自分の意志
何度も何度も泣いたせいか目は腫れていた。
一生分泣いたんじゃないかと言うくらい泣いた。
蝶姫はそのまま鳯金の胸に体を預けている。
そして、急に真面目な面持ちで鳯金を見つめる。
「ねぇ鳯金、、、私強くなりたい。 賢くなりたい。
皆を導きたい。 国を取り戻したい!」
先程まで顔が近く照れていたが、今はそんな事言ってる場合では無い。
蝶姫の決意を示したその眼差しは、とても熱く心にくるものがあったのだ。
「わたしました。私の策で、そして五行達の力で必ずや貴女の前に立ちはだかる困難を打ち払いましょう」
鳯金も既に蝶姫に忠誠を誓った。
どこまでも共に歩むと。
(変わりましたね、、、中身も外見も、本当にお美しくなられた)
近くで見て改めて思う。
透き通る肌にクリクリの目。
そして白銀色に輝く髪。
しかし、首を横に振り今は戦いに集中するべきだと
考えを改める。
「では、話は一旦ここまでにして朝食を食べに行きましょう」
沢山泣いて疲れたのか蝶姫も大きく頷き、共に歩く。
部屋に行くと既に雷火と李凛が待っていた。
李凛にどこに行っていたのか心配されたが、鳯金の
事を話すと納得してくれた様子。
まだ二人も鳯金には会っていなかったようで李凛は初めましてと挨拶をする。
「今日着いたのか?」
食事を食べながら雷火が訊ねる。
「えぇ、少し寄り道をしながら来たら遅くなりました。 貴方も久しぶりですね。 お元気そうでなによりです」
そんな他愛もな会話をしながら食事を進める。
「雷火と鳯金もあれ以来会ってないの?」
雷火達は齢10を過ぎると、皆がそれぞれ戦いの為に
違う場所へと移動されたのだ。
だから蝶姫も二人に会うのは久しぶりであった。
そして、この二人の配属先もまた違う場所だ。
「いえ、年に一度程度は会っていましたよ。基本戦略を練るのは私でその指示をね。 と言ってもこの方達には大きな作戦も要らないので楽でしたけど」
そう笑いながら話す鳯金。
「それよりも他の奴らはまだ来ないのか?」
雷火が鳯金に鋭い視線で訊ねるも、鳯金は首を横に振る。
恐らく雷火も残りの3人の内、誰かは狼徳につくかもしれないと予想しているのかもしれない。
五行将軍が全員蝶姫の元へ来てくれれば質では勝てるかもしれない。
だが、その内の何人かが向こうへ行けば数は向こうが圧倒的であり、質も互角となる。
それだけは避けたかったが、想いは人それぞれである為に強制はできない。
今はただ願うばかり。
その時だった。
銅鑼の合図が鳴り響く。
2回鳴った。
1回の場合は味方の軍が城外付近を通る時、そして
2回は敵軍が近くに来た時だ。
つまり敵の襲来を告げる合図。
すぐ様席を立つ雷火。
「鳯金、蝶姫とその女を頼む」
そう言うとすぐ様その場を後にし、城壁へと向かう。
残された蝶姫はというと緊迫した状況に迫られていた。
恐らく自分を追ってきたのだろう。
また自分のせいで、ここにいる何人もの兵士達が命を落とす。
自分は何も出来ないのにと、自分の無力さに打ちひしがれる。
「大丈夫ですよ蝶姫様。ここにいる軍はどの軍よりも強いです。何せ、五行将軍が率いる軍なのですから。
貴女はドンと構えていればいいのです。 その内、貴女にしか出来ない役目が必ず来ます。 それぞれが自分に出来ることをするのです。つまり、戦は我々の
得意分野という事ですね」
そう笑顔で話す鳯金は蝶姫を励ます為にそう話した。
「私に・・・・・・出来ること、、、」
鳯金の言葉を重く受け止める。
果たして自分には何ができるのだろうか。
必死に考えてみた。
「面白いな、続きが読みたいなと思ったらブックマーク、高評価をお願いします。そして誤字脱字や意見などあったら是非コメントしてください。」




