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次なる城へ

鷲国を経ち、そして数日が経ち、ようやく李凛一行は蝶龍城を

目視できる所までやってきた。



「蝶姫様は大丈夫かしら、、、部屋の片付けや、身の回り、

ちゃんと出来ているのかしら?」



李凛は外交への不安よりも蝶姫の身の回りが一番不安だったのだ。


蝶姫は正直だらしのない性格であり、全て李凛が片付けなどをしていた。


そして、こんなにも蝶姫と離れるのは初めての経験であり

余計に不安が募っていたのだ。



そして、とうとう城門が見えたその時、李凛は思わず馬車から

身を乗り出す。



いきなりの事に驚いた銅刹は、城門へと目を凝らす。



そこに立っていたのは、、、




「李凛!!! おかえり!!! 本当に無事でよかった、、、」




涙ながらに大きな声で叫ぶ蝶姫の姿が。



李凛も馬車から飛び降りると一目散に蝶姫の元へと駆ける。



「蝶姫様ッ!!!」




抱き合う二人。

その目には共に涙を流している。



たったの数日ではあるものの、こんなにも互いが離れる経験をしたのは初めてであり、蝶姫は李凛の存在が如何に大きいか改めて知ることとなった。



何せ、片付けはもちろん身支度も一人ではままならなかったのだから。



そして、李凛も妹の様に大切に思っていた蝶姫に会えてようやく肩の荷が降りたのか、安堵から涙を流していた。



そんな光景を城門の上から優しく見守る雷火と鳳金。

二人の姿は紛れもなく姉妹そのものであった。




李凛が帰宅し、休みを与え翌日には皆が部屋へと集まっていた。


そこには蝶巴城に居た緋水と淋木。

そして、蝶明城にいる豪覇将軍の姿も。

更には副官達の姿もあった。


だが、淋木だけは一人だ。




「皆さんわざわざ集まって頂きありがとうございます。

蝶巴城、並びに蝶明城を長く空けるのは不安だと思いますので単刀直入に言います。

次に攻めるは『蝶支城』です」



鳳金が地図にある一つの城に指を差しながらそう話す。



「じゃろうな。 ここを取れれば蝶巴城と蝶支城で鉄壁の護りが作れるからのう」



豪覇はさすがという感じで鳳金の意図を瞬時に読み取った。


対して、他の三名、いや蝶姫と李凛も首を傾げていた。



そんな五人の姿を見てやれやれと言った様子の鳳金と豪覇。



「説明した方が早いですね。 蝶巴城と蝶支城の距離は

僅か半日程度。 更に、この二つの城の間には山々が連なっております。 という事はこの城の中間に入る事は叶わないという事ですね。 つまり、この二つの城を手中に収めれば援軍を容易く送りあえるという事です」



地図を見て納得する五人。

確かに、蝶巴城と蝶支城の間には山々の絶壁が立っている。


蝶支城を取ってしまえば、蝶巴城の守りを薄くし蝶支城の守りを厚くすれば事が足りるのだ。



「なるほどな。 だが、攻めるのも難儀するぞ。

こちらから蝶支城を攻めるにはその中間の道を通り、敵のいい的になる。 部隊を展開している暇もないぞ」



雷火の言葉に皆が頷く。


確かに山道を過ぎれば開けた場所に城は建っている。


だが、後方へ回り込もうとする間に敵は城より打って出てくるだろう。

加えて敵の方が数も多い。



この少ない数で城を包囲すればどこの門から敵がなだれ込んでる来るかも知る由がない。



「そこは我に策ありです。

既に淋木の配下には手を打ってもらっておりますので」



鳳金の言葉に皆が淋木を見つめる。



「・・・・・・なに? 俺は作戦内容は知らないよ。

鳳金は配下を貸してくれって言ってきたから副官の『無魂(ムコン)』と数名を貸したんだよ」



皆が首を傾げる。

言われてみると皆が互いに副官の顔も見知っているが、淋木の副官だけは見たことがない。


何せ、共に歩くものは毎回顔も性別も変わるのだ。



てっきり副官は居ないもんだと思っていた。



「あの人だからこそこの任務はピッタリなんですよ。

本当にこの軍は頼もしい。

適材適所な方が豊富なおかげで、作戦が次々に浮かびます。

と、いうことで皆さんは安心して蝶支城を目指してください。

とはいえ、城の守りも必要です。

ここ蝶龍城は私と蝶姫様が、そして蝶明城は豪覇将軍が

あとの御三方で蝶支城攻めをお願いしますね。

兵力は守りも必要なので、一万でお願いします」



その言葉に鳳金以外の面々が驚く。



「ちょいちょい! 蝶支城は確か3万以上の兵がいるんだよな? 城攻めは3倍の兵が必要と言われている。

それなのに、相手が3倍ってのは何かの冗談だよな?」



緋水が指摘する。

それは皆が同じ事を思っていた。


城を攻めるのなら3倍の数で攻めろ。


それが城攻めの鉄則だ。

子供でさえも知ることだ。


それなのに、鳳金は3分の1の兵で攻めろという。



これには楽観的な緋水も驚愕せずにはいられない。



だが、そんな中一人だけ、いや二人は表情を変えず黙っていた。


雷火と淋木だ。



「鳳金が淋木の配下で何やら工作をしているんだろ。

そして、鳳金が1万でいいと言ったなら1万でいいのだろう」



雷火が鳳金を庇うようにそう話す。



「そうそう。 何も策が無いまま攻めるわけないでしょ緋水。

たまには、その小さな脳みそを使いなよ」



相変わらずの淋木の辛口な発言。


緋水は眉間に皺を寄せるも、雷火と淋木の言う通りな為

大人しく引き下がる。



「相変わらず憎たらしい奴だなお前は! だが、お前達の言う通りだ。 んで、いつ攻めるの?」



緋水の言葉に皆が鳳金を見る。



そして、鳳金はまた不敵な笑みを浮かべると口を開いた。



「ふっ、、、明日です」






明朝、雷火、緋水、淋木は1万の兵を率いて蝶龍城を立つのであった。

城壁の上から見つめる蝶姫。


また戦争が始まる。

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