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戦場を舞う蝶  作者: ディアン


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57/60

足りない覚悟

いつもご愛読ありがとうございます。 仕事の方がだいぶ忙しく

小説の方に取り組むことが難しくなってきましたので、書ける時に書いていこうと思います。 勝手ではありますがどうかご了承ください。

数日後、城門の前には敵総大将の首が晒されていた。

あの後、緋水の言う通り被害者の家族全員で恨みを晴らしたのだ。


それで、気が済む訳では無いが、それでも娘は帰ってきたし

元凶を自分達の手で成敗することも出来た。


それによって、傷は癒えてなくとも少しずつ前に進むことができる。


一部の者には野蛮な行為と蔑まされてはいるが、それ以上にほとんどの者が緋水のこの行動に感謝していた。




「ガッハッハッ!!! 相も変わらずお前はやる時はとことんやる奴だな」



「別にいいんじゃない? 俺もアイツの所業は嫌いだし。

俺の手で足を切りたかったなー」



「ジジィも淋木もありがとな! ようやく俺の家(城)に帰って来れたぜ。 向こうも雷火と鳳金が居るんだ。 今頃蝶永城を取ってるころだろうな!」



三人は中央の城にて会談をしていた。

城内もあっという間に落ち着いており、内政も安泰だ。



蝶姫の元へは淋木の配下が伝令を飛ばし、蝶華城にて待機するのであった。





数日後、蝶姫の居る蝶永城へ淋木からの伝令がやってきた。



「流石ですね。 これで、城の数は我々が六城。 狼徳軍が四城となりました。 城はもちろん、兵の数も我々が盛り返したはずです。 更に戦もこちらの連戦連勝。 つまり、全てにおいて蝶姫軍が勝っていると思われます」




情勢が変わった。

既に半年以上経っている。


短いようで長い。

最初は、李凛と二人きりで逃げていたのに、今では頼もしい仲間とたくさんの兵士、付き従う住民達が何万人も居る。



従う者が増え、蝶姫自身も格段に成長していた。



「蝶姫---いよいよ、兄と雌雄を決する時が近付いている。 心の準備だけはしておけ」



突如黙っていた雷火が口を開く。


心の準備。

つまり、兄を『殺す準備』をしておけという事だ。



彼は父を殺し、自分と弟を殺そうとし、国を崩壊させた

巨悪の元凶。


とはいえ、弟と同じく肉親の一人である。

思い出はほとんどなくとも兄妹なのは変わりない。


その兄を殺すのだ。



雷火の言葉に蝶姫は押し黙る。

覚悟がまだ出来ていないのだ。


というより実感が湧いていなかった。

もし、こちらが優勢になれば相手から降伏してきてくれるかもしれない。


そうすれば、別に命までも奪わなくてもいいんじゃないか?

そう思えてきたのだ。



だが、そんな甘い考えも雷火にはお見通し。



「言っておくが戦争に勝ち勝利しようが、相手が降伏して勝利しようが狼徳王子とその重鎮達は皆処刑だ。

国家反逆罪だぞ。 いつまたお前の寝首を搔くかもわからない。 いいな?」



雷火の言葉は重く伸し掛る。


楽観的に考えすぎていた。

蝶姫は小さく頷くと雷火はその場を後にする。




静まり返り、一人俯く蝶姫に竜土と鳳金が近寄る。



「大丈夫? なんで落ち込んでるのかわからないけど多分大丈夫だよ。 雷火はいつもああだからさ」



「竜土は少し言葉足らずですね。 確かに雷火の言葉は少々キツいものがあるかもしれません。 ですが、雷火の言葉は最もです。 蝶姫様は国を取り返し世界を一つにすると仰いました。 それならば、もう二度と国を分断する訳にはいきません。 それに狼徳王子はもちろん、弟君である獅徳王子にも目を光らせなければなりません。

国を纏めるとはそういう事なのです。

少し難しい話が多すぎましたね。 今日はもう休んでください。 明日は一度蝶支城へと戻ります」



蝶姫は頷くと言葉に甘えて寝室へと向かった。



寝室に戻りベッドへと倒れる。


そして浮かぶのは兄の顔。

小さい頃から、あまり兄と弟とは関わらなかった。


李凛以外と関わることがなかった。

だから、兄との思い出もそんなに無い。


これで良かったのかもしれない。

思い出が多ければ多いほど、今回の決断は苦渋の選択となっていただろう。


だが、ある意味思い出がない為それほど辛くは無い。

辛くは無いのだが、兄を失うという実感が湧かないのだ。


そもそも、まだ勝つと決まった訳でもない。

もしかしたら、自分が負け、自分が処刑されるかもしれないのだから。



たくさん頭を悩ませ、考え事をし疲れたのか、いつの間にか眠りについてた。




翌朝、雷火と鳳金は蝶姫と共に蝶支城まで引き返す。


蝶永城の守りは竜土に任せる。

最前線の城であり、対狼徳軍の大切な城だ。

奪われるわけにはいかない。


よって守りの天才である竜土を残して戻って行った。






一月ほどで蝶支城へと戻ると、そこには緋水と淋木の姿が。



「あれ? 蝶華城って緋水の城でしょ? 居なくて大丈夫なの?」



まだ、奪還して間もない事もあり、治安や内政を不安視していた蝶姫がそう訊ねると緋水は笑顔で、



「元々俺の城だから大丈夫なんだよ! って言うより、俺のこの溢れ出る人徳が皆を一つに出来たんだろうな! ハッハッハッ!!!」



豪快に笑う緋水。

するとその後ろから淋木が、



「何言ってんだよ。 豪覇のじぃさんが守ってくれるから俺達も出れたんだろ」



せっかくいい所を見せようと思ったのに、淋木に一瞬で台無しにされ落ち込んでいる。



「元々、その予定でしたからね。 それよりも次なる戦の話をしなくてはなりません」



「次の城って事はいよいよ王手を掛ける戦いだな」



雷火の言葉に頷く。

蝶姫は分かっていないようで首を傾げる。



「そうです。 私の城であり、王都の国門とも言われている

『蝶霊城』です」



いよいよ敵の王都も目と鼻の先。

次なる戦いに備え、着実に準備は進むのであった。

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