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蝶支攻城戦

雷火、緋水、淋木の三人が一万を率いて蝶支城目指して東へと突き進む。


その道は鳳金の言う通り、両脇が崖のように山が連なっており左右への逃げ道は無い。


このまま進めば蝶支城からはいい矢の的である。


それも敵の方が多いというのに。


だが、鳳金がいけると言ったならその言葉を信じて進むのみ。


皆が真剣な面持ちで蝶支城目掛けて突き進む。




「まだこんな夜明け前だってのにゆっくり眠れないなんて

戦争が如何に愚かな行為か思い知らされるねー」



欠伸をしながらそう愚痴る緋水。



「早く寝ればいいだけの事でしょ。 でも戦争が愚かなのは同意だね。 だから、早く蝶姫には平定してもらわないといけないんだよ」



淋木がそう話を繋げると雷火も頷く。



「あぁ、その為にも俺達は蝶姫の前に立ち塞がる敵を全て倒すのみ。

蝶姫が天下統一を成し遂げるまでな」



雷火の言葉に頷く二人。

五行将軍は皆が天下に名を轟かせる程の将軍ではある。

そして、戦上手である。

だが、戦争が好きな訳では無い。


皆が平穏な世を待ち望んでいるのだ。

その為の第一歩としてまずは自身の国を取り返す。


そして、その障壁となるものは全て倒し奪い取る。



そう、目の前に見える蝶支城も。




「やっぱり近ーな! そして、こっから攻めるのは馬鹿だな。 かといって回り込むのにも山を越えなければならねぇ。 天然要塞だな」



目の前に蝶支城を捉えてその攻めにくさを改めて実感する。

ここから真反対の方には広大な畑が展開されており、部隊を展開しやすい。



「そういえば、鳳金から城を眼下に収めたら紙を見ろって言われてなかった?」



淋木が雷火にそう訊ねると雷火も頷く。



「あぁ、ちょうど今読んだところだ」



「んで、なんて書いてあったの?」


「そんなのあったのか! 俺は聞いてねーぞ!!!」



騒がしい緋水は置いておいて、雷火は鳳金に渡された紙の内容を二人に伝える。





『直に門は開かれる。 突入準備をして待て』





その言葉に驚く二人。

そして、淋木はなんとなく勘づいた様子。



「ッ?!・・・・・・収穫か、、、」



「んあ? 収穫ってなんだ?」



淋木の呟きに緋水が反応する。



「あぁ、淋木の部隊は潜入や斥候が得意だろ?

つまり、潜入させたんだろうな」



「うん。 特に無魂の変装術においては俺をも凌駕する」



「なーる。 んじゃあ門が開いたら早々に俺の烈騎兵で突っ込んじまうぞ!」



その言葉に雷火は頷く。



「あぁ、西門が開かれたらお前はそのまま東まで突き進め。

俺は北、淋木は南。 戦闘準備だ」



二人は頷きそれぞれ手勢の態勢を整える。



「朱抗、城内に侵入したのならお前は手勢を率いてそのまま西門を制圧しろ。 敵の数は五千。 何人いれば足りる?」



その言葉に微笑む朱抗。


「雷火将軍の『迅雷隊』は一人で十人を葬ります。 ならば五百で十分です!」



雷火率いる兵の中でも選りすぐりの精鋭である『迅雷隊』。


雷火の手勢は初期よりも増え、今では五千人いる。

そして、迅雷隊も強化されその数を五百人まで伸ばした。


つまり十分の一が精鋭なのだ。

迅雷隊の強さは拡張無しで一人一人が十人に匹敵するだろう。


つまり、朱抗の言う通り五百もいれば敵を倒す事ができる。



「わかった。 では迅雷隊はお前に預ける。 西門は頼んだぞ」



「はっ!!!」



こうして、雷火達の部隊編成も無事に終了し、後は開かれるのを待つばかり。





その頃蝶支城でも、西門の方向より蝶姫軍が向かってきている事は既に報告済みだ。



この城の城主である朱邦シュホウ

狼徳の部下にしては優秀な男であり、決して油断をすることの無い男である。


長年ここ蝶支城の城主をしている為、民や兵士からの信頼も厚い。



そして、彼は蝶姫軍の進軍に慌てることは無かった。

西門は一番攻めにくく敵の半数でも容易に守る事が可能だから。


後は、西門以外の北南東を警戒すればいいだけの事。

だが、油断はしない。


各城壁には五千の兵を配備し、それぞれの門前にも予備兵を

多数配備している。



そう。 彼は念入りに指示を出していたのだ。

全ての配備を城主である朱邦自ら指示を出す。


だが真ん中の城の上から、辺りを見渡した時、何か違和感を覚えていた。



そして、その違和感に気付くのはそう遅くなかった。




「何故、西門前の予備兵だけあんなにも少ないのだ、、、」




東西南北、それぞれに千人の兵を配備した筈。

だというのに、西門の予備兵が百人くらいしか居ないのだ。




朱邦が西門前の兵を見ていると、西門に配備されている一人の兵士が振り返り目が合う。


そして、その兵士は不敵な笑みを浮かべ朱邦を見詰める。


その瞬間、朱邦はとてつもない悪寒を感じその兵士の元へと急いで掛けるのであった。

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