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五行の緋水

雷火軍の活躍により、早々と敵軍を撃退した。


「つまらぬ。戻るぞ・・・・・・ッ?!!!」




敵を倒し、今まさに退ろうとしたその時。




「はいはーい。ちょっと通りますよーっと。

主役は遅れてやって来るってな!」




突如馬に跨りやってきたその男は青い髪を束ね、手には長槍を持ちやって来た。


イケメンであり、ナルシスト気味な男であった。




「誰だろう、、、聞き覚えのある声、、、もしかしてッ?!」


ここで蝶姫は何かを思い出した。


「ふふふっ。そうです。 あの男もまた五行将軍の一人であり名を緋水ヒスイと言います」


敵を撃退し、落ち着いたかと思われたその時、

突如現れた五行将軍の一角。


果たして緋水は仲間なのか敵なのか。

それはまだ誰にも分からない。



緋水を睨みつける雷火。

そんな雷火に不敵な笑みを浮かべる緋水。





戦場には緊迫した空気が流れ込む。


雷火は油断する事なく思考する。


果たして緋水は蝶姫の元はやってきてくれたのか。

それとも、、、


次の瞬間


目にも止まらぬ速さで槍を雷火目掛けて突き刺す。


素人の蝶姫でもわかる。

今のは完全に殺すつもりで刺していた。


つまり、緋水は雷火を殺そうとしている。



「鳯金! 急いであの2人を止めないと! どっちかが死んじゃうよ!」


鳯金の袖を掴んで体を揺らすも、鳯金は微笑んだままだ。



「無理ですよ。 あの2人の戦いを止める事ができる人間なんてこの世に1人、、、いや、2人ですかね?」


逆に質問をされ戸惑う蝶姫。

何故目の前で兄弟も同然の2人が争っているのに平気な顔をしていられるのか。


そう思った時、、、自分もそうだった。


自分も兄弟に関心はなかった。




だけど、今は違う。

目の前の2人は生きているし、自分も変わった。

そして、人は変わるし変えられる。




蝶姫は急いでその場を後にし城壁を降りた。


そんな姿に李凛も慌てて追いかける。





その間も雷火と緋水の剣と槍はぶつかり合う。


互いの兵士も邪魔をすること無く、ただただ黙って2人の一騎打ちを見守る。


打ち合いが何十、そして百合にいこうとしたその時。



「雷火!!! 緋水!!! もうやめてーーー!!!」



気付けば蝶姫は城から出て雷火達の元へと向かい

少し離れた所から叫ぶ蝶姫。


突然の蝶姫の叫びに2人の手は止まった。



(よかった。 きっと緋水も覚えててくれたんだ)



そう思い、また緋水の顔を見つめると、緋水の顔は

先程までとは違いなぜか、冷酷な顔をしていた。


あまりにも冷たい目。

今にも殺されるんじゃないかと思うほど、殺気の籠った瞳。


現に、緋水は槍を携え蝶姫目掛けて投げてきたのだ。


完全に油断した。


いや、油断していなくとも緋水の投げる槍を避ける事など不可能である。




(そ、そんな、、、緋水はお兄様の仲間だったのね・・・・・・)


最早何も出来ない。

何やら雷火もコチラへ走っているが間に合うはずがない。




蝶姫は目を閉じ死を受け入れる。





「グサッ!!!!!!」





蝶姫の横を物凄い風が通って行く。



恐る恐る瞼を開き、振り返ると一人の兵士が剣を蝶姫に振り下ろそうとしている瞬間だったのだ。


しかし、それは叶わない。


何故なら腹にドデカい風穴を開けているのだから。




「くっ、まだ残党がいたか。 俺から離れるな蝶姫。まだそこら辺に潜んでいるかもしれぬ」


雷火は蝶姫を手繰り寄せ、自身の近くに立たせる。


半ば強引に、だが、優しく抱えられ蝶姫は感じたことの無い感情を抱いていた。




「ふーーー、危なかったねー! 俺が居なかったら殺られてたよ? 相変わらず抜けてるね蝶姫はさ!」



馬に跨り上からそう話すのは先程助けてくれた緋水。


だが、不思議であった。

つい先程まで雷火と殺し合いをしていたのに、何故自分を助けたのか。


「ひ、久しぶり緋水。 どうして助けてくれたの?」




戸惑いながら、そして緊張しながらそう話すと緋水は

にやけた顔で、



「蝶姫がピンチだったから! 久しぶりに会った大切な幼なじみを死なせる訳にはいかないでしょ?

それよりも俺の華麗な救出劇はどうだった?

感動した? ってか、なんで雷火が抱いてるんだよー! ここは俺が助けたんだから俺が抱く場面だろー?」



気の抜けるような、そして巫山戯た様な感じでそう話す緋水。


しかし、その姿をみてホットした。

前と変わらない。


子供の時から緋水は皆の笑いの中心であり、場を和ませてきた。


彼がいると自然と周りが笑顔になるのだ。


「別に抱いている訳では無い。敵が居るかもしれないから守っているだけだ。 それよりも、さっきの勝負は無しでいいな?」


「さっきの勝負?」


蝶姫が首を傾げて疑問に思っていると緋水が説明してくれた。


「そうそう! 俺達は会うと必ず勝負をするんだ!

どっちが強いか決める為にね! でも残念な事に150戦150引き分けなんだよー。こちとら毎回馬上でやってるのに辛いったりゃないよ」


馬の上で項垂れて、不貞腐れる。





「久しぶりですね緋水。それで、貴方はコチラの味方と捉えていいのでしょうか?」



突如現れた風金。



確かにそうだ。

まだ緋水が味方と決まった訳では無い。


もしかしたら既に狼徳の手先となっているかもしれない。


緊張した面持ちで緋水の返事を待つ蝶姫。




「もちろん! でなければここまで来ないよ!

何より国王陛下の頼みだからねー! これで恩を返せたとは思わないけど、その分は蝶姫に返すとするよ!

って事で俺も厄介になりまーす!」



思わず笑がこぼれる。

これで五行将軍のうち3人が仲間となってくれたのだ。


思えば凄いことである。


列国に響き渡る五行将軍。


その内の3人が目の前にいるのだから。


1人でも一軍に匹敵すると言われているのに

そんな凄い人が3人もいる。



後は残り2人。


蝶姫達は防衛戦を終え、皆で城内へと引き返すのであった。





「それでは! 緋水の蝶姫派加入を祝って、乾杯ッ!!!」


「どうして自分で言っているの? 私が言ってあげるのにー!」


自分で歓迎して自分で祝うという不思議な光景に蝶姫以外の皆が苦笑い。



今回は李凛は使用人だからと席を遠慮した為、4人での食事だ。


緋水が居るだけで以前とは真逆となり、明るい雰囲気となった。


そんな光景に過去の光景がフラッシュバックする。


男5人に囲まれながらもワイワイとお話をする5人。

毎日遊んで毎日仲良しだった。


全員性格は違うのに、何故か不思議と皆居心地が良かった。


とても不思議な関係だったのだ。


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