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天性

初めての訓練からはや一ヶ月が過ぎようとしていた。


王都に住んでいた頃不規則な生活をしていたが、今では規則正しい生活が身についている。


朝日が昇ると同時に目を覚まし、朝の走り込みから始まる。

走り込みが終われば朝風呂へと入り、汗を流し朝食を摂る。



食いしん坊は相変わらずだが、身体は次第に筋肉質へと変わり

脂肪がだいぶ減っていた。



「蝶姫様は本当に変わられましたね! 私も少しは見習って運動した方がいいのかな?」



蝶姫の変わりように李凛も自身の身体を見つめ直す。



「李凛は前から健康的な生活を送ってるんだから大丈夫だよ! それに、まずはその大きなお胸を減らした方がいいんじゃない?」



笑いながらそう揶揄うと、李凛は顔を真っ赤にして怒った。



「コラッ!!! 蝶姫様ッ!!! いつもいつも余計な一言を添えて!!! 早く食べて訓練に行きなさい!!!」



「はーい! それじゃあ今日も行ってくるね! おやつ作っておいてよー!!!」



しかし、当の本人は気にすることなく、むしろ笑顔で返事をしその場を後にする。


明らか得る李凛は、そんな蝶姫の後ろ姿を見送り、一人微笑む。



(新しい生活になってもう一ヶ月か、、、蝶姫様もだいぶお強くなられたなぁ。 本来ならまだ遊びたい年頃なのに、、、)



そう。蝶姫はまだ16歳だ。

この国では男女共に18歳が成人とされている。


つまり蝶姫はまだ未成年なのだ。

本来なら遊びたい年頃だというのに、今は戦火の中に立たされている。


それも女の子だというのに、、、



「どうか、蝶姫様に神の御加護を」



李凛はただ蝶姫を祈るばかりであった。





蝶姫は日課である雷火との訓練に励む。



「はッ! やッ! たぁッ!」



その剣さばきは、一ヶ月ほど前とは比べものにならない程に洗練されていた。


もちろん雷火の教え方が上手いのもあるが、それ以上に、



(やはり、蝶姫には産まれ持っての天性がある。

女性ならではの、その柔らかな剣さばき。 そして、身軽さ、、、一年後には化けるかもしれぬ)



その腕前には雷火でさえも下を巻いていた。



そして、数刻の時が過ぎ天の陽が真上に昇ると訓練は終了だ。



前ほどの疲れは無いが、やはり身体の節々が痛む。

だが、この痛みはどうやら筋肉を活性化している為の痛みであるようで、大切なことだと雷火は教えてくれた。



「だいぶ様になったな。 だが、まだまだ戦場に出るには足りん。 今出ればすぐに死ぬのは明白だ」



雷火は甘い言葉をかけることをしなかった。

万が一ここで慢心させては、手遅れになる。

だから、時間かけてゆっくりと腕を磨かせる。


それが雷火の狙いだ。



「そっかー、まだ足りないか・・・・・・うん! そうだよね! そんなに早く実るわけが無い! 私頑張るね!」



そして、蝶姫も挫けるようなタマではない。

意思は固くその目は未来を見据えているのだから。



二人は訓練を終え、浴場で汗を流すと昼食をとるべく

食事部屋へと向かう。



既に他の面々は集まっており何やら神妙な面持ちをしていた。

直ぐに何かがあったのだと理解する。



「ちょうど良かったです。 お二人を呼びに行こうかと思っていたので」



鳯金が立ち上がり、蝶姫と雷火を見つめる。



「何があった」



雷火がそう訊ねると蝶姫も唾を飲む。





「淋木の斥候が戻ってきました。、狼徳殿が攻めてきます。

その数3万。 つまり、私達の3倍強です」



その言葉に目をしかめる雷火。


予想よりもだいぶ早い。

恐らく高専的であるが故に、こうなったのだろう。


もう一度狼徳について洗い直す必要がある。



とはいえ、一応は迫り来る敵に備える。



「さ、作戦は?!」



蝶姫が叫ぶ。


それには皆も驚きである。

まさか、あの蝶姫から戦の話がでるとは。



「ふふっ、だいぶ変わられましたね、蝶姫様。 作戦については定石通り城内で迎え撃ちます。 とはいえ、敵は3倍。

ただ守っていては勝てる戦もありません。 ですから一つ

策を考えました」



鳯金は力を使うよりも頭を使うことに長けている。

そして、皆が鳯金の策には絶対の信頼を置いていた。



「では、策の全貌をお教え致しましょう---」



こうして、戦の準備は着実に進められていくのであった。

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