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知らない人

これは、私が18歳の時に働いていた療養病棟での話です。



その日は夜勤でした。

介護職員が2名、看護師1名の3名体制でした。

深夜0時の巡視を3名で行うと順番に休憩に入ります。

この日は介護職員の先輩が1番に休憩に入り、

私と看護師さんの2名でナースステーションに残り、

私はガーゼの補充をしたり雑務をこなし、

看護師さんは記録や点滴の準備などをしていました。



深夜1時を回った頃、看護師さんが「巡視に行ってくるね」と巡視に行きました。

ナースステーションに1人。

時計の音がやたら大きく聞こえたのを覚えています。

看護師さんがいなくなったナースステーションで1人ぼーっと時計を眺めていると、

廊下からペタペタと足音が聞こえてきました。


「 誰か起きちゃったかな 」


とナースステーションの出窓を眺めていると

ワンピースタイプの病衣を着たおじいちゃんが1人横切って行きました。


「 あ、おトイレに行ったのね 」


と自己完結したタイミングで看護師さんが巡視から帰ってきて

私も休憩に入りました。



その後何事もなく夜勤は終わり帰宅している途中の車に中で、

ふと、昨日のおじいちゃんのことを思い出しました。










そういえば、あんな人うちの病棟にいたっけ、、、?

というかうちの病棟の病衣、ワンピースタイプじゃなくて

黄色の普通の上下セットのパジャマじゃん、、、



それに、顔をはっきり思い出せない。

黒いモヤがかかった様にしか思い出せないのです。


そしてその方が歩いて行った方向には1部屋しかなく、

今は空き病室だということを思い出し、ゾッとしました。




後日、長く勤めている先輩にこの話をすると、

「 ついに桃ちゃんも見ちゃったか 」 と。

私の勤めていた病棟ではたびたび同じおじいちゃんが

目撃されているようで、都市伝説のようになっている様でした。




「 危害を加える人じゃないし、ただフラフラ彷徨ってるだけだから気にしなくて大丈夫よ 」


と先輩は笑っていましたが、

私が一番恐怖を感じたのは、その後の先輩の言葉。












「 ただ1つ不思議なのが、うちの病院でワンピースタイプの病衣を採用したこと、ないんだよね 」







じゃあ、あの方はどこからきたのか。

うちの病院の患者様じゃなかったのなら、彼は誰なのか。


今でも思い出して不思議に思います。








終わり































夜勤中は正直そんなことにいちいち怖がっていられないほど忙しいし、何より眠たいのでもしかしたらみんな何かを見間違えただけかもしれませんが。


たまたま同じおじいちゃんを見間違えるものでしょうか。

私は数年前に退職してしまったので今でも彷徨っているのかわかりませんが、

還るべきところに辿り着けているといいな、と思っています。



お読みいただきありがとうございました。

まだまだ怖い体験しているので、ゆっくり執筆して行きます。



桃瀬遙

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