、それらすべてが5人を強くしていった。
そして、5人はついに王の所までたどり着いた。
「ついに来たか、人間どもよ。」
「私たちは、お前を倒しに来た!覚悟しろ!!」
「いいぞ、我の刺客を倒し、ここまでこれた人間ども!ここで殺してくれるわ!!」
その戦いは、その地を焦土に変えた。魔王は、魔神から授かった力で5人を殺そうとする。
しかし、鎧に弾かれ、剣で斬られ、魔法で攻撃され、槍で刺され、ついに王は追い込まれた。しかし、王も何もしていなかったわけではなかった。王は、自分の命と引き換えに、世界を滅ぼす魔法を生み出した。
「これで貴様らも死ぬ!」
「くそっ、そんなことはさせない!!」
魔法で攻撃し、槍で刺し、剣で斬りつけても、王の放った魔法は壊れなかった。
5人が絶望しきったとき、天から声が降ってきた。
「その魔法とともに、私が消えよう。」
声の正体は、白く輝く竜だった。5人は引き止めた。
「それでは貴方が死んでしまう!!」
「いいのだ。この世界が消えてしまうより、ずっといい。」
「だけど、貴方という大切なものが世界から欠けてしまえば、世界が壊れてしまう!」
竜は、笑った。
「この世界から、竜は消えない。私が死んだ骸から、新たな竜が生まれてくるだろう。」
竜は、魔法を飲み込み大空へと飛び立った。そして、竜の中から光があふれ、その姿がすべて包まれたとき、光の中から、何百という竜の幼生が出てきた。
王を倒し、世界を平和にするという5人の戦いは、この瞬間に終わった。
その後、5人は分かれて人々に言い伝えて言った。
「私たちを救った竜を忘れてはならない。そして、あの光の中から生まれでた竜を傷つけてはならない。すべての竜は、私たちを救った竜なのだから。」
人々は、その言葉通りに従った。
5人はそれぞれの武具を封印し、それぞれの人生を送り、眠りについていった。
これが、今の世界を造った、「魔神大戦記」のお話さ。