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誓い

「そうだったんだね・・・・・・改めてありがとう李凛」


なんと言っても李凛が居なければ自分は生きていなかった。

もちろん瞬冷やその配下、宰相達も。



その思いを込めて頭を深々と下げる。


すると何故だか李凛は笑っていた。



「アッハッハッハッハッ!!! 今日は本当に驚きですね! 『あの』蝶姫様からありがとうがこんなに出てくるなんて! 生きててよかったー!!!」



揶揄うようにそう話す李凛に蝶姫は頬を膨らます。


だが、李凛の言う通りだ。

そして、思い出した。


私は生まれ変わると誓ったのだと。


今この瞬間から変わるんだと!




「ぎゅるるるー」



目を見開く李凛と顔を真っ赤にする蝶姫。


気まずい空気が流れる。

いや、李凛は今にも笑いそうな顔をしている。


「うぅ、、、だってずっと食べてなかったからお腹

 空いたんだもん・・・・・・」


いじける様にそう話すと、


「そりゃそうですよね! 蝶姫様は気絶してから三日も 寝ていたのですから!」



その言葉に驚愕する。

まさか、そんなに長く気絶していたとは思いもしなかった。


王都である蝶明からここ蝶龍の城は早馬で3、4日の距離だ。


という事はずっと気絶していた蝶姫を雷火は運んでくれたことになる。


(雷火にもお礼しなきゃ、、、)



なんだか照れくさくなりながらも心の中で呟く。



「ささっ! 私が作ったご飯! 久しぶりに食べたいですよね?! 行きましょう!」


李凛に肩を貸してもらいながら食事部屋へと向かう。




食事場へと着くとそこには既に雷火が座って待っていた。



「ようやく来たか。 食うぞ」



蝶姫達を見るや否や食事を始める雷火。

二人が来るまで待っていてくれたようだ。


二人は顔を見合うと、そのまま椅子に腰をかけて

料理を口に運ぶ。


とてもじゃないが王都にいた頃の料理とは比べ物にならないほど質素だ。


いや、王都の食事が豪華すぎた。


だが、不思議と今まで食べた中で一番美味しく感じ

気付けば涙が流れている。


前までは考えられなかったが、一口一口しっかりと噛み締め味わう。


泣きながらも食べ続ける蝶姫に気付いた雷火。



「ここに敵は居ない。好きなだけ泣け。

 そして、腹いっぱい食べろ」



雷火の言葉に頷きながらも黙々と料理を口に運ぶ。

そんな蝶姫を見て李凛も貰い泣きをしていた。





こうしてお腹いっぱい食べた頃には涙も止まっていた。


お腹も膨れ、知りたくないが聞きたいことを尋ねる。



「ねぇ、雷火、、、お父様と弟の獅徳は無事かわか  る?」



何よりも気になっていた事。

家族の安否だ。




その言葉を発した時、雷火と李凛の顔色が悪くなる。




まさか、、、



そして、最悪の返答が返ってくる。


「お前の父、国王陛下は亡くなられた、、、お前の兄である狼徳の手によってな。 そして、弟である獅徳王子は行方がわからぬ。 それに、王子が部屋を出たのを見た者も居ないという。 だが、部屋が燃やされたことを考えると既に・・・・・・」




再び頭が真っ白になる。

覚悟はしていた。


あの戦火の中だ。

自分だって逃げきれたのは奇跡に近い。


だが、二人に奇跡は起こらなかった。

二人とも兄の手によって殺されたのだ。



何回泣けばいいのだろうか。

それなのに涙は枯れることなく、ずっと出る。




「うぅ、うぅ、うわあああぁぁぁーーー、、、わ、私、お父様に謝ってない! 獅徳にも謝れてない!

散歩楽しみにしてたのにごめんねって、、、こんな娘でごめんねって、、、もっと早く言えばよかった、

後悔してももう遅いのに!、、、お父様、、、獅徳、、、うわあああぁぁぁーーー、、!」



子供のように泣き叫ぶ蝶姫。

文字通り、家族の全てを失ったのだ。


そして、道中の疲れもある。


蝶姫の心も身体も最早ボロボロである。


「うぅ、、、蝶姫様、、、蝶姫様、、、」


李凛が蝶姫の傍に行き優しく抱きしめる。

李凛の腕の中でいつまでも泣き続ける。





そんな光景を見ていられずか、雷火は唇を噛み締め、立ち上がりその場を後にする。



廊下へ出ると壁に向かい




「ドゴンッ!!!!!」




石の壁にヒビが入る。


雷火の手からは血が滴っていた、、、



「くそっ・・・・・・何故ですか国王陛下、、、

俺は貴方に忠誠を誓っていたのに、、、

何故あのような・・・・・・くっ!」




怒りと悲しみにに震える雷火。


先も言ったように、雷火を拾って育ててくれたのは国王陛下だ。


つまり、雷火の父代わりとなってくれていたのだ。


雷火にとっても父を失ったも同然である。

その行き場のない怒りが石壁に当てられる。




いつまでも聞こえる蝶姫の泣き声。


今となっては国王陛下のたった一人の大切な存在。

雷火は心に違う。


(国王陛下、、、必ずや蝶姫様は私の手で守ります。

命を賭して・・・・・・)


こうして、誰にも見えない場所で蝶姫へと誓いを立てるのであった。



今日はまともに話せる状況では無いということで、蝶姫はそのままベッドで寝かせてもらった。


もちろん李凛も一緒に。

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