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瞬冷の想い

「瞬冷・・・・・・?」



居るはずがない。

何せ、たった三人で何百もの敵兵に突っ込んで行ったのだから。


助かるはずがない。


だが、目の前に確かに居る。

足もあり、馬にも乗っている。



瞬冷は馬から降りてその場に膝を付き頭を垂れる。



「蝶姫様ッ!!! よくぞ、、、よくぞご無事で、、、」



涙を流しながら熱い想いを語る。



そんな瞬冷に飛び付く。

突然の事に驚き顔を上げると、蝶姫もその綺麗な顔を涙で濡らしていた。



瞬冷も抱きしめようかと思ったが、爵位が違いすぎる為、遠慮してただ涙を流し喜ぶ。




ようやく落ち着いたところで、あの後どうやって生き延びたのか聞いてみた。



「あの後、私達は無我夢中で狼徳軍を薙ぎ倒しておりました。 切っても切っても減らない敵。 だけど、私達の傷は増えていく。 そうして戦っていくうちに意識が遠のきそうになり、諦めかけてしまいました。 ですが、その時敵の後方より竜土将軍が獅徳王子と兵を引連れ助けに来てくれたのです。 将軍が居なければ私は、私達は死んでいたでしょう。

こうやってまた会えた事を深く感激致します」



やはり、瞬冷も獅徳同様に竜土が救ってくれたようだ。


改めて蝶姫は御礼を言う。



「竜土! 獅徳だけじゃなく瞬冷も守ってくれたのね!

本当にありがとう! 竜土のおかげで私の大切な人が二人も救われたよ! 竜土ありがとうッ!!!」



今度は竜土に抱き着く。

嬉しいと直ぐに体全体で感謝してしまう為、男性陣は大変だ。


特に竜土なんかは女性への耐性が無いため、既に放心状態である。



竜土から離れるとようやく我に返り言葉を語る。



「うわっ、、、またやられるところだった。 どうしてだろう。 避ければいいだけなのに、避けることすら出来ない。

いや、避ける事は許されない。 不思議だ・・・・・・」



何やら一人でぶつぶつ言うも、蝶姫は気にせず瞬冷と話した。



「本当によかったよ! 李凛が見たら嬉しすぎて気絶しちゃうかもね!」



あの夜、瞬冷は最後に李凛へと告白したのだ。

もう二度と会えないと二人も感じていた。


だから、恥も捨て愛の告白ができたのだ。


が、、、結局生き残ってしまった。

嬉しいことなのだが、瞬冷はその事をずっと恥じていたのだ。



「蝶姫様・・・・・・あの後、李凛は大丈夫でしたか?」



やはり、気になる様子。

蝶姫はそんな瞬冷の心情を理解して揶揄う様な不敵な笑みを浮かべている。



「ふっふっふっ、もちろん元気だよ! 貴方のおかげで私達は

無事に雷火に助けてもらうことができたの!

本当にありがとう!」



元気という言葉を聞き安堵する。

無事なのか情報が欲しかったが囲まれているため、どうしようも出来なかったのだ。


ここ数ヶ月はずっと生きた心地がしなかったそう。



「帰ったら結婚しちゃいなよ! 李凛も喜ぶと思うなー!」



突然の結婚という言葉に口を大開にして驚く。

いや、恥ずかしがっている。



「そ、そんな! で、でも思いは伝えたし、、、いいのかもしれない。 そ、そうですね! 落ち着いたら言ってみます!」



蝶姫に催促される形となったが、いつかは言おうと思っていた事。


瞬冷は李凛に告白する事を決心した。



そうして、賑やかになりながらも一度皆で蝶龍城へと向かう。

竜土が入った事により、そして今後の軍事方針を定めるため

全員が蝶龍城へと向かうのであった。




数日経ち、蝶姫達はようやく城へと戻る。


蝶姫は一人の男を伴い、自室へと向かう。

そこに待っているのは李凛だ。


いつものように蝶姫の部屋を掃除している。



「あっ! お帰りなさい蝶姫様! ・・・・・・えっ?、、、嘘、、、

瞬・・・・・・冷・・・・・・?」



持っていた掃除道具を落とし、呆然と蝶姫の後ろに立つ男を見つめていた。



「あぁ、李凛、、、君が無事で本当によかった・・・・・・」



涙を浮かべながら話す。

すると、李凛も既に涙を流していた。


蝶姫同様、死んだと思っていた瞬冷が目の前に居るのだから感激するのは当然だ。



李凛は嬉しさのあまり、蝶姫の前だというのに勢いよく瞬冷に

抱き着いた。



生きている事を肌で感じ、温もりを確かに感じる。


もちろん、瞬冷もその手でしっかりと抱きしめた。

愛する人が目の前にいるのだから。



そんな二人を蝶姫は無礼とは思わない。

むしろ、微笑ましく見守っていた。



(本当によかった、、、李凛はずっと我慢してたんだよね。

私を、私達を守る為に瞬冷は命を賭して戦いに行った。

死んだかと思った、、、でも、生きていたんだよね。

本当によかった。 李凛の心からの笑顔が見えて)




涙で顔を濡らしながらも今までにない笑顔で、抱き合う李凛。



蝶姫はその部屋を後にし、二人の空間を作ってあげた。

気遣いの出来る女性へと変わっているのだ。



すると、玄関前には雷火が待っていた。



「お前も気遣いが出来るんだな」



腕を組みながら嫌味を言う雷火。



「ふーんだ! 私だって変わってるんだから!

それよりも、どうしたの?」



「確かにだいぶ変わったな。(その見た目は変わらず美しいがな)。もうじき軍議が始まる。 二人は暫くそのままにしてやれ。 俺達で行くぞ」



後ろを振り返り歩き出す。

蝶姫も雷火を追って軍議へと足を運ぶのであった。



蝶姫達が入ると既に皆が揃っていた。

五行将軍の四人と副将が五名。更には豪覇将軍も。



そして、雷火が入り五人揃ったのだ。


大陸全土にその名を響かせているあの五行将軍が勢揃いしている。



こんな事、過去に一度もなかった。



改めて見るとその迫力と圧に蝶姫は思わず唾を飲む。


そんな五人が今は仲間なのだ。

これ程頼もしいことは無い。



五人は横並びとなり、蝶姫に膝を付き代表して雷火が口を開く。



「蝶姫様、これで全ての準備は整いました。 今が攻め時です」



その言葉に力強く頷く。



「うん! ありがとう皆! 軍議を始めるわよ!」



「はッ!!!」



とうとう揃った五行将軍。

ここから、蝶姫軍の怒涛の攻撃が始まるのであった。

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