第2話:ちえ、ぜったいあきらめない!
前書き:音に宿る、あきらめない心
神々の音楽会が終わり、雲の上に静かな光が戻る。
完璧な音を奏でるいずみが優勝し、ちえはまた2位だった。
でも、ちえは泣かなかった。彼女の中には、まだ響いていない音があったから。
この第2話では、ちえが「収束」の力に目覚め、自分だけの音楽を見つけていく。
鳥のさえずり、風の音、神様たちの笑い声——
すべての音が、ちえの心に集まり、物語となって響き始める。
「絶対音感」ではなく、「詩的絶対音感」。
それは、音の意味を感じ取り、気持ちを音に乗せる力。
ちえは、いずみの真似ではなく、自分の音楽を奏でる道を歩き出す。
神々の応援に包まれながら、ちえの挑戦が始まる。
あきらめない心が、音楽を変えていく——
そんな希望に満ちた物語の幕が、今ふたたび上がる。
(第1話のエンディングから続く、少し希望に満ちたBGM)
ナレーション(神様A):
「第1話の音楽会、すごかったね!いずみちゃんの完璧な音と、ちえちゃんの賑やかな音!」
ナレーション(神様B):
「結果は、またまたいずみちゃんの優勝!ちえちゃん、悔しそうだぞ!」
神々の音楽会が終わり、神々の世界はいつもの穏やかな日差しに戻っていた。
ちえは、自分の部屋でエレクトーン「ELB-02」と向き合っていた。彼女の指は、止まることなく鍵盤の上を動いている。けれど、その音には、いつもの楽しさが少し欠けているようだった。
ちえ:
「この音じゃ…いずみちゃんには勝てないのかな」
ナレーション(神様A):
「おっと、弱気になってるぞ、ちえちゃん!」
その時、窓の外から、神様たちの声が聞こえてきた。
神様たちの声(合唱のように):
「ちえちゃん、ぜったいあきらめない!」
「ちえちゃんならできる!」
「ちえちゃん、頑張れー!」
ちえは、はっと顔を上げた。窓の外には、たくさんの神々が、手を振ったり、応援のプラカードを掲げたりしている。
ちえ:
「みんな…」
ちえの心に、温かい光が灯った。そうだ、みんな応援してくれているんだ。いずみに勝つことだけが目的じゃない。
ちえ:
「ゼロツー、私、諦めないよ!もっと、みんなが喜ぶような音楽を奏でたい!」
『キューン!その意気だよ、ちえ!』
ELB-02も、嬉しそうに光る。
ナレーション(神様B):
「よーし、やる気が出てきたぞ!でも、どうやっていずみちゃんを超えるんだろう?」
いずみの「絶対音感」は、生まれ持った才能だ。対して、ちえにはそれがない。
ちえは、自分の持つ「収束」の力について、考え始めた。あらゆるものを集めて、一つにする力。
ちえ:
「絶対音感は、一つの完璧な音を聴き分ける力。なら、私は…」
ちえは、目を閉じて、これまでに聴いた音を思い浮かべた。
鳥のさえずり、風の音、神様たちの笑い声、いずみのピアノの音、そして自分のエレクトーンの音。
それらの音が、彼女の中で一つに集まり、絡み合っていく。
ナレーション(神様A):
「ちえちゃん、集中してるぞ!すごい顔だ!」
ナレーション(神様B):
「これは、『収束』の力が発動してるんだ!知識や経験、全部集めてるんだね!」
ちえの中で、音がただの物理的な振動ではなく、色や形、そして「意味」を持って現れ始めた。
ちえ:
「鳥のさえずりは、喜び。風の音は、自由。神様たちの笑い声は、幸せ…」
彼女は、音に感情や物語が詰まっていることに気がついたのだ。
ちえ:
「音楽って、音符だけじゃない。みんなの気持ちが、ぎゅーってつまってるんだ!」
この気づきこそが、「詩的絶対音感」への第一歩だった。
音そのものを完璧に聴き分ける「絶対音感」ではなく、音の持つ感情や物語を完璧に感じ取る「詩的絶対音感」。
ちえは、再びELB-02の前に座った。
弾き始めたのは、先ほどと同じワルツ。
だが、音は明らかに違っていた。
ナレーション(神様A):
「あれ?同じ曲なのに、なんか違うぞ?」
ナレーション(神様B):
「音に、ちえちゃんの気持ちが乗ってる!すごく楽しそうだ!」
ちえが音を奏でるたび、その音は聴く者の心に直接語りかけるようだった。喜びの音、希望の音、そして、諦めない心の音。
ちえ:
「ゼロツー、聞こえる?私たちの音だよ!」
『うん!最高だね、ちえ!』
ちえはもう、いずみの真似をする必要はないと分かった。自分だけの、自分たちだけの音楽を奏でればいいんだ。
ナレーション(神様A):
「ちえちゃん、自分だけの道を見つけたみたいだね!」
ナレーション(神様B):
「そうだね!これからは、この『詩的絶対音感』を磨いていくんだ!ちえちゃんの挑戦は、まだ始まったばかりだ!」
ちえの部屋から流れる音楽は、神々の世界に優しく響き渡り、新たな物語の始まりを告げていた。
(希望に満ちたテーマ曲が流れ、フェードアウト)




